あらすじ
第1巻
トオルの祖父の介護と生活苦のため、不自由な生活を送っている山根トオルは、友達の日向優から夏祭りに誘われる。片思いをしている雪園栞が来ると聞いたトオルは、衝動的に祖父を残したまま家を抜け出してしまう。しかし、祖父はトオルが不在のあいだに自殺をしてしまい、トオルは激しい罪悪感を覚える。その後、葬儀で学校を休んでいたトオルの自宅に雪園がやってきて、優が行方不明になっていることを伝える。そんな中、心配するトオルのもとに、優から警察や親には連絡せずに傍島まで助けにきてほしいという手紙が届く。さらに雪園のほかに11人の女性にも優から同様のメッセージが届いており、トオルはメッセージを受けた全員と共に、優を救出するために傍島へと向かう。傍島に到着したトオルたちはさっそく優の捜索を開始するが、その最中に傍島まで船を出してくれた男性が殺害される事件が発生。その殺害現場にトオルがいたことから、トオルは女性たちによって柱に縛られ、犯人扱いを受けて隔離されてしまう。そして女性たちは、優の行方を捜すとともに島を出る手段を模索する。そのスキにトオルは雪園に助けられるが、雪園は以前と様子が明らかに違い、常軌を逸した行動を取るようになる。
登場人物・キャラクター
山根 トオル (やまね とおる)
高校2年生の男子で、トオルの祖父とトオルの叔母の三人暮らし。細身で身長が低いことから、素行の悪い先輩からはからかわれている。非力ながら正義感の強い性格で、優しい心の持ち主。住居を提供される代わりに、祖父の介護を任されている。また金銭的にも厳しいため、自由な時間がほとんどない過酷な生活を送っている。親友の日向優から、山根トオルが片思いをしている雪園栞も夏祭りに参加するからと誘われ、一時的に家を抜け出して夏祭りに参加する。そのあいだに祖父が自殺を図り、激しい罪悪感を覚えている。のちに行方不明になった優から、警察や親には連絡せずに傍島まで助けに来てほしいという内容の手紙を受け取り、同じく手紙を受け取った雪園らと共に傍島へと向かう。
日向 優 (ひなた ゆう)
高校2年生の男子で、山根トオルのクラスメート。トオルと親しくしているものの、日向優自身のことはあまり話そうとしない。黙っていても女性が寄ってくるほどのイケメンで、「女限定のハーメルンの笛吹き」の異名を持つ。トオルがトオルの祖父の葬儀のため、学校を休んでいる時に行方不明となる。のちにトオルの家のポストに、警察や親に連絡せずに傍島まで助けに来てほしいという内容の手紙を残したことで、トオルや雪園栞たちが傍島に向かうきっかけをつくった。
雪園 栞 (ゆきぞの しおり)
高校2年生の女子で、山根トオルのクラスメート。おとなしく目立つことが苦手な性格から、神谷ミサカほどの人気はないものの、クラスでは清楚な美少女として注目されている。黒髪のボブヘアの髪型で、胸が非常に大きい。入学時よりトオルから恋心を寄せられているが、雪園栞自身はまったく気づいていない。日向優を救出するため、トオルたちと傍島へと向かうメンバーの一員となる。トオルと特別に親しかったわけではなかったが、傍島に到着してから異常に執着するようになり、言動がおかしくなっていく。
神谷 ミサカ (かみや みさか)
高校2年生の女子で、山根トオルのクラスメート。細身な抜群のスタイルで、ツインテールの髪型をしている。社交的な明るい性格で、クラスの男子から圧倒的な人気を誇る美少女。日向優を救出するため、トオルたちと傍島へと向かうメンバーの一員となる。トオルとは親しくなかったこともあり、女性を嫌らしい目で見ていると気持ち悪がっていた。
夏目 ユカ (なつめ ゆか)
山根トオルと同じ高校に通う2年生の女子。黒髪のショートヘアで、眼鏡を掛けたまじめな雰囲気を漂わせている。周囲がパニックになっていても、冷静に行動できるしっかり者。トオルとは面識はなく、日向優を救出するために傍島へと向かうメンバーの一員になったことで知り合う。
米沢 よしこ (よねざわ よしこ)
