マグメル深海水族館

マグメル深海水族館

マグメル深海水族館で清掃員として働く青年の夢は、深海生物の飼育員になる事だった。深海生物をこよなく愛する青年の成長を描いたビルドゥングスロマンで、1話完結の連作短編形式で描かれる。エピソードタイトルは登場した深海生物の名前となっており、その生物の詳しい解説もエピソードの終わりに付加されている。また、各巻の巻頭にはミニエピソードが挿入されている。

正式名称
マグメル深海水族館
ふりがな
まぐめるしんかいすいぞくかん
作者
ジャンル
水族館
レーベル
バンチコミックス(新潮社)
巻数
既刊9巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

あこがれのマグメル深海水族館で清掃員のアルバイトとして働く天城航太郎は、幼い頃から深海生物の飼育員になりたいと思っていた。ある時、ダイオウグソクムシを気持ち悪がるイマドキのカップルに、その生態をきちんと説明するよう、深海生物ファンらしき少女にせっつかれる。気弱な航太郎は、思い切ってダイオウグソクムシの凄さを説明するが、カップルは所詮は虫だと取り合わない。そこへ、マグメル深海水族館の館長の大瀬崎湊人が現れ、水槽のダイオウグソクムシを華麗に飛ばして見せるのだった。(#1「ダイオウグソクムシ」。ほか、3エピソード収録)

第2巻

マグメル深海水族館の補助飼育員となった天城航太郎が、最初に担当する事になったのは、ミツクリエナガチョウチンアンコウのみっちゃんだった。開館当初からここにいる「マグメルの主」、みっちゃんに認めてもうべく、猛勉強する航太郎だったが、みっちゃんはひたすら航太郎の給餌を拒む。航太郎は大きなメスにオスが寄生するというチョウチンアンコウの生態を鑑み、みっちゃんの気持ちに寄り添う事で、ある結論にたどり着く。(#5「チョウチンアンコウ」。ほか、3エピソード収録)

第3巻

マグメル深海水族館での飼育作業に慣れて来た天城航太郎は、お客さんの前でクラゲドームの解説をする大役を任される。周囲の暖かいサポートを受けながら、航太郎はクロカムリクラゲが発光する姿をお客さんに見せたいと考え、知恵を絞る。そんな中、航太郎は館長の大瀬崎湊人の部屋で、深海写真家の父親、石花航洋のカメラに残されていた女性の写真を目にする。動揺した航太郎だったが、余計な事は考えずに仕事に集中する事を決め、春野出帆にある事を相談する。解説当日、みっちゃんと同じ水槽を使う事で、無事クロカムリクラゲを発光させる事に成功する。航太郎をねぎらった湊人は、写真の女性は亡くなった自分の妻の大瀬崎凪子で、航太郎の父親の航洋と自分は親友だったと語り始める。(#13~#14「クロカムリクラゲ」。ほか、3エピソード収録)

登場人物・キャラクター

天城 航太郎 (てんじょう こうたろう)

マグメル深海水族館で、清掃員のアルバイトをしている若い男性。深海写真家の石花航洋と明日海の息子。黒色のラフな短髪をしている。父親の影響から、幼い頃より深海生物の世界に傾倒している。狭き門である飼育員を目指しているが、引っ込み思案な性格が災いし、自分の希望をはっきり主張できないでいる。しかし、館長の大瀬崎湊人の深海生物に関する豊富な知識に魅せられ、湊人のようになりたいと強く願うようになる。当初は、口癖のように「すみません」と口にしていたが、マグメル深海水族館で働く人達や同年代のシェフ見習いの堂ヶ島蘭、漁師の白浜深夜に感化され、深海生物への愛情を臆する事なく表現するようになる。おどおどした態度を取る事が多いが、深海の事になると非常に饒舌になる。深海生物に対する熱意と前向きな姿勢が認められ、清掃員兼飼育補助員として新たなスタートを切る。時おり、大胆な行動を起こすため、度胸があるのかないのかよくわからないと、湊人から評されている。苦手なものは船とホラー映画。

大瀬崎 湊人 (おせざき みなと)

マグメル深海水族館の館長を務める男性。深海のスペシャリストとして知られている。トップが長めの短髪で無精ヒゲを生やしている。大瀬崎なぎさの父親で、妻の大瀬崎凪子は6年前に亡くなっている。マグメル深海水族館が入館者にとって、深海という暗闇の世界を照らす小さな光となる事を願っており、深海生物の魅力をみんなに伝えている。深海生物を守り育てていく事がマグメルの役割であると考えており、深海生物をこよなく愛する清掃員兼飼育補助員の天城航太郎に期待している。のちに、航太郎が大瀬崎湊人自身の親友だった石花航洋の息子だと知るものの、ひどい言葉で航洋を傷つけた過去があり、その罪悪感から航太郎になかなか言い出せないでいる。

