ザ・ファブル The second contact

ザ・ファブル The second contact

南勝久の『ザ・ファブル』の続編。前作で殺し屋を引退し、人助けをするために旅に出た佐藤アキラが太平市に戻って来たところから物語がスタートする。ヤクザの裏で暗躍する組織同士の抗争を描いたアンダーグラウンドアクション。講談社「ヤングマガジン」2021年34号から2023年32号まで連載の作品。

正式名称
ザ・ファブル The second contact
ふりがな
ざ ふぁぶる ざ せかんど こんたくと
作者
ジャンル
殺し屋
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社)
巻数
既刊9巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

ありがとうの男

ある日、黒塩は慌てふためいて真黒組が所有する倉庫へとやって来た。舎弟からの情報で、尊敬する佐藤アキラが帰って来たことを知った黒塩は、アザミユーカリに大声で問い詰める。既にアキラが帰って来てミサキとの新婚生活を楽しんでいることを知っていた二人は、黒塩がアキラにつきまとわないようにあえて黙っていたのだった。黒塩は佐藤ヨウコも帰って来ているのかと聞くものの、お茶を濁される。黒塩は自分だけ佐藤兄妹のことを知らされないことにイラつきを隠せないが、そんな黒塩を気にもせず、ユーカリはデザイン会社「オクトパス」に出勤し、アザミはリモートワークのためパソコンの前に移動する。その頃、アキラも「レンタルおっちゃん」から依頼を受け、仕事に向かうところだった。今日の依頼はカラオケの応援で、アキラは歌うお客をうまく乗せ「ありがとう」という言葉と報酬を受け取る。一方、オクトパスの社長の田高田は出勤したユーカリからアキラが今、レンタルおっちゃんで頑張っていることを聞き、これもアキラなりの人助けだと納得するのだった。その頃、イラつきが収まらない黒塩は格闘技ジムでサンドバッグを叩(たた)いていた。そこに先週入会した紅白組川萩が現れ、黒塩に絡んでくる。過去に喧嘩(けんか)した相手をいちいち覚えていない黒塩だったが、喧嘩を売られたからには買うしかない。スパーリングという形でリングで対決することになったが、川萩はリングに上がらず、ガタイのいい後輩を黒塩と対戦させる。黒塩はアキラの真似(まね)をして6秒で決着をつけようと意気込むも、相手をKOするのに25秒かかってしまう。さらに黒塩は後輩をKOすると、勢い余ったふりをしてリングサイドの川萩にも強烈な一撃を見舞う。この日の出来事が、のちに真黒組と紅白組の抗争へと発展していく。

いわし缶の男たち

真黒組紅白組の揉(も)め事の落とし前として、黒塩たちのアジトの倉庫に軟禁されている川萩が、海老原の指示により町を出る日が明日にせまっていた。川萩のお別れ会のために買出しに行かされた黒塩はイラつき、川萩は河上静を水野の乱交パーティーに黒塩が派遣したことを持ち出し、険悪な雰囲気に包まれる。しかし、ここは二人より圧倒的に強いアザミユーカリが黒塩と川萩をたしなめ、渋々二人は席に着く。ユーカリが2階にいる佐藤ヨウコも飲みに誘うも断られ、一同は酒好きのヨウコがそのうち降りて来るだろうと気にせず、川萩のお別れ会が開始される。そして、会話の中で佐藤アキラの名前が上がり、アザミはアキラの影響力の強さを褒め、黒塩は敬愛を込めてアキラを持ち上げる。そんな中、川萩は以前目撃したアキラを「ふつう」だと認識しており、どうスゴイのかと質問する。するとアキラが帰って来てから一度も会っていない黒塩は、川萩が先に会ったことが気に入らず、今にも喧嘩になりそうになるが、そんな中、川萩は腹を押さえトイレに駆け込む。その直後に黒塩も腹に異変を感じトイレに向かう。その様子を倉庫の2階からワインを片手に嬉しそうに双眼鏡で覗(のぞ)いているヨウコの姿があった。ユーカリはツマミとして食べたいわしの缶詰が腐っていたと気づき、アザミに告げる。実はこの腐った缶詰は、事前にヨウコが冷蔵庫に忍ばせていたのだった。すると余裕を見せていたアザミも、次第に身体に異常を感じ腹を押さえトイレに向かう。川萩がトイレに籠り、黒塩がドアを叩き壊す勢いでノックを繰り返す中、アザミはマイケル・ジャクソンのようなポーズで肛門を絞り上げて祈り出す。

