ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋

東城大学医学部付属病院ICUを舞台に、医療とそれに関わる現場の抱える苦悩、理想と現実の葛藤を軸に展開する謎解き医療サスペンス。原作は海堂尊の同名小説で、こちらは2009年に竹内結子、阿部寛主演で劇場映画化されている。

正式名称
ジェネラル・ルージュの凱旋
ふりがな
じぇねらる るーじゅのがいせん
原作者
海堂尊
作者
ジャンル
推理・ミステリー
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概要・あらすじ

15年前、多数の負傷者を出した城東デパート火災で、采配を振るって多数の人命を救助した医師がいた。彼の名は速水晃一。負傷者の血に染まりながら、先陣を切って対応にあたる速水は、「ジェネラル・ルージュ」の異名で呼ばれていた。現在、彼は東城大学医学部付属病院のICU部長を務めているが、目の前の人命を救うためには、どんなことでもやりかねないと噂されるほど、「救命」にすべてを捧げていた。

ある日、速水はドクターヘリの導入を希望するが、予算がないと、事務長の三船に却下されてしまう。そんな折、速水と同期であり、医療事故防止委員会の委員長でもある田口公平のもとに、速水と企業との癒着を示唆した内部告発文書が届けられる。

登場人物・キャラクター

速水 晃一 (はやみ こういち)

東城大学医学部付属病院・オレンジ新棟でICU部長を務める壮年男性。15年前の城東デパート火災時、すべての患者を受け入れることを決断し、現場の指揮を執った時の姿から「ジェネラル・ルージュ」の異名を持つ。院内では自らを「患者の僕(しもべ)」と評し、人命救助を最優先に手腕を発揮している。膨大な予算が必要になるドクターヘリの導入を要望しているが、東城大学医学部付属病院は、かつて発生した大スキャンダル「バチスタ事件」により経営が思わしくなく、要望は保留されている。 のちに内部告発文書により収賄の疑惑を掛けられ、同期の田口公平による調査を受けることになる。よく棒付きキャンディをくわえている。

田口 公平 (たぐち こうへい)

東城大学医学部付属病院の神経内科講師を務める男性。基本的に、柔らかい表情と物腰の、壮年の医師。院内の医療事故防止委員会の現委員長でもある。医師でありながら血が苦手なため、出血と一番縁の遠い神経内科を選択した。同期の速水晃一に関する内部告発文書を受け取ったことから、その調査に着手する。

花房 美和

東城大学医学部付属病院・オレンジ新棟でICU看護師長を務める女性看護師。15年前から速水晃一のもとで働くベテランで、顎ラインに揃えた髪と口元のほくろが特徴。化粧っ気はないがルージュだけは引いており、それには隠された理由がある。職務には厳しい人物で、部下の如月翔子や森野弥生から怖がられている。

佐藤 智則 (さとう とものり)

東城大学医学部付属病院・オレンジ新棟でICU副部長代理を務める男性。速水晃一の部下で、速水のことは凄いと認めているものの、緊急搬送された患者を違う病棟に移動させた判断に対し、理由も聞かずに怒鳴りつけられたことに困惑している。速水のスパルタ指導と激務により、ストレスを溜めていると噂されており、速水の収賄に関する内部告発文書の作成者だと疑われている。

如月 翔子 (きさらぎ しょうこ)

東城大学医学部付属病院・オレンジ新棟のICU所属の女性看護師。黒髪ロングヘアで、年齢は20代半ば。休日に水落冴子のシークレットライブを鑑賞していたが、ライブ中、舞台上で吐血して救急搬送された冴子に付き添った。緊急搬送先は彼女の務める東城大学医学部付属病院で、一度は満床と断られるが、当直だった佐藤智則を強引に説き伏せて入院させた。 この行動を看護師長の花房美和に注意されたものの、逆に「では見過ごせば良かったのか」と問い返す気の強い性格。

森野 弥生

東城大学医学部付属病院・オレンジ新棟のICU所属の女性看護師。如月翔子の先輩で、少しぽっちゃり体型で髪色明るめのショートヘアが特徴。情報通で、如月と姫宮に、速水晃一が「ジェネラル・ルージュ」と呼ばれるようになったいきさつを、細部まで詳細に語って聞かせた。

