スケバン刑事if

スケバン刑事if

和田慎二の『スケバン刑事』のスピンオフ作品。『スケバン刑事』の主人公、麻宮サキとその最大のライバル、海槌麗巳がもしも違う形で出会っていたら、というパラレルワールドを描いた学園アクション。本作『スケバン刑事if』ではサキが天宮佑希、麗巳が氷室麗華に該当する。当初対立していた裕希と麗華が寄り添って未来を目指すまでを描いた学園アクション。1話完結の短編3編とミニエピソードで構成されており、「メロディ」1998年10月号、1999年5月号、「月刊コミックフラッパー」2003年3月号、4月号に掲載された。

正式名称
スケバン刑事if
ふりがな
すけばんでかいふ
作者
ジャンル
百合
レーベル
KADOKAWA
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あらすじ

第1巻

私立白鳳高校に転校して来た天宮佑希に一目で魅せられた生徒会長の氷室麗華は、手下を使って事あるごとに佑希をつけ狙っていた。近隣の高校を統括する裏の顔も持つ麗華は、佑希に尾行をつけ、やがて佑希が現在千葉に移されたコインロッカーに捨てられていたという過去を知る。一方、麗華からの執拗な攻撃に我慢の限界を超えた佑希は、麗華との直接対決に臨む。だが、そこに駆けつけた友人のノリコから、自分の原点であるコインロッカーが撤去された事を聞いた佑希は、急遽千葉に向かう。結局、コインロッカーを見つける事ができず、茫然自失状態となった佑希は不良達に叩きのめされてしまい、気がつくと麗華の部屋にいた。麗華は佑希が探していたコインロッカーを見せ、自分もまたコインロッカーに捨てられていたという過去を語るのだった。(第1章。ほか、3エピソード収録)

登場人物・キャラクター

天宮 佑希 (あまみや ゆき)

私立白鳳高校に転校して来た女子高校生。ロングヘアをゆるく一つに束ねている。群れるのが嫌いで、学生寮には入らず、友人の家を泊まり歩いている。鑑別所に入っていた事もある問題児であり、教師の沼の計らいで、白鳳高校に通う事になった。口が悪く、人とかかわるのが苦手。破壊力のあるヨーヨーが武器で、戦闘能力は非常に高く、相手が銃を持っていてもまったくひるまない。 17年前、新宿の東口のコインロッカーNo.0052に捨てられていた過去があり、その四角い空間が自分の原点だと、現在は千葉の駅に移されたそのロッカーの存在をたびたび確認しに行っている。しかし事あるごとに自分をつけ狙う生徒会長の氷室麗華から、そのロッカーを人質に取られ、自分の部屋でいっしょに暮らすよう命令される。 麗華と戦った際、誰よりもお互いをわかりあえる存在だと直感していたため、以降、麗華の部屋で暮らす事となる。誰にも頼らず生きていきたいと強く願っており、麗華の野望についても、邪魔をするつもりはない。一方、孤高の雰囲気を強く醸し出しているため、麗華をはじめ、麗華の友人の鳴海碧子からも、自分達の野望をいずれ邪魔するであろう強敵と認識されている。

氷室 麗華 (ひむろ れいか)

私立白鳳高校の2年生の女子。目つきの鋭い美人系で、縦ロールの長い髪をしている。生徒会長だが、近隣の高校すべてを統括している裏の顔を持ち、いっさい表面に出る事なく全国の学生を掌握しようとしている。学校というシステムを使って学生に影響を与え、氷室麗華の「意志」に賛同する人材を育てるという「邪悪」な野望を持つ。自宅の部屋で大量の大蛇を飼っていたが、自分の心のスキマを埋めてくれる天宮佑希と出会った事で、蛇達をスネークセンターに寄贈。 佑希のコインロッカーを買い取って部屋に置き、佑希に自身もコインロッカーベイビーだった事実を打ち明ける。佑希のロッカーを人質に取り、この部屋で自分といっしょに暮らすよう命令し、以降、佑希と共に寝起きするようになる。 ヨーヨーを武器としており、戦闘能力は高い。世の中のすべてを手中に収める事が自らの快楽につながると認識し、高みを目指してきたが、佑希に出会った事を機に、その考えに疑念を覚え始める。のちに、佑希に止めてほしいという心を押し殺しながら、世界征服のため、友人の鳴海碧子と共にロンドンへ向かう決意をする。

