奇妙でグロテスクなデザインで描かれるRPG的世界
本作の舞台となるのは、異世界のとある王国。ドラゴンへの変身能力を持つドラクメタモル(竜化人)の血を引く者が代々国王を務め、人間の他に猫や昆虫の亜人が存在する。また、さまざまな特殊能力を持つ者もおり、バルビトスと呼ばれている。主人公ユーヴァらが挑む、宙に浮かぶ「竜の塔」は、直径3キロメートルもある巨大な建造物。階層によって構造は異なるが、基本的には迷宮になっており、ユーヴァらは階段を見つけて上の階層に進んでいくことになる。行く手を阻むのは、塔で命を落とした亡者や階段を守る巨大な衛兵、粘液状の大スライム、上半身だけのドラゴンといった魑魅魍魎たち。また、壺や宝箱を壊せば金品を手に入れられるなど、ファンタジーRPG的な世界を、奇妙でグロテスクなデザインで描いている点が特徴である。
王女救出のため「竜の塔」に挑む
ある日、邪悪な死霊術師が国王を殺し、イグネリア王女を「竜の塔」に連れ去ってしまう。近衛兵団は竜の塔に挑むが、強力な魔物たちの攻撃によって大きな痛手を負う。負傷兵補充のために徴発が行われ、それに応じた農夫ユーヴァは、怪力を認められて近衛兵団の従者となった。第50階層の「大スライム」の弱点をついて倒したユーヴァは、その死体から光る玉を手に入れる。そこに姿を見せた死霊術師は、第100階層で光る玉と王女を交換すると言って消えてしまった。その後、近衛兵団は王国議会の命令で、ユーヴァ、リリセン、エリクォの3名を残して撤退することになる。ユーヴァら3名は近衛兵団第七分隊として、王女救出のために、竜の塔第100階層を目指す。
報酬に惹かれて集まる冒険者たち
近衛兵団撤退と同時に、議会は王国全土にお触れを出した。それは、「王女を救出した者には、王女との婚姻とともに王位を授ける」というものだった。このお触れにより、竜の塔の麓に宿屋や酒場を有する町が出来上がり、どんどん人が集まってくる。皆、竜の塔攻略を目指す冒険者たちだが、王女救出を目的にする者のほか、遺構荒らし集団として名を馳せる「掘削連合」といった、塔の宝目当ての連中もいる。また、遺構探索では、仲間だと思っていた者に、後ろから刺されることもよくある話である。ユーヴァらはライバルである他の冒険者たちより先に、王女を救出しなければならなくなる。
登場人物・キャラクター
ユーヴァ
祖父母、妹と共に田舎で暮らしていた青年。常人離れの怪力と頑丈な体の持ち主。王国の召集に応じ、近衛兵団の従者として竜の塔に向かう。大スライムに塩をかけて倒すという任務を見事に果たし、「塩撒き名人ユーヴァ」として知られることに。近衛兵団撤退時に、兵士として佩剣(はいけん)を認められて第七分隊に所属。リリセン、エリクォと共に王女救出の任に当たる。
リリセン
近衛兵団に所属する火の魔法が得意な魔法使い。力は未知数だが「バルビトス(特別な力を持つ者)」という存在である。エリクォとは王立学院の同期。金髪の美少女だが気性が荒い。「大スライム」に捕らわれていたところを救われるが、恩人のユーヴァのことを快く思わず嫌がらせや暴言を吐く。近衛兵団撤退時に第七分隊に配属され、ユーヴァ、エリクォと共に王女救出の任に当たる。
エリクォ
近衛兵団に所属する戦士。リリセンとは王立学院の同期。王国の射撃大会で何度も一位になっている弓の名手。生真面目な性格でプレッシャーに弱い面がある。近衛兵団撤退時に第七分隊隊長に任命され、ユーヴァ、リリセンと共に王女救出の任に当たる。
書誌情報
タワーダンジョン 4巻 講談社〈シリウスKC〉
第1巻
(2024-02-08発行、 978-4065346976)
第2巻
(2024-05-09発行、 978-4065356449)
第3巻
(2024-10-08発行、 978-4065369913)
第4巻
(2025-03-07発行、 978-4065387351)