潜り込む女

佐藤アキラ紅白組から襲撃を受けた河上静川萩を助けた様子を、黒塩は川萩から聞き出していた。そこでアキラが相手を無力化する寸前に、静に放った「もう大丈夫」という言葉に黒塩は悶絶し、こんなに安心感のある「大丈夫」はないと感動する。それを聞いていたアザミユーカリは、機会があればいつか使おうとひそかに決意する。そんな中、田高田に思い寄せる佐藤ヨウコは、帰ったばかりで住む場所がないから田高田の家に住まわせてほしいと頼み込む。住む家が見つかるまでだと考えた田高田は、二つ返事で了承する。するとヨウコは、ここに100年住みたいと言い出し、田高田が仕事に集中できる環境を作ると意気込みを語る。一時的な同居だと認識していた田高田は、炊事や掃除などの雑用までしなくていいと告げるが、ヨウコも一歩も引かずに、結局は勝手にしたらいいとの承諾を得る。無事に田高田の家に居座ることに成功したヨウコは、上機嫌でアキラに報告する。そしてアキラは、ミサキに経緯を説明すると、ミサキは二人の恋を応援することを心に決める。その頃、紅白組では松代が黒塩と川萩の喧嘩に割って入ってきた女(ヨウコ)に興味を持ち、1500万円もの懸賞金を懸け、捜索をルーマーに依頼していた。ルーマーの男は映像を見て、川萩たちをあしらう女の動きから素人ではないと見抜き、川萩と静を助けた男(アキラ)にもただならぬ違和感を抱き、仲間に「ファブル」の情報を再度洗うよう指示を出す。

ルール違反の男

海老原が雇ったフリーのヒットマン、ゲンの自宅にルーマーの男が上がり込む。命の危機を感じたゲンは、助かるために紅白組に寝返ろうとするが、ルーマーの男はゲンが海老原の弾除けに利用されただけだと判断し、銃弾を撃ち込む。そんな中、佐藤ヨウコ田高田に結婚を申し込んだものの、断りの返事を最後まで聞きたくないことを理由に、返事はメールでいいからと家を飛び出し、キャンピングカー暮らしに戻っていた。海老原が所有する土地に停(と)めさせてもらっていたが、外出から戻ったヨウコはキャンピングカーを覗き込む怪し気な男から声をかけられる。男は「近所の者」だと告げ、ヨウコに質問攻めにして、キャンピングカーに乗り込もうとするヨウコの肩を男がつかむ。男の指輪からは細い毒針が出ており、ヨウコは針に気づかなかったものの、肩の痛みに違和感を覚えたヨウコはすぐに場所を移動するためキャンピングカーを発進させる。その頃、黒塩佐藤アキラが助けた河上静に着替えを貸し、川萩との関係を聞いていた。そして黒塩は、水野主催のパーティーに「コンパニオン」として派遣された静を思い出し、実際は乱交パーティーだったことをしゃべろうとするが、静から「真黒組としてルール違反」と指摘され、内容を話すことを思い留まる。すると倉庫の外から物音が聞こえる。アザミユーカリが確認するためにドアを開けると大きなバッグが置いてあった。ユーカリが周囲を警戒する中、バッグを調べようとしたアザミは、バッグの中に人間が入っていることを察知する。

登場人物・キャラクター

佐藤 アキラ (さとう あきら)

