あらすじ
第1巻
大学の講義で教授の難解な問いにパーフェクトな回答を返し、SNS映えする店で友人との午後のティータイムを楽しみ、アルバイト先のコーヒーショップでは客や後輩店員に優しく接してあこがれのまなざしで見られる。江古田秋良はそんな、老若男女誰からも好かれる全人類の理想である「キラキラ系女子」をみっごとに演じ切っていた。だが、なんの後ろ盾も持たない人間が理想の女性を演じるためには金がかかる。そのため江古田は、知り合いの誰にも見つからないよう、夜の道路工事の現場で真っ黒になりながら仕事に勤しんでいた。だがある日、そんな姿を、思いがけず同じ大学に通う清瀬遙に見られてしまう。自分の虚像が暴かれてしまうことを恐れた江古田は、即座に清瀬を殺そうと決意。だが、仕事を終えて家に帰ったところで冷静さを取り戻し、自らの手を汚さず、どうにかして彼を籠絡して口を封じようと策を立て始める。
登場人物・キャラクター
江古田 秋良 (えこだ あきら)
明るい色の髪をロングヘアにした女子大学生。才色兼備でファッションセンスに優れ、人を立てる謙虚で優しい性格、さらに親に頼らずアルバイトで生計を立てる「自立した理想の女性」として、大学はもとよりアルバイト先でも老若男女問わず高い評価を得ている。だがそれらは江古田秋良が必死の思いで作り上げた虚像であり、実際は貧乏で虚像を保つ資金を得るために、人知れず肉体労働を掛け持ちまでして励んでいる。ある日、道路工事の仕事をしている姿を清瀬遙に見られてしまい、周囲に自分の真の姿をバラされないよう、さまざまな策を弄（ろう）し始める。そして清瀬の情報を集めるうちに、彼がなんの苦労もない両家の子息であることを知ってルサンチマンを大いにこじらせ、憎しみにも近い感情を覚えるようになっていく。恋愛事に疎いうえ興味もまったく持っておらず、何かと彼氏を作るように勧めてくる恋愛至上主義な周囲の言動を不思議に思っている。
清瀬 遙 (きよせ はるか)
江古田秋良と同じ大学に通う男子。前髪を長く伸ばしたショートカットの髪型をしている。イギリス人の祖母を持つクオーターで、父親は心理学者を務めている。実家は非常に金持ちで、田園都市線沿線に仕送りで一人暮らしをしている。金持ち喧嘩せずを地で行く穏やかで優しい性格だが、苦労知らずな分、特に金銭面において無意識に人に劣等感を抱かせる言動をしがち。また、どこか浮世離れしたところがあり、周囲からは何を考えているかわからないと評され、親しく付き合っている人もあまりいない。ある日、偶然に江古田が肉体労働のアルバイトをしているところを見かけ、以来、何かと彼女に付きまとわれるようになる。清瀬遙自身は、自立のために労働に勤しむ彼女を素直にすごいと評価しているものの、江古田のルサンチマンを刺激する一言よけいなほめ方をするため、自慢やさげすみと受け取られ、彼女の敵対心をあおってしまう。なお、かなりの天然ということもあり、江古田のそんな感情には気づいていない。
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