蘭丸 (らんまる)

氷室麗華の手下の男子高校生。前髪を横に流した丸いフォルムの短髪。麗華の野望にどこまでもついて行く忠誠心があり、天宮佑希との出会いで、麗華の心にかげりが見え始めたのを察知している。佑希がやるとなったらとことんやる性格だと理解し、佑希に対しては敵意でもない憎悪でもない、微妙な感情を抱いている。のちに、ビジョンが別の方向を向き始めている麗華を案じ、佑希に対して麗華から離れてほしいと土下座して懇願する。

(ぬま)

私立白鳳高校の教師を務める男性。ウエーブした前髪で右目が隠れており、左目の周りに逆三角形のアザがある。目の前にあらわれた一番の問題児、天宮佑希を、教育的なおせっかいといいながら、私立白鳳高校に入学させた人物。容疑者として警察に連行された佑希の面会に行くなど、なにかと世話を焼き、彼女の事を気に掛けている。

ノリコ

夜のお店で働いている女性。天宮佑希の友人で、黒髪を大きくウェーブさせたセミロングヘアにしている。かつて鑑別所でいつも佑希にかばってもらっていたため、佑希を慕い、学生寮になじめない彼女を家に泊めたりしている。彼氏と喧嘩して気分が落ち込んでいる時、佑希に誘われ千葉の海に行き、佑希がコインロッカーベイビーだったという事を知る。

吉永 桜子 (よしなが さくらこ)

高校1年生の女子。睡眠薬(ハルシオン)の飲み過ぎによりショック死した。所持金が奪われていた事から、強盗・殺人の容疑者として天宮佑希が逮捕される事となった。かつてチンピラに絡まれていたところを佑希に助けられた事から友達になり、佑希に自分がアルバイトするパン屋を紹介したという経緯がある。ゲームセンターで名刺を作ったり、プリクラを撮るのが好きな明るい性格だが、友達がいない寂しさを抱えていた。

平塚

天宮佑希を逮捕した刑事の男性。整髪料でキッチリ髪を固めており、口が悪い。佑希がアルバイト料を盗む目的で吉永桜子に睡眠薬を飲ませ、昏睡状態の彼女を放置して逃げたと見て、厳しい取り調べを行う。

倉本 明

国会議員・倉本総吉の息子。以前から睡眠薬を使っての異性交遊の噂があった若い男性。その線から吉永桜子の死亡事件への関与が浮上した。横分けにした前髪を下し、派手でキザな服装をしている。国会議員である父親からの抗議と、彼に関するすべての事件をもみ消して来た弁護士の強力な後ろ盾で、のらりくらりと黙秘し、事情聴取は難航。だが、氷室麗華が「裏の生徒会」に身辺捜査の指示を下した事で、目を付けた女の子を手当たり次第に呼び出しては、騙して睡眠薬を飲ませ、金を奪って放り出す札付きの悪だという事実を摑まれる事となった。

鳴海 碧子 (なるみ みどりこ)

イギリスでの氷室麗華のパートナー役を務める女性。世界を掌握するための行動を開始すべく、ロンドンへ麗華を迎えるために来日した。長い黒髪を高い位置で束ね、ゴージャスな服装をしている。麗華への信頼は厚く、野望のために実の親をも殺せる覚悟を持つのは、世界で自分と麗華くらいだと考えている。天宮佑希を一目見て敵だと直感し、麗華に早く殺すよう進言。 さらに佑希のただならない雰囲気に恐れを感じ、ロンドンに出発する前に自分の手下の美鈴に佑希を襲わせる。

美鈴 (みすず)

私立白鳳高校の女子高校生。氷室麗華の手下。両サイドをピンで留めた黒髪のロングヘアにしている。麗華からヨーヨーを譲り受け、日々訓練に励んでいる。麗華を慕うあまり、麗華の屋敷に出入りしている天宮佑希を快く思っていない。ロンドンに旅立つ麗華を追いかける佑希にヨーヨーで戦いを挑むが、ケタ違いの強さを見せつけられる事となる。

書誌情報

スケバン刑事if KADOKAWA

(2004-06-23発行、 978-4840109543)

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