裏組織「ファブル」でトップクラスの暗殺術を極めた殺し屋の青年。射撃技術と体術に優れ、近〜中距離ではほぼ最強の戦闘力を誇る。ふだんは無表情で無口だが、変顔で額を数回押すと自分自身が設定した人物像になりきれる「スイッチ」という技術を使って集中力を極限まで高める。「佐藤アキラ」は偽名であり、本名、年齢は不詳。過去に組織のボスの指示で殺し屋を休業していた1年間、大阪の太平市で一般人として過ごし、のちに殺し屋を引退した。現在は休業期間中に知り合ったミサキと結婚し平穏に暮らしているが、アキラの都合で結婚届は出していないために事実婚である。新婚らしくミサキからは「アッくん」と呼ばれ、ラブラブの関係にある。自宅では基本的に全裸で過ごし、殺し屋時代からの習性で布団やベッドは使わずに蓋を閉めてバスタブの中で眠っている。ファブル時代からの相棒である佐藤ヨウコとは、太平市に来た時から兄妹という設定で過ごしている。休業中に知り合った人たちも多く、その設定は現在でも引き継がれている。太平市に来るまでは殺し屋以外の仕事をしたことがなく、一般常識に欠けた一面が多く見られたが、現在では拙いながらも敬語を使えるようになり、なんとか社会に溶け込んでいる。休業中は田高田が経営するデザイン会社「オクトパス」でアルバイトをしていたが、現在は人助けサイト「レンタルおっちゃん」に登録し、なんでも屋のようなことを生業としている。異常なほどの猫舌で、熱い料理が苦手。訓練により毒物への耐性やアルコールにも強く、酒を飲んでもまったく酔わない。アキラの強さに惚(ほ)れ込んだ黒塩からは「兄さん」と呼ばれ、異常に慕われ懐かれている。ファブル時代から殺しの仕事の時は、目出し帽を覆面として着用している。お笑い芸人「ジャッカル富岡」の大ファンで、彼が出演するテレビ番組やラジオ番組は欠かさずチェックしている。「カシラ」という名前のインコを飼っているが、長期間留守にしていた際は黒塩に預けていた。ヨウコから結婚祝いに贈られた腕時計を愛用している。愛銃はナイトホーク。

ミサキ

佐藤アキラの妻で若く美しい女性。田高田が経営するデザイン会社「オクトパス」でイラストやデザインを担当しており、アルバイトとしてやって来たアキラと知り合う。ファブルや真黒組の抗争に巻き込まれ、紆余(うよ)曲折を経てアキラに思いを寄せるようになり、結婚に至った。新婚らしくアキラからは「ミーたん」と呼ばれ、ラブラブの関係にある。ごく一般的な感覚の持ち主ながら、アキラの殺し屋としての過去も受け入れ、彼の精神的な支えとなっている。佐藤ヨウコとも仲がよく、どんな極限にもまったく動じないアキラよりも、ミサキ自身と感覚が近いヨウコの力になりたいと思っている。恋バナが大好きで、ヨウコの田高田への思いを応援している。

佐藤 ヨウコ (さとう ようこ)

裏組織「ファブル」に所属する女性。佐藤アキラが殺し屋時代に助手を務めていた。茶髪のロングヘアと美しい顔立ちをしている。10歳からファブルのボスから「ファブル」として、さまざまな技術や考え方を仕込まれていた。アキラと共にボスからの指令で、大阪の太平市で1年間の休業期間を過ごした。「佐藤ヨウコ」はアキラと同様に偽名で、本名および年齢は不詳。アキラとは兄妹という設定で太平市に潜伏していたこともあり、現在でもその設定を引き継いでいる。殺しよりも情報収集や車の運転を得意としているが、実戦でも格闘家並の強さを誇る。つねに冷静沈着で一瞬のミスが死に繋(つな)がる状況でも、相手の出方を何通りもシュミレーションして対策を立てて油断がない。しかし大の酒好きで、酔っぱらうとふだんの冷静さを失い「面白いこと」を求めて常軌を逸した振る舞いを見せる。笑い上戸でもあり、急性アルコール中毒や食中毒になった相手を見て目を輝かせ笑い転げている。また酒の飲み方がオッサン然としており、色気がまったくない。アキラの妹として知り合った田高田に対して、当初は父親のように思っていたが、次第に好意を寄せるようになる。黒塩からは「姉さん」と呼ばれ、丁重に扱われている。アキラ同様に変顔で額を数回押すと、自分自身が設定した人間像になりきれる「スイッチ」という技術を使える。過去にユーカリと互角の戦いを経て、交流するようになる。「ユーカリの姉のようなもの」だと自称しているが、ユーカリからは「妹のようなもの」だと認識されており、二人の中ではまだ決着がついていない。休業後、アキラの依頼でファブル時代に殺害した人間の身内が、今どうなっているかを調べるためにキャンピングカーで全国を巡っていた。「おーい」という名前のハムスターを飼っていたが、長期間留守にしていた際にユーカリに預けていたうちに死んでしまう。

