ザ・ファブル The third secret

本作は、南勝久の代表作「ザ・ファブル」シリーズの第3部であり、前作『ザ・ファブル The second contact』に引き続き、「ファブル」の異名を持つ天才殺し屋、明の奇妙な日常を描いている。物語は、殺し屋組織「ルーマー」との戦いを乗り越え、殺し屋のアザミとユーカリが町を去ってから2年後が舞台となっており、殺伐とした裏社会から離れ、キャンピングカーで生活している明たちの新たな日常と戦いが、サスペンスやアクションを交えて展開される。

幼少期から殺し屋として数々の暗殺技術を叩き込まれ、無敵の戦闘力を身につけた謎多き殺し屋「ファブル」。彼は、ボスの命令で大阪の太平市に移り住み、「佐藤明」の偽名を名乗り、人を殺さず一般人として生活していた。数々の騒動を経て、一般女性の岬と結婚した明は、キャンピングカーで各地を巡り、アウトドアを楽しみながら、穏やかな新婚生活を送っていた。そんな二人の姿にあこがれを抱いた元真黒組の遼は、キャンピングカーを購入して明たちのもとに合流する。こうして明たち三人による平穏な共同生活が始まったものの、一方で裏社会の一部では不穏な影が蠢（うごめ）き始めていた。

明たちが一般人としてふつうの日常を送る一方で、殺し屋「ファブル」を追う仮面の男をはじめとする謎の人物たちが暗躍を始めていた。そんな中、廃ホテルで不可解な殺人事件が発生し、遼を通じてこの事件を知った明は、再び裏社会の陰謀や抗争に巻き込まれていくことになる。本作では、元相棒の佐藤洋子やオクトパスの社長、田高田健二郎など、おなじみのキャラクターたちのその後が描かれる。さらに、殺し屋のサクや、明が壊滅させた「鮫剣組」の組長の娘、和湖といった新たなキャラクターも登場し、物語に深くかかわっていく。新たな出会いや事件を通じて、これまで謎に包まれていた明の過去も徐々に明らかになっていく。