ぼくらのふしだら

ぼくらのふしだら

成年向け作品も執筆している大見武士の代表作の一つ。現代日本を舞台に、「時間停止能力」を手に入れた代償として性欲が強くなってしまった結城美菜実が、危険な快楽に溺れていく姿を描いたエロティック・ホラー。少年画報社「月刊ヤングキングアワーズGH」2014年11月号から2015年6月号にかけて連載の作品。本作の続編として『わたしのふしだら』がある。2025年1月3日に実写映画版『ぼくらのふしだら』が公開。美菜実を田野優花、鏑木信一を植村颯太が演じている。

正式名称
ぼくらのふしだら
ふりがな
ぼくらのふしだら
作者
ジャンル
恋愛
 
サスペンス
レーベル
YKコミックス(少年画報社)
巻数
全2巻完結
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生真面目な少女が欲に溺れていく

本作は、過去の境遇から強い劣等感に苛まれる高校生の美菜実が、「時間停止能力」を手に入れたことで人生が好転する姿を、過激な性描写と共に描いたサスペンス作品。しかし、その代償として能力を使う度に性欲が暴走するため、美菜実はこの代償に苦悩する。また、美菜実自身や周囲の人間の歪んだ欲望や狂気が、彼女によって増幅されていく様子がサイコホラー要素を交えて展開される。

あふれる性欲と引き換えに「時間停止能力」を入手

美菜実は両親に捨てられた過去から、価値のない人間には愛される資格がないと考え、価値ある人間になるために猛勉強して県下有数の進学校に進学する。そして大学を目指して日々勉強に力を入れていたが、そのためにはもっと時間が必要だと考えていた。そんな美菜実はある夜、人ならざる悪魔のような存在と出会い、彼女から「時間停止能力」を授かる。しかしその代償として胸に性欲カウンターを刻まれ、時間を止めるたびに性欲が高まる厄介な体質に変わってしまう。だが、時間を止めることへの快感や高揚感が忘れられなくなった美菜実は、激しい自慰を繰り返しながらも時間を止めることで、理想の未来と順風満帆な日々を手に入れるのだった。

時間を止める能力に気づく者が現れる

「時間停止能力」を活用して順調に成績を伸ばしていった美菜実は、学校での注目度も上がり、不安定だった日常に彩りが生まれ始めていた。一方、自慰だけでは性欲を抑えきれなくなった美菜実は、その処理を幼なじみの信一に頼るようになる。そんな中、友人と仲直りしたのをきっかけに、能力の使用を控えようとした美菜実だったが、容易には抑えられなくなっていた性欲はそれを許さない。また、追い詰められた美菜実は身近な者に危害を与えるほどに暴走し、人間の性の闇深さが浮き彫りになっていく。本作では、能力への欲求に支配され黒く染まっていく美菜実の心境の変化や、葛藤が見どころとなっている。

登場人物・キャラクター

結城 美菜実 (ゆうき みなみ)

県下有数の進学校に通う女子高校生。幼い頃に両親に捨てられてからは祖母と二人で暮らしている。黒髪をロングヘアにしており、赤いフレームの眼鏡をかけている。大学の指定推薦が有利に働くため、生徒会に所属して副会長を務めている。つねに劣等感に苛(さいな)まれ、引っ込み思案でネガティブな性格をしている。大学受験に向けて勉強時間を確保するためストレスを溜めており、1秒も時間を無駄にできないと思う一方で、男性の視線を感じる度に躰が疼(うず)いて自慰がやめられないでいる。そんな中、謎の悪魔と出会って好きなタイミングで時間を止めて戻すことのできる「時間停止能力」を手に入れるが、その代償として能力を使う度に性欲が強くなってしまう。また、性欲の状態によって胸に刻まれたカウンターの数値が変化する。

鏑木 信一 (かぶらぎ しんいち)

県下有数の進学校に通う男子高校生。美菜実の幼なじみ。学校になじめず、不登校の引きこもり状態になっている。以前から美菜実に思いを寄せている。美菜実とは家が近いため定期的に会っているが、彼女が他人からの評価ばかりを気にすることを危惧している。美菜実の「時間停止能力」を知らないような素振りを見せる一方で、意味深な言動を繰り返している。美菜実に性欲処理を頼まれて手伝っているが、信一自身もとある秘密を隠している。

続編

わたしのふしだら

大見武士の『ぼくらのふしだら』の続編。現代日本を舞台に、新入生の友里悟史に恋したことをきっかけに不思議な力を手に入れた女性教師、橘伽凛の、激変した日常生活と恋愛模様を描いたエロティック・サスペンス。前... 関連ページ:わたしのふしだら

書誌情報

ぼくらのふしだら 全2巻 少年画報社〈YKコミックス〉

第1巻

(2015-05-16発行、 978-4785955472)

第2巻

(2015-12-16発行、 978-4785956820)

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