ユーカリ

裏組織「ファブル」に所属する殺し屋の青年。アザミの助手を務めている。痩せた体型で、耳上を刈り込んだドレッドヘアにしている。現在はファブルが殺しの依頼を受けていないため、組織から距離を置き、田高田が経営するデザイン会社「オクトパス」で配達を担当している。組織からの指令で、アザミと共に中国で暗躍した時期があり、その時に学んだ人体学や毒物に造詣が深い。佐藤アキラに影響され、人助けサイト「レンタルおっちゃん」に登録しているが、プロフィール画像の笑顔が田高田から「ムカつく顔」と評され、あまり依頼が来ていない。これまで腹を壊したことがないほど胃腸が強く、アザミや川萩、黒塩がいわしの缶詰で腹を下した時も平気だった。過去に佐藤ヨウコと互角に戦ったことがあり、「ヨウコの兄のようなもの」と自認しているが、ヨウコからは「弟のようなもの」として扱われており、二人の中ではまだ決着がついていない。かつてファブルに所属していた山岡からアザミと共に育てられた過去があり、山岡が亡くなった今も父親のような存在だと思っている。真黒組が所有する倉庫に黒塩とアザミと共に住んでいる。ヨウコから「おーい」という名前のハムスターを預かっていたが、預かっていた期間中に死んでしまい、「命」の尊さを考えるきっかけとなる。

アザミ

裏組織「ファブル」に所属する殺し屋の青年。ユーカリの相棒を務めている。現在はファブルが殺しの依頼を受けていないため、組織から距離を置いている。田高田が経営するデザイン会社「オクトパス」でイラストを担当している。筋肉質の厳(いか)つい体型で、坊主頭に顎髭(あごひげ)を生やして眼鏡をかけている。かつてファブルに所属していた山岡からユーカリと共に育てられた過去があり、ファブル時代は凄腕(すごうで)の殺し屋として活動していた。真黒組が所有する倉庫に黒塩とユーカリと共に住んでいる。世界的なウイルスの蔓延(まんえん)のため、オクトパスの仕事は現在はリモートで行なっている。殺し屋ながら涙もろく、他人の身の上話などを聞くとすぐに泣いてしまう。アキラの影響で人助けサイト「レンタルおっちゃん」に登録し、その涙もろさや顧客の愚痴を聞くのがうまいために好評を得ている。田高田からは「泣き虫の弱い男」として認識され、つねに心配されている。

黒塩 (くろしお)

真黒組の構成員である青年。短髪金髪で左目の下に傷がある。真黒組の若衆の中では顔役で、街の不良たちにも顔が利き、何人かを舎弟として従えている。高橋の兄貴分でもある。「一発デカいこと」をやるためにヤクザになった経緯があり、現実のシノギが詐欺や恐喝しかないことに辟易(へきえき)していた。そんなある日、真黒組客分として呼ばれた佐藤アキラの圧倒的な強さに惚れ込み、アキラの押しかけ舎弟となる。アキラの強さにあこがれており、現在は格闘技ジムに通っている。現在はアザミとユーカリと共に真黒組所有の倉庫に住んでいる。過去にその倉庫で餃子屋を開業しようとしていたが、世界的なウイルスの蔓延によって断念した。海老原をはじめ、周囲からは「クロ」と呼ばれている。一般人や敵対する者に対してはヤクザらしく凄むが、いざアキラが絡むと非常に言葉遣いが丁寧になり、手の平を返したようなお調子者となる。アキラの長期留守中にインコの「カシラ」を預かっていた。アキラのことを「兄さん」と呼んで慕っている。

海老原 (えびはら)

真黒組の組長を務める中年の男性。恰幅(かっぷく)のいい体型で、角刈りに顎髭を生やしている。先代組長の浜田が抗争で亡くなり、真黒組の組長に就任した。前科5犯のバリバリの武闘派ヤクザながら、ほどんどのヤクザが失っている極道としての矜持(きょうじ)を持っている。真黒組が所有する倉庫やマンションを、佐藤アキラをはじめアザミ、ユーカリらファブルたちの住む場所として提供している。以前は改造したハコスカに乗っていたが、アキラに譲って現在は普通車に乗っている。高橋が運転手を務めている。先代の頃から紅白組の縄張りを狙っており、紅白組組長の松代とは敵視しながらも付き合いは長い。筋を通すことを信条としており、アキラやアザミ、ユーカリには自分たちのヤクザの抗争にはかかわらせないようにしている。また、先代からの付き合いであるファブルとは、海老原自身の考えから現在は距離を置いている。

