ふつうの恋子ちゃん

ふつうの恋子ちゃん

母親と姉の影響もあり、何事にも「普通」を意識して生活していた夏目恋子は、「校内ヒエラルキーてっぺんのモテ男」の二宮剣に心惹かれてしまう。一方の剣も恋子に好意を抱くが、住む世界が違うと、恋子が遠慮をしている事もあり、なかなか二人は交際へと発展しない。思いを通わせながらも立場の違う二人が、戸惑い、そして惹かれ合っていく姿を爽やかに描く。同時に、ひねくれた考え方をしていた恋子が、剣だけでなく周囲にも心を開いて成長していく過程も描かれる。集英社「マーガレット」2016年No.1から2020年No.2まで連載。翌No.3・4合併号には番外編が掲載された。

正式名称
ふつうの恋子ちゃん
ふりがな
ふつうのこいこちゃん
作者
ジャンル
恋愛
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あらすじ

第1巻

恋多き母親の夏目夢子と、男性とまったく縁のない姉の夏目愛子と三人で暮らす夏目恋子は、何事も普通でありたいと願っていた。彼氏の佐藤も平均的な男性で、ときめきはないものの幸せな交際を続けていたが、佐藤の浮気が発覚する。佐藤の浮気を教えてくれたのは「校内ヒエラルキーてっぺんのモテ男」の二宮剣で、これをきっかけに恋子は剣と会話をするようになる。そんな中、佐藤は別れた恋子の悪口を周囲に言いふらし、それを偶然耳にした剣は激怒する。しかし、恋子は放っておいてほしいと、剣と距離を取るようになる。その後も何かと自分を構ってくる剣に対し、恋子は自分とは住む世界が違うと拒みつつも、次第に気になる存在へと変わっていく。そんな日々を過ごしていた中、剣は恋子の実家が営む家庭料理屋「なつめ」で接客アルバイトを始め、学校だけでなく、家でも剣と共に過ごす時間が増えていく。

第2巻

夏目恋子二宮剣から額にキスをされて動揺する。まだ恋とは認めたくない恋子は、キスをされた事を忘れるため、剣にも忘れてほしいと申し出る。しかし互いに忘れる事はできず、どうしても意識してしまう。それでも恋子は剣への恋心を否定し続けていたものの、剣へクリスマスプレゼントを購入したり、LINEのやり取りを楽しみにしている自分にふと気づく。そしてクリスマスや初詣を二人きりで過ごした事で、恋子は次第に心を開き、笑顔を見せるようになっていく。

第3巻

夏目恋子二宮剣は、相変らずの関係が続いていた。恋子は自分から告白をするべきかと悩み、剣も自分から告白するべきだと考えつつも、初めての事でなかなか勇気を出せずにいた。この状態を脱するために、お互いの気持ちを打ち明けるが、肝心の「付き合おう」という言葉が出ずに、結局そのままの状態が続く。そんな中、バレンタインデーの日が訪れる。大量のチョコレートをもらう剣に対し、初めて恋子は嫉妬心を覚える。一方剣は恋子からもらったクッキーを大切に持ち帰り、さらにホワイトデーにはデートを申し込む。恋子は優越感を覚えている自分に気づき、本当に剣に恋をしている事を自覚する。しかし交際には発展しないまま、恋子と剣が2年生に進級し、同じクラスになる。幸せを感じる恋子の前に、姉の夏目愛子が国語教師として赴任してやって来る。

第4巻

夏目恋子は姉の夏目愛子が、二宮剣に興味を抱いているように感じ、不安を覚える。愛子はきっぱりと否定するが、恋子の中ではわだかまりが残ってしまう。そんな中、恋子達は修学旅行の時期を迎える。出席番号順で決まった班分けで、は恋子と剣が同じ班になり、お互いに静かに喜び合う。一方で剣がと仲よくしている姿を見て、やはり剣は自分とは住む世界が違うのだと、恋子は落ち込む。しかし剣はそんな恋子の不安を払しょくするかのように、二人きりの時は下の名前で呼んだり、移動中にさりげなく手を触れたりと積極的な行動に出る。そんな中、宿泊先のホテルの死角になっている場所で恋子と剣は密会する。今夜こそ何かが起こると期待するが、パトロール中の先生に見つかってしまう。この場は引率で来ていた愛子の機転もあり、問題にならずに終わる。そんな中、同級生にせかされて、恋子はついに、剣に「付き合ってほしい」と告白をする。