石花 航洋 (せの こうよう)

深海写真家の男性。天城航太郎の父親で、明日海の夫。航太郎と同じような黒色のラフな短髪をしており、左目の下にホクロがある。昔から写真を撮りに行くとなん日も家に帰らないのは当たり前だったが、6年前に出て行ったきり、行方知れずとなる。大瀬崎湊人とは親友で、湊人の妻の大瀬崎凪子といつも三人でいっしょにいたが、凪子が亡くなり、その辛さに耐えきれない湊人から、遠ざけられるようになった。家を出て行ったのはちょうどその頃だと、湊人が航太郎に石花航洋との過去を語った事から判明。出て行った際には、マグメル深海水族館の開館日のチケットを航太郎に残していった。深海は「宇宙より遠い海」だと語り、航太郎に深海生物の魅力を教えた人物。

明日海 (あすみ)

天城航太郎の母親で、石花航洋の妻。メッシュの入ったショートボブヘアで、若々しい雰囲気を持つ女性。あっけらかんとした明るい性格で、航太郎の考えている事はなんでもお見通しである。

大瀬崎 なぎさ (おせざき なぎさ)

大瀬崎湊人の一人娘。母親の大瀬崎凪子は大瀬崎なぎさを産んですぐに亡くなった。年齢は6歳。おかっぱヘアで、トップの髪をリボンを結んでいる。父親同様に深海生物を愛しており、ダイオウグソクムシを気持ち悪いというカップルに対して、天城航太郎にダイオウグソクムシについてきちんと説明するよう求めた。モノをはっきり言うしっかりした性格で、父親に対するダメ出しが厳しい。

大瀬崎 凪子 (おせざき なぎこ)

大瀬崎湊人の妻。6年前に大瀬崎なぎさを産んですぐに亡くなった。ウェービーな明るい色のロングヘアをした美しい女性。湊人と航洋といつも三人いっしょだった事から、凪子が亡くなった事で、湊人と航洋の関係は疎遠になった。海の写真ばかり撮っていた石花航洋のカメラに、大瀬崎凪子の写真が残されており、天城航太郎はそれが誰なのか訝しんでいたところ、湊人の部屋で同じ写真を見つけて動揺する事になる。

長泉 湖 (ながいずみ しずか)

マグメル深海水族館で飼育員を務める若い女性。ロングヘアをゆるく二つに結んでいる。オープン初日、ダイオウイカを見て表情を輝かせるお客さんの顔が忘れられず、みんなの心に残るような水族館を運営したいと、日々努力している。穏和な性格で、クラゲドームの解説を任されて緊張している天城航太郎に、愛のある解説をすればみんなは理解してくれると、優しくアドバイスを送った。

由比 朝陽 (ゆい あさひ)

マグメル深海水族館で飼育員を務める若い男性。マッシュ系の短髪に、眼鏡をかけたクールな雰囲気を漂わせている。余計な仕事はしない合理主義者。偽悪者ぶるところがあり、天城航太郎に対しての態度は冷たく、意地悪な事を言って楽しんでいる節がある。小学生を引率中に倒れた清水を気に掛け、自分を大事にしろと説教するなど、時には熱い一面も見せる。姉は医者を務めている。

春野 出帆 (はるの いずほ)

マグメル深海水族館で獣医を務める男性。大柄な体型の、明るい色のエアリーな短髪で、顔が半分隠れている。愛想が悪く、いつもテンションが低いため、天城航太郎から当初は苦手意識を持たれていた。どんなに小さな命でも海から預かった大切な命だとして、深海生物に対しても真摯な飼育を心掛けている。大好きなココナッツミルクは激甘で、ホラー映画を大量に保有しているなど、一風変わった人物でもある。マグメル深海水族館の職員からは、「ハルさん」と呼ばれている。なぎさには、絵本のおばけに似ているため、「おばけのおじさん」と呼ばれている。

堂ヶ島 蘭 (どうがしま らん)

マグメル深海水族館の潜水艦型レストラン「ラティメリア」で、シェフ見習いをしている若い男性。背が高く、明るい色のラフな短髪をしている。明るい性格で、深海生物で新メニューを開発したいと、初対面の天城航太郎に協力を求めた。それからは漁師の白浜深夜を交え、三人で交流を深めていく。修学旅行で訪れたマグメル深海水族館のレストラン「ラティメリア」で初めて食べた深海魚料理に感動し、その場でここで働きたいと志願した。なにもできない自分を雇ってくれた料理長に恩返ししたい思いが強く、航太郎達の協力のもと、キンメダイのラーメンを考案した。堂ヶ島蘭自身にとって深海は、まだ誰も食べた事がない食材の宝庫だと考えている。

