ダンダリン一〇一

ダンダリン一〇一

鈴木マサカズの代表作の一つ。原作を『カバチタレ!』で知られる田島隆が「とんたにたかし」名義で担当している。広島の芸南労働基準監督署を舞台に、労働基準監督官である段田凛が、同僚や上司たちと力を合わせて違法な労働環境やパワーハラスメント、セクシャルハラスメントなどの問題に向き合い、ブラック企業を摘発していく姿を描いた労働環境改善ドラマ。悪質な経営者に苦しめられる従業員の姿や、彼らを救うべく奔走する労働基準監督官とブラック企業の対決が生々しく描写されている。講談社「モーニング」2010年7号から2010年35号にかけて掲載の作品。2013年10月にテレビドラマ版『ダンダリン 労働基準監督官』が日本テレビ系列で放送された。凛を竹内結子、土手山郁夫を北村一輝が演じている。テレビドラマ版は舞台が広島ではなく東京になっているほか、ドラマならではのオリジナルキャラクターも登場する。

正式名称
ダンダリン一〇一
ふりがな
だんだりんいちまるいち
原作者
とんたに たかし
漫画
ジャンル
警察官・刑事・検察官
 
経営
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
全1巻完結
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新人監督官が労働問題に挑む

本作は、凛が芸南労働基準監督署に着任してきたところから物語が始まる。生真面目で快活な凛は、着任早々やる気に満ちた挨拶をするも、教育係となった土手山とトラブルになり、周囲の雰囲気を悪くしてしまう。そんな中、芸南労働基準監督署に労働災害関連の相談者が訪れる。相談者の妻は、夫の西川修が勤務する鴨光リフォームで酷いいじめを受けていると語り、労働災害に値するかどうかの調査を依頼する。この案件に心当たりがあった凛は、土手山と共に鴨光リフォームの本社に赴くが、社長の鴨光七彦は高圧な態度で臨検を拒否する。凛と土手山は鴨光の態度に憤り、仲間たちと共に不正を暴くために動き出す。

毅然とした態度で仕事に臨む労働基準監督官たち

労働基準監督官は俗に「労働Gメン」とも呼ばれており、労働基準法などの労働者保護法規を守らせることを職務としている。彼らは、厚生労働省職員にして特別司法警察員でもあり、労働事件における実質的な警察官としても活動している。芸南労働基準監督署が摘発しようするブラック企業は、事前に証拠を隠滅しようとしたり、従業員から高い税額を天引きしながら税務署に安い税額を納めるなど、あの手この手で彼らの追及をかわそうとしている。監督官の凛や土手山は彼らの狡猾な手口を暴くべく、膨大な情報を精査しつつ、実際に会社に赴いて臨検したり、経営者の報告と現実の矛盾を指摘したりと、不当な扱いを受けている労働者のために奔走する。

過酷な労働環境に苦しむ人々

本作では、経営者の横暴な振る舞いに苦しめられている労働者が登場する。鴨光リフォームに勤務する西川は、就職の見返りに自らの家のリフォームを無理やり契約させられ、仕事でミスをしたらほかの社員の前で反省文を読まされたうえに給料を3分の1にさせられるなど、陰湿ないびりを受けて精神を病んでしまう。また、登呂岩鉄工所で働く茅ヶ崎は、息子と共に工場で働いていたが、会社から早期退職をうながされるもそれに応じなかったため、社長から執拗な嫌がらせを受け、高所から落下して帰らぬ人となった。凛と土手山は、こういった被害者を一人でも減らすべく、悪質な経営者たちと対峙する。

登場人物・キャラクター

段田 凛 (だんだ りん)

労働基準監督官を務める女性。眼鏡をかけている。監督官になってから6年目で、前任の三村監督官の後任として芸南労働基準監督署に着任する。生真面目な性格で正義感が強く、ワンマン経営者の横暴な振る舞いに苦しむ労働者を救いたいと考えている。会社の不正を感じ取ると、即座に実態を調査しようとするなど、フットワークが軽い。その一方で、自分が納得できないことであれば上司にも食い下がり、窘めようとする先輩の土手山に暴言を吐いたりと、まじめさゆえに周囲と衝突する危うさも併せ持つ。一方で、問題を解決できずに依頼者から恨み事を言われると、心が折れて無断欠勤するなど、繊細な一面も見せる。

土手山 郁夫 (どてやま いくお)

労働基準監督官を務める男性。芸南労働基準監督署に勤めている。新しく着任してきた凛の教育係を任されている。ふだんから気だるい雰囲気を漂わせているため、上司との折り合いはあまりよくない。しかし、一度依頼を受けると文句を言いながらも真摯に仕事に取り組んでおり、悪質な経営者に対しては監督官の権限を限界まで使って追求している。凛の行動力と正義感を高く評価しているため、上司に逆らっても彼女が正しいと判断すればフォローに回ることも躊躇(ためら)わない。一方で、彼女の繊細さや猪突猛進さを危惧しており、凛の心が挫(くじ)けた時は復活を願いながらもあえて突き放す態度を取ることも少なくない。「労基なめんなや」が口癖で、臨検を拒否したり不正を働く経営者を懲らしめる際に発言する。

クレジット

書誌情報

ダンダリン一〇一 全1巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2010-09-22発行、 978-4063729436)

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