高橋 (たかはし)

真黒組の構成員である青年。短髪黒髪で組長の海老原の運転手を務めている。黒塩の弟分で、高橋自身のシノギがないため、運転手の仕事がない時は黒塩のシノギを手伝うこともある。黒塩同様に街の不良に顔が利く。まだ下っ端のため、女性とのデートに食べ放題の焼肉屋を選ぶなど、金銭感覚は非常にシビア。佐藤アキラをはじめファブルの存在を知る数少ない組員のため、トラブルが起きた時は海老原の命令でアキラを目的地まで運ぶこともある。

松代 (まつだい)

紅白組の組長を務める中年の男性。右側頭部に傷がある。唇を閉じた状態から「ぱっ」と口を開ける癖がある。絶大な力を持つヤクザ組織から盃(さがずき)をもらったことで、真黒組を取り込もうと動き出す。真正面からの抗争よりも、情報収集して相手の弱点を攻める喧嘩を得意としている。個人的に「ルーマー」という殺し屋組織とつながっており、海老原が裏組織「ファブル」と付き合いをやめたことを聞きつけ抗争に踏み切る。黒塩と川萩らが揉(も)めたことを抗争の火種にするため、軽傷の川萩を失明するまで痛めつけた。このような手口で事実を捏造(ねつぞう)するやり方を、海老原からは「ペテン」と評されている。黒塩と川萩らが揉めた現場に居合わせた佐藤ヨウコに対して、誰も感じなかった違和感を覚え、調べさせるなど危機管理能力は高い。また、ヨウコから銃を突きつけられても少しも動じない肝の太さを持つ。ヨウコから頰を銃で撃たれたり、強烈な金的攻撃を受けても性的快感に変換させることのできるド変態でもある。

川萩 (かわはぎ)

紅白組の構成員である青年。黒塩と同世代で、過去に黒塩と喧嘩をして前歯を全部折られたことがあり、前歯はインプラントである。また、川萩の元彼女で今も思いを寄せている女性、河上静を黒塩がソープに沈めたとカンちがいして恨んでいる。黒塩が通う格闘技ジムに入会したことで、長年の恨みが爆発して黒塩と揉めている。物語途中で、松代からヤキ入れられ、左目を失明して眼帯をするようになる。川萩の思いとは裏腹に静からはストーカー扱いされているが、川萩自身が成長した暁には再び付き合えることを夢見ている。静とは小学校からの幼なじみで、付き合っていたのは中学生の頃で体の関係はない。そのため、現在オッパブで働く静にかかわった男たちに嫉妬している。

河上 静 (かわかみ しず)

オッパブに勤務している女性。川萩の小学校からの幼なじみで、中学生の時に付き合っていたが、体の関係はない。たらこ唇で口の下に黒子がある。精神的に弱いため、手首を切ったり睡眠薬で自殺を図ろうとしたことがあり、川萩から心配されている。今でも川萩から好意を寄せられているが、河上静自身の中ではもう過去のことと考えているため、川萩をストーカー扱いしている。しつこくせまってくる川萩をうざいと感じ、「レンタルおっちゃん」で夜の帰り道をボディガードしてくれる男性を探していたところ、佐藤アキラと出会う。静自身は他人を見る目があると思っており、人の職業や過去を推測する時は「ピンときた」が口癖。しかし実際は、見たままの特徴を言っているだけであまり信憑(しんぴょう)性はない。当初はアキラの外見や雰囲気から「頼りない男」と認識していたが、川萩のせいで紅白組に拉致されそうになったところをアキラに助けられ、好意を抱くようになる。かつて黒塩からキャバクラを紹介され働いていたが、のちに自らソープ嬢に転職し、現在はオッパブに勤務している。風俗業にプライドを持っており、黒塩の紹介で「コンパニオン」として真黒組のド変態で有名な水野主催の乱交パーティーにも参加していた。