相良 沖次郎 (さがら おきじろう)

第八清波丸の船長を務める初老の男性。白浜深夜の師匠にあたる。ぶっきらぼうで口が悪く、誤解されやすい性格だが、心根の優しい人物。「俺達の網にかかった魚の死を無駄にするな」というのが口癖で、深海生物が網にかかると、マグメル深海水族館に連絡している。東京に引っ越して来た小学生の深夜が落ち込んでいるのを見て、「光るサメ」を獲って来てやると、啖呵を切った。周囲からは「沖さん」と呼ばれている

白浜 深夜 (しらはま しんや)

相良沖次郎のもとで働く若い漁師の男性。色黒で、ウエービーな髪を一つに束ねている。ぶっきらぼうな沖次郎の人となりを天城航太郎に教えた人物。淡々とした性格でクールに装っているが、実は人間味がある。また大食漢で知られ、堂ヶ島蘭の料理開発に協力するが、容赦なくダメ出しをした。沖次郎とは息もぴったりで、まるで親子のように振る舞っている。小学生の時に沖縄から東京に引っ越して来て、「光るサメ」を釣ったという事を信じてもらえず、不登校気味になっていた。東京湾の港で、沖次郎から声を掛けられて知り合った。

モモ

相良沖次郎達がエサをやっているモモイロペリカン。いつの間にか、第八清波丸を停留させている東京湾の港に住み着いた。体長は80センチくらいで、船酔いでフラフラになった天城航太郎からボートの鍵を奪うなどいたずら好き。白浜深夜によく懐いている。

料理長 (りょうりちょう)

マグメル深海水族館の潜水艦型レストラン「ラティメリア」で、料理長を務める中年の男性。短髪で、口ヒゲを生やしており、関西弁で話す。修学旅行中の堂ヶ島蘭から、ラティメリアで働きたいと志願され、卒業を条件に蘭を雇った。3年後、蘭の作ったキンメダイのラーメンを試食し、食材の事を大事に思って作られていると、蘭の成長に胸を熱くした。

三津 夏彦 (みと なつひこ)

マグメル深海水族館の副館長を務める高齢の男性。オールバックの短髪で、眼鏡をかけて口ヒゲを生やしている。妻のオリビアが天城航太郎に世話になり、また石花航洋の知人である事から、航太郎を気に掛けている。共に老いて同じ墓に入るという意味を込めて、三津夏彦自身が一番美しいと思う深海生物のカイロウドウケツの前で、オリビアにプロポーズをしたという過去がある。

ダイオウグソクムシ

マグメル深海水族館で飼育されている深海生物。大西洋やインド洋の深海に棲み、生物の死骸を食べる事から「深海の掃除屋」と呼ばれている。とある水族館では5年間絶食しても生きていけると話題になった事もある。一見気持ち悪いが、世界一大きなダンゴムシで、「遊泳脚」という足ヒレを使って進む。

ラブカ

深海ザメ。原始的なサメの特徴が見られた事から「生きた化石」とも評される。マグメル深海水族館では、真夜中にエサを求めて浅瀬に昇って来る習性を利用し、野生で生きる姿を観察する「ラブカナイト」というイベントを開催している。左右に6対あるエラと三つに割れた鋭い歯は、恐竜よりも古い時代に生きていた古代ザメの特徴。幼かった天城航太郎の、あこがれの生き物の一つだった。なんにでも嚙みついてしまうため、漁師にとっては厄介者で、相良沖次郎から引き取りの要請を受け、航太郎が網にかかったラブカを引き取りに行った。

オリビア

マグメル深海水族館に勤める夫に、弁当を届けに来た外国人の高齢女性。金髪ロングヘアを編み込んでまとめ髪にしている。子供に恵まれず、お互い仕事ばかりして来たが、やっとこれからの人生を二人で過ごせると思っていた矢先、もう少しだけ海の世界にいたいと夫にいわれ、複雑な心境を抱えている。夫からは「ビーナスの花籠」という深海生物の前でプロポーズされたという過去があり、天城航太郎から、その生物の日本名はカイロウドウケツであり、共に老いて同じ墓に入るという意味(偕老洞穴)がある事を教えられる。のちに三津夏彦の妻だという事が明らかになる。