山根トオルと同じ高校に通う2年生の女子。小麦色の肌に派手なメイクを施した、いわゆるギャル。トオルとは面識はなく、日向優を救出するために傍島へと向かうメンバーの一員になったことで知り合う。優が行方不明になる直前、「介護を押し付けられているトオルを助けるために金が必要だ」と相談を持ちかけられている。また、自分たちよりも先に傍島に到着していた何者かと面識があり、トオルたちも知らない情報を得ている。トオルたちを傍島に誘った黒幕的な存在だったが、傍島に到着した当日の夜、無残にも殺害されてしまう。
遠枝 翼 (とおえだ つばさ)
山根トオルと同じ高校に通う1年生の女子。ロングのストレートヘアで、細身なスタイルの持ち主。さらに背が低いことから、年齢よりも幼く見える。一人称は「自分」で、語尾に「～っす」を付ける癖がある。トオルとは面識はなく、日向優を救出するために傍島へと向かうメンバーの一員になったことで知り合う。
鬼瓦 キリエ (おにがわら きりえ)
山根トオルと同じ高校を卒業した女性。黒髪のロングのストレートヘアにしている。ミステリアスでつかみどころのない性格で、何を考えているのかわからないところがある。基本的にトオルを見下しており、わざと挑発的な言動を取ることもある。トオルとは面識はなく、日向優を救出するために傍島へと向かうメンバーの一員になったことで知り合う。メンバーからは「キリエ先輩」と呼ばれている。
さよちん
日向優とSNS上で親しくしていた女子高校生。ストレートのロングヘアで、ヘアバンドをしている。山根トオルとは面識はなく、優を救出するために傍島へと向かうメンバーの一員になったことで知り合う。
マーサ
日向優とSNS上で親しくしていた女子高校生。ふだんはキャップを目深にかぶっており、つねに表情を見せないようにしている。山根トオルとは面識はなく、優を救出するために傍島へと向かうメンバーの一員になったことで知り合う。
めぐる
日向優とソーシャルゲームを通じて、親しくなった少女。サイドを小さなリボンで結んだショートヘアにしている。細身の美少女で、ファッションセンスが非常にいい。山根トオルとは面識はなく、優を救出するために傍島へと向かうメンバーの一員になったことで知り合う。
宮野姉 (みやのあね)
日向優と友人の女子高校生で、黒髪のショートヘアにしている。山根トオルとは面識はなく、宮野妹と共に優を救出する目的で傍島へと向かうメンバーの一員になったことで知り合う。気弱な性格で冷静さには欠けるものの、思ったことははっきり主張するタイプ。
宮野妹 (みやのいもうと)
日向優と友人の少女。気の弱い性格で、宮野姉の陰に隠れていることが多い。山根トオルとは面識はなく、姉と共に優を救出する目的で傍島へと向かうメンバーの一員になったことで知り合う。
トオルの祖父 (とおるのそふ)
山根トオルの祖父で、ほぼ寝たきりの状態が続いていた。そのため、つねに介護が必要ではあるものの、トオルの叔母がいっさいの世話を拒否しているため、トオルが世話をしている。自分の介護がトオルにとって負担になっていることを理解しており、事あるごとに感謝の気持ちを伝えている。トオルが夏祭りに行ったスキに、最期の力を振りしぼって自ら命を絶った。
トオルの叔母 (とおるのおば)
山根トオルの叔母。甥のトオルと寝たきり状態のトオルの祖父の三人で暮らしている。トオルの祖父とは折り合いが悪く、住居を与えることの代償としてトオルに介護のすべてを任せている。パチンコをはじめとしたギャンブルが大好き。
場所
傍島 (よるじま)
日本にある無人島。以前は小さな集落があったが、度重なる天災や事故によって人口が減少。さらに5年前に島内で無残な殺人事件が起こったことをきっかけに、現在は無人島になっている。行方不明になった日向優が、警察や親にも連絡せずに傍島まで助けに来てほしいと山根トオルや雪園栞あてにメッセージを送ったことにより、12人が救出のために上陸している。島内は廃墟と化しているが、一部の住居はまだ住むことができる。
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