田高田 (たこうだ)

有限会社「オクトパス」の社長を務める男性。口髭を生やしている。年齢は50代。以前は中年太り気味だったが、蔓延したウイルスのせいで仕事が減った心労から痩せている。大の酒好き。事務所を田高田のいとこの物置小屋に移転し、自らも屋根裏部屋に住んでいる。周囲からは田高田の頭文字を取って「タコちゃん」「タコ社長」と呼ばれて慕われている。現在のオクトパスのスタッフはミサキとユーカリ、アザミの三人。過去に佐藤アキラをアルバイトで雇っていたことから、アキラの妹という設定の佐藤ヨウコと知り合い、酒好き同士仲よくなった。非常に面倒見がよく、自分とかかわった人間をつねに気遣って、なにかしてやりたいと考えている。裏組織「ファブル」のことはなにも知らないため、ユーカリやアザミから気を使われて会話されている。辞めたアキラのことも心配しており、なにかあれば力になりたいと考えている。ヨウコから好意を寄せられているが、どう対応すればいいかわからずに戸惑っている。実は20代の頃に結婚経験があるバツイチだが、子供はいない。

集団・組織

真黒組 (まぐろくみ)

太平市を縄張りとする、一本独鈷(どっこ)で昔気質(むかしかたぎ)な体質のヤクザ組織。裏組織「ファブル」との付き合いが長く、太平市に進出しようとする勢力をファブルに潰させていた。現在組長を務めるのは海老原で、先代まで付き合いのあったファブルとは縁を切るために動いている。隣市を縄張りとする紅白組とは因縁の関係で、お互いの縄張りを狙っている。先代の組長の浜田は抗争で裏社会の殺し屋に暗殺され、表向きは行方不明となっている。幹部も数人殺害されているため、組織は弱体化している。

紅白組 (くじらぐみ)

大西市を縄張りとするヤクザ組織。松代が組長を務めている。絶大な力を持つヤクザ組織の傘下に入り、その勢力を伸ばしている。構成員は約30人。隣市の真黒組の縄張りを狙っている。「ルーマー」という殺し屋組織とつながりがあり、その存在は組長の側近にすら知らされておらず、松代のみがコンタクトを取れる。真黒組の組長が海老原に代わり、幹部数名が行方不明になっている状況を見逃さず、真黒組へ抗争を仕掛けるために画策している。

ファブル

「寓話」を意味する「ファブル」という通称で語られる殺し屋組織。組織の正式な名称はなく、「仕事」を完了した際に裏社会のさらに裏で噂(うわさ)されることから通称でしか語られることはない。「ファブル」という名称は、組織だけでなくメンバー個人を表す際にも用いられる。組織の規模やメンバーなどの情報のいっさいは謎に包まれている。ボスの意向で現在は暗殺以外の仕事の事業展開を考えており、大幅な体制の変革が行われている。そのため殺し屋の佐藤アキラは事実上の引退となった。佐藤ヨウコやユーカリ、アザミはまだファブルに所属しているものの、組織から暗殺の依頼を受けていないため休業状態となっている。先代まで真黒組とは長い付き合いだったが、海老原に代替わりしてからは距離を置かれている。似た性質の殺し屋組織に「ルーマー」があり、こちらは紅白組とつながっている。

前作

ザ・ファブル (ざ ふぁぶる)

「ファブル(寓話)」と呼ばれる殺し屋が身分を隠し、一般人・佐藤明として新たな生活を送っていく姿を描いたアクションコメディ作品。講談社「ヤングマガジン」2014年第49号から2019年第51号まで連載。... 関連ページ:ザ・ファブル

書誌情報

ザ・ファブル The second contact 9巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉

第1巻

(2021-11-05発行、 978-4065258385)

第2巻

(2022-02-04発行、 978-4065268254)

第3巻

(2022-05-06発行、 978-4065277942)

第4巻

(2022-08-05発行、 978-4065288115)

第5巻

(2022-11-04発行、 978-4065297513)

第6巻

(2023-02-06発行、 978-4065307083)

第7巻

(2023-05-08発行、 978-4065316894)

第8巻

(2023-08-04発行、 978-4065326572)

第9巻

(2023-11-06発行、 978-4065336250)

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