姫宮 (ひめみや)

高階病院長の紹介状を持参し、東城大学医学部付属病院・オレンジ新棟のICUに新たに配属された新人女性看護師。長身でロングヘアを後ろで1つに束ね、そばかすに丸眼鏡をかけた女性。看護技術はまだ素人同然で、看護師長花房美和の指示により、ICU看護師如月翔子の指導を仰ぐことになる。一方で「死後Ai(検死CT)」などの専門用語をさらりと口にしたり、疑わしい遺体の検死CT画像を、速水晃一も驚くほどの読影力で解説してみせるなど、高度の医学知識を習得している。

高階 権太 (たかしな ごんた)

東城大学医学部付属病院の病院長。白髪をオールバックにまとめた年配の男性。終始にこやかな表情を浮かべているが、状況に応じては厳しい処断も辞さない。速水晃一の腕は認めており、今回のICUの速水に対する内部告発に対しては、残念なことだと感じている。沼田泰三には、「やり方が日本的で不明瞭である」として警戒されている。

沼田 泰三

東城大学医学部付属病院の精神科助教授。エシックス・コミティ(倫理問題審査委員会)の委員長も兼務している。額が広く顎の尖った、眼鏡をかけた中年の男性。田口公平にICUの内部告発についての審議を依頼された際に、大量の申請書類一式を代わりに差出し「紙切れ一枚で動ける部署ではない」と退けた。エシックス・コミティとは問題行為を審議のうえ、報告書を作成し、病院長へ事態の改善を勧告する部署のこと。

三船 (みふね)

東城大学医学部付属病院の事務長を務める中年男性。アメリカ帰りの経営コンサルタントで、厚労省の肝いりで派遣されてやって来た。エシックス・コミティ(倫理問題審査委員会)の副委員長も務め、収益を上げるために、病院長に対しても、院内のコスト削減をはじめとした苦言を呈している。

島津 吾郎

東城大学医学部付属病院の放射線科助教授で、MRIのスペシャリスト。ひげの濃い厳つい外見の壮年男性。速水晃一、田口公平とは同期で、麻雀仲間でもある。田口が受け取った、速水と企業との癒着を訴える投書を見せられた際に、「速水ならありえるかも」との見解を示した。

白鳥 圭輔 (しらとり けいすけ)

厚生労働省大臣官房秘書課付技官。明るい髪色に小太り体形の中年の男性。厚顔不遜な性格の厚労省の問題児。かつて田口公平とともに、東城大学医学部付属病院で起きた大きな事件「バチスタ事件」を解決に導いた。田口に対して推理を求めておきながら、その答えに対して容赦ない駄目だしをするなど、聞き取り方法に難はあるが、プロファイリング能力に秀でている。 高階病院長から、「バチスタ事件」の解決に助力した推理力を見込まれ、速水晃一に関する内部告発文書の真相究明の手助けを求められた。子供用玩具の「たまごっち」を常に携帯しており、重要な会話の途中でもおかまいなしにプレイする。マイペースな変わり者。

水落 冴子

デビュー20年目で活動再開した往年の歌姫。速水晃一も彼女のファンだが、今は若い層にも人気がある。如月翔子が鑑賞していたシークレットライブ中に舞台で吐血し、病院へと運ばれた。酒好きで、入院中にも関わらず、主治医に飲酒を見逃してもらっている。

黒崎 (くろさき)

東城大学医学部付属病院の臓器統御外科部長とRM委員会の副委員長を兼任する重鎮。唇の分厚い、バーコードヘアの中年男性。速水晃一とは考えが合わず、何かと対立することが多い。ウィーンに出張していたが、のちに帰国し重要な採決に携わる。

場所

東城大学医学部付属病院・オレンジ新棟

桜宮市の医療行政とのタイアップでスタートした新病棟。1階はICU、2階は小児科となっている。事務長の三船には、開始5年目にして今や最悪の赤字製造マシーンと評されている。ICU部長の速水晃一は、屋上のヘリポートにドクターヘリを発着させることを念願としているが、三船に予算がないことを理由に却下されている。

クレジット

原作

海堂尊

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