第5巻

夏目恋子二宮剣に「付き合ってほしい」と告白をするが、剣からは「どこに行くの」と勘違いされてしまう。ショックを受ける恋子だったが、剣が天然ボケである事から仕方がないとあきらめてしまう。それからも修学旅行中は、何もないふりをする恋子と剣だったが、恋子はこのままクラスメイトのふりをし続けるのが嫌になる。そして恋子と剣は二人だけで班行動を抜け出し、改めてお互いの気持ちを確かめ合って、ついに恋人同士となる。人気者の剣と交際をスタートした事により、周囲からのやっかみがあるかと覚悟していた恋子だったが、剣の友達や未来は心から祝福してくれる。しかし、女子トイレで、恋子の見た目が地味だと悪口を言う集団に遭遇し、恋子は剣のためにきれいになる事を誓う。辻や母の夏目夢子からきれいになるアドバイスを受け、それを実践していく。

第6巻

季節は梅雨に入り、夏目恋子二宮剣と傘をさして並んで歩く事が増えた。その傘の距離ももどかしく、二人は相合傘をして通学するようになる。日々距離が近づいていく恋子と剣は、ついにキスをする。幸せな気分になる恋子だったが、一方の剣は幸せな中にも恋子の元彼、佐藤の事が気になっていた。順調に交際を進めていく中で、恋子は剣の自宅に勉強をするために誘われる。夏目夢子からアドバイスを受け、緊張しながらも剣の自宅へと向かうのだった。

第7巻

夏目恋子二宮剣に両親を紹介され、本当の恋人同士になれた幸せをかみしめていた。そんな中、剣はら「学年内カーストの上層部」から1泊2日のキャンプに誘われる。恋子も来ないかと誘われるが、上層部と打ち解ける自信がないためにその誘いを断る。その返事を受けて剣も断ろうとするが、恋子は友達を大切にするべきだと参加をうながす。しかし、キャンプには女子も参加する事で、恋子は不安で眠れぬ夜を過ごす。そんな恋子の前にキャンプに行っているはずの剣が現われ、恋子を心配させないために自分だけ日帰りにしたと告げる。改めて剣に愛されている事を実感して、恋子は幸せを嚙みしめるのだった。一方、恋子の実家では姉の夏目愛子が、高等学校時代に好意を寄せていた長瀬と偶然再会していた。

登場人物・キャラクター

夏目 恋子 (なつめ こいこ)

高等学校2年生の女子。普通に生きる事をモットーに生活している。家族構成は母親の夏目夢子と姉の夏目愛子の三人家族で、実家は家庭料理屋「なつめ」を営んでいる。恋多き女の夢子と、異性とまったく縁のない愛子を見て育っているため、自身は普通に恋をしたいと願っており、実際に夢子からも無難に育ったと評されている。恋愛以外でも普通である事に固執し、何もかも平均的な佐藤と交際を始めた。 しかし佐藤に浮気をされ、それをきっかけに二宮剣と会話を交わすようになった。剣とは1年時は別クラスだが、2年生に進級した際に同じクラスになる。最初は住む世界が違うからと、わざと剣との会話を避けていたが、剣が家庭料理屋「なつめ」でアルバイトを始めた事で急接近した。 表向きはクールでひねくれた性格を演じるが、本当は素直で独占欲の強い性格。普通でありたいと思っている一方で、周囲の目を気にせず、よく大胆な行動を起こす。

二宮 剣 (にのみや つるぎ)

夏目恋子と同じ高等学校に通う2年生の男子。2年生に進級時に同じクラスになる。家族構成は父親の二宮尊と母親の二宮由美の三人家族。周囲からは「つるちゃん」と呼ばれる人気者。身長は183センチ。成績は学年トップで、運動神経も抜群、それに加えてハンサムで爽やかと非の打ちどころのない人物。しかし、少々天然ボケな一面がある。 当初、恋子からは「校内ヒエラルキーてっぺんのモテ男」とやっかまれていた。恋子と交際していた佐藤の浮気現場を目撃し、それをきっかけに恋子と会話を交わすようになる。その後も何かと恋子を気にするようになり、距離を置かれてもちょっかいを出し続けていた。恋子の母親、夏目夢子が営む家庭料理屋「なつめ」で接客アルバイトをしている。

梨乃 (りの)

夏目恋子と同じ高等学校に通う女子。1年生の時の恋子のクラスメイト。いつも梨乃、恋子、さくらの三人組で行動していたが、2年に進級時に違うクラスになってしまう。梨乃に二宮剣の相談ができなかった事が、恋子の心残りとなっている。ケーキ店でアルバイトをしている。

