あらすじ
第1巻
台風がせまる田舎町、はなちゃんは水をいっぱいに入れた長靴をはいて、ジュッポジュッポと音を立てながら校庭を走って楽しんでいた。はなちゃんを見つけた先生は、車で家まで送ってくれる。台風が上陸した深夜、はなちゃんはこっそり家を抜け出して、台風の嵐の中、猫といっしょに学校へ冒険に出る。町には誰もおらず、空気がでかくて重い。川は氾濫して、町は見たことのない姿になっていた。嵐に巻き込まれ、自分と周りの境目すらわからなくなる中、はなちゃんは非常食としてムギチョコを隠しておいた大木のもとにたどり着く。やがて地響きとともに近づいてきた台風の目にすっぽりと包まれたはなちゃんは、台風の目の上空に浮かぶきれいな月を目にする。しかし、すぐに台風に巻き込まれて、猫といっしょに高く舞い上げられてしまう。台風が過ぎ去り、晴天となった翌朝、道端に倒れていたはなちゃんは、心配して捜しに来た先生に助けられるのだった。(エピソード「あらしのかたち」。ほか、5エピソード収録)
登場人物・キャラクター
はなちゃん
田舎町で暮らす小学生の女子。両親と祖母、猫と暮らしている。元気なやんちゃ娘で、台風の中でも夜中に学校へ一人で冒険に行ったり、町の猫を捕まえて「猫拓」を取ったり、ハンモックを楽しんだりと、自然の中でのびのびと過ごしている。学校の授業はあまり聞いていないが、テストの成績はよく、運動も得意。
先生 (せんせい)
はなちゃんたちが通う学校の教師を務める女性。父親からもらったオンボロ自動車を運転している。雨の中で遊んでいたはなちゃんを車で家まで送ってあげたり、台風の中を飛び出していなくなったはなちゃんを心配して捜しに来てくれたりと、面倒見がいい。休日は川で釣りをしている。
うたちゃん
はなちゃんの友達の小学生女子。大きな丸眼鏡を掛けている。小さい頃はよくはなちゃんに泣かされていたらしい。勉強も運動も苦手だが、ここぞという場面では勇気を出してはなちゃんをサポートすることもある。
まもやん
はなちゃんと同じ小学校に通う男子。はなちゃん、うたちゃんにとっては頼りになる存在。はなちゃんがハンモックに絡まって動けなくなった時も、呼び出されてはなちゃんを救出した。
こうさく
はなちゃんと同じ小学校に通う男子。丸刈りで小柄の体型をしている。はなちゃんが自由研究の課題として制作する、猫図鑑のための猫拓作りを手伝わされていた。
自治会長 (じちかいちょう)
はなちゃんたちが暮らす町の自治会長を務める男性。禿げ頭で長い顎鬚を伸ばし、ジャージを着た小柄な体型の老人。野焼き用に、秘密兵器として野焼き用パワードスーツ「野焼きくん」を開発して町人に配ったが大惨事を起こした。ふだんははなちゃんたちにスイカをごちそうしてくれるなど、優しい性格の持ち主。
八絵 (やえ)
書店「キューポラ堂」の店番を任されている女性。店の奥では卓球を遊べるようになっており、はなちゃんとうたちゃんがよく遊びに来ている。前髪を伸ばして顔が完全に隠れており、うたちゃんは顔を見たことがない。はなちゃんは扇風機を使って、八絵の髪を吹き飛ばしてその顔を見たことがある。
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