本編とは異なるミステリードラマ
本編となる『よふかしのうた』は、小学館「週刊少年サンデー」にて2019年第39号から2024年9号まで連載され、第68回「小学館漫画賞」少年向け部門を受賞。2022年以降、テレビアニメ化も果たしたコトヤマの代表作である。不登校で不眠症の中学生、夜守コウと吸血鬼の少女、七草ナズナを主人公にした吸血鬼と人間のラブコメディで、吸血鬼になるには、「吸血鬼に恋をする」ことが必要という設定が特徴的であった。本作は、時系列的には本編の「第199夜」と「最終夜」の間だと思われ、テイストはラブコメではなくミステリー仕立てのドラマとなっている。
吸血鬼の存在を匂わせる宗教団体「楽園」
私立探偵の鶯餡子と探偵助手、夜守コウのもとに、人気アイドルグループ「水曜日はサンデー」の宮本亜夢がやってくる。メンバーの体調不良により突然活動を休止した彼女たちだが、本当の理由はメンバーの一人、新谷メイが変な宗教にハマったからだという。それは「永遠の若さを得られる」「不老不死の体を持つ」を売り文句にしている「楽園」という宗教団体だった。「楽園」は地方の小さな村を拠点にしており、新谷はそこに行ったに違いないから連れ戻してほしいというのが宮本の依頼である。信者は教祖が「吸血鬼」だと信じており、教祖の力で吸血鬼になることが信者たちの最終目的だった。餡子とコウは「楽園」の実態を解明し、教祖の正体と目的を暴くために、「楽園」の拠点へと潜入する。
吸血鬼をめぐる人間たちの新しいドラマ
本作は、本編とは内容が異なり、ミステリーや人間ドラマの要素が強いオリジナル作品である。本編と共通する登場人物は、基本的にコウと餡子のみで、最終話にナズナとコウのやりとりが描かれるが、事件解決後で本作のストーリーとは関係がない。なお、宗教団体「楽園」は信者のことを「ケンゾク」と呼び、教祖の新里島潮は自身が吸血鬼であることを匂わせている。したがって本作は、本編とは内容が異なるものの、吸血鬼をめぐる人間たちのドラマである点で共通している。
登場人物・キャラクター
夜守 コウ (やもり こう)
私立探偵の鶯餡子のもとで助手を務める高校生男子。人気アイドルグループ「水曜日はサンデー」の宮本亜夢の依頼を受け、小岳館編集部の新人「た守」を名乗り、宗教団体「楽園」に潜入する。吸血鬼の少女、七草ナズナに血を吸われ続けたことから、痛みを伴う出血をきっかけに、吸血鬼のような驚異的な身体能力を発揮することができる。
鶯 餡子 (うぐいす あんこ)
メガネをかけたアラサー女性の私立探偵。ヘビースモーカー。人気アイドルグループ「水曜日はサンデー」の宮本亜夢の依頼を受け、本名である目代キョウコを名乗り、小岳館編集部の人間として宗教団体「楽園」に潜入する。