さくら

夏目恋子と同じ高等学校に通う女子。1年生の時の恋子のクラスメイト。いつもさくら、恋子、梨乃の三人組で行動していたが、2年に進級時に違うクラスになってしまう。さくらに二宮剣の相談ができなかった事が、恋子の心残りとなっている。趣味は音楽鑑賞で、軽音楽部の先輩のバンドの手伝いをしている。

(あかね)

夏目恋子と同じ高等学校に通う女子。2年に進級した際に同じクラスに在籍する。未来と共に恋子に声をかけ、友達になった。恋子と二宮剣が交際した時は、驚きつつも祝福した。

未来 (みく)

夏目恋子と同じ高等学校に通う女子。2年に進級した際に同じクラスに在籍する。茜と共に恋子に声をかけ、友達になる。恋子と二宮剣が交際した時は、祝福しつつも、どういう展開になるのか興味津々だった。

(つじ)

夏目恋子と同じ高等学校に通う女子。2年に進級した際に同じクラスに在籍する。1年生の頃は二宮剣と同じクラスで仲がよく、グループで剣の自宅に遊びに行っていた。そのため、剣の母親から顔を覚えられている。夏目恋子いわく「学年内カーストの上層部」に所属しており、明るく社交的な性格の持ち主。恋子が剣と交際したあとは、恋子からの相談に快く応じている。 恋子に対して好意的で、ほかの女子が剣に手を出そうとすると激怒する。

小宮山 (こみやま)

夏目恋子と同じ高等学校に通う1年生の女子。恋子とは同じクラスに在籍する。好きな人を元彼女から略奪したが、また別の女性に略奪され、失恋してしまう。クラス内で大泣きしていたものの、前に進まなくてはとすぐに立ち直り、恋子から強い人だと尊敬された。

佐藤 (さとう)

夏目恋子と交際していた1年生の男子高校生。ルックスも性格も一般的で、恋子からは一番自分と釣り合う相手だと思われていた。しかしあっさり年上の女性と浮気。その後も恋子と交際を継続しようとしたが、恋子にきっぱりと拒絶された。ふられた事を逆恨みし、恋子の悪口を周囲に言いふらす。偶然にもそれが二宮剣の耳に入って喧嘩となるが、恋子の仲裁で終息した。 それからも恋子に対して、剣との交際に疲れたら戻って来いと、身勝手な発言を繰り返す。

夏目 愛子 (なつめ あいこ)

夏目恋子の実姉。年齢は24歳。採用試験をクリアしたあとは、恋子らの通う高等学校に赴任して来た。国語を担当している。母親の夏目夢子、恋子との三人暮らし。地味でまじめな性格で、これまでに一度も恋愛経験がなく処女。男性に対しては嫌悪感を抱き、接触を持つだけで悪とみなす傾向がある。ただし、昔好きだった長瀬に似ているという事で、二宮剣に対しては興味を持っている。 恋多き女である夢子とは折り合いが悪く、頻繁に喧嘩をしている。感情がこみあげてくると、一句詠む癖がある。

夏目 夢子 (なつめ ゆめこ)

夏目恋子と夏目愛子の実母。見た目がかわいらしく年齢よりも若く見えるため、とても子持ちには見られない。スキの多い緩い性格をしており、男性から好意を寄せられる事が多い。恋多き女性で、バツ2。現在も複数の男性からアプローチを受けている。昼間は料理教室の講師を務めており、夜は家庭料理屋「なつめ」を営んでいる。昼は男心を摑む料理教室として若い女性に人気で、夜は夏目夢子を狙う男性客で繁盛している。 二宮剣を家庭料理屋「なつめ」の接客アルバイトとして雇った。

二宮 尊 (にのみや たかし)

二宮剣の実父で、妻は二宮由美。高等学校時代に目立った存在ではなかったものの、かわいらしい由美に心惹かれる。アプローチをして交際を開始し、のちに結婚へと至った。今でも由美の事を愛しており、息子の剣や夏目恋子の前でも好意を隠そうとしない。

二宮 由美 (にのみや ゆみ)

二宮剣の実母で、夫は二宮尊。高等学校時代に尊と出会ったが、夏目恋子のように、人気者だった尊とは住む世界が違うと遠ざけていた。しかし尊から積極的なアプローチを受けて恋に落ちた。なぜ地味だった自分を尊が好いてくれたのか、今でも疑問に感じている。

長瀬 (ながせ)

夏目愛子の高等学校時代のクラスメイトの男子。年齢は24歳。愛子とは仲がよく、愛子にとって唯一の男友達だった。愛子は好意を寄せていたが、交際には発展せずに終わっている。現在は実家の家業の酒店を継いでいる。既婚者。

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