カイロウドウケツ

ガラス質の骨格を持つ海綿動物。マグメル深海水族館でも飼育されている。中には「ドウケツエビ」というエビが夫婦で棲み、共にその中で生涯を終える事から、カイロウドウケツと名付けられた。英名は「ヴィーナスの花籠」。三津夏彦が世界で一番美しいと思っている神秘的な深海生物。

ダイオウイカ

世界最大級の無脊椎動物。深海の大王様と呼ばれる生物で、巨大な目は直径30センチにもなる。マグメル深海水族館がオープンした当日に、水族館のガラス越しに現れた。とても警戒心が強く、音や眩しい光を嫌う。深海のソデイカが大好物。マグメル深海水族館のオープン日以降、一度も姿を見せていない事から、長泉湖が苦労しておびき寄せるが、天城航太郎の不注意により、一瞬で逃げてしまう。

みっちゃん

マグメル深海水族館の水槽で飼育されているミツクリエナガチョウチンアンコウ。性別はメス。開館当初から水族館にいる「マグメルの主」ともいえる存在。飼育補助員となった天城航太郎は、まずみっちゃんに認めてもらう必要があるとして、給餌に励むが、なかなかエサを食べてもらえなかった。ちなみにチョウチンアンコウは、もっとも有名な深海生物の一つだが、実際に生きている姿を見た人はほとんどいない。皮膚が弱くすぐに傷ついてしまうので、飼育が非常に難しい。オスはメスに比べ非常に小さく、メスに嚙みついて一体化し、メスから栄養を貰って生きている。傷つきやすい体が水槽の壁に当たらないよう、マグメル深海水族館の水槽には、みっちゃんが近づくとセンサーが感知して水が噴射されるようになっている。

メンダコ

マグメル深海水族館で、天城航太郎が担当する事になった深海生物。耳のような肉ヒレを動かして浮遊する姿が愛らしく、水族館のアイドルとして大人気。水分を多く含んだプヨプヨの体を、敵に見つからないよう、砂泥地と一体化するように静かに暮らしている。死が迫っているとパタパタ泳ぐ。食べても美味しくないため、昔は価値がないと捨てられていた。

キンメダイ

高級魚として有名だが、深海魚だとはあまり知られていない魚。約1億年前に地球に出現した「古代魚」でもある。料理長に自分の成長を見せたいと、深海生物のメニュー開発に取り組んだ堂ヶ島蘭が、天城航太郎と白浜深夜の協力のもと、キンメダイラーメンを試作した。

オンデンザメ

深海の巨大鮫。全長は7メートルに達し、寿命は500歳を超える。深海生態系の頂点に立つ生物で、人間以外に天敵はいない。「世界一のろい魚」と呼ばれているが、性格は非常に獰猛。マグメル深海水族館の外側の深海で、苦しそうにしているのを天城航太郎が発見した。絶滅の危機が高いため、一度加圧装置に入れて水圧を戻して助ける事になった。人間が起こす環境の変化により、近年急激に減少している。

清水 (しみず)

小学校の教師を務めている女性。ラフなショートボブヘアにしている。仕事でのストレスを抱えており、マグメル深海水族館で児童を引率中、オウムガイの渦巻きのような模様を見て眩暈を起こして倒れた。その際、由比朝陽に自身の体を心配するよう説教される。のちに、休職中に訪れたマグメル深海水族館で、深海に逃れて今でも生き続けているオウムガイになぞらえ、苦しい状況から逃げた方が、自由に泳げる場所が見つかるかもしれないと、由比から元気づけられる。

オウムガイ

マグメル深海水族館の特注水槽で、飼育する事になった深海生物。パラオオウムガイ、ヒロベソオウムガイ、コべソオウムガイ、オオベソオウムガイなど、種類は豊富。産卵のために水温の高い海と低い海を行き来する習性があり、縦長の水槽で自然と同じような状況を作っている。見た目はアンモナイトと似ているが、動きの速いアンモナイトにエサを取られるために、エサが豊富な浅い海から深海に追いやられた。アンモナイトは隕石の衝突による地球の大きな環境の変化に適応できず、白亜紀の終わりに絶滅したといわれている。一方で深海に追いやられたオウムガイは大きな影響を受けず、生き延びたという歴史がある。

ロドリー・スコット

映画監督の男性。世界的人気を誇るSF映画界の巨匠。ぽっちゃり体型で顔を覆うように顎ヒゲを生やし、非常にテンションが高い。最新作「NIGHT OF THE DEEP SEA」は、深海で発見された未知の生物が凶暴化して人間に寄生するという、深海で巻き起こるパニックスリラー。以前、来日した際にマグメル深海水族館を訪れ、大瀬崎湊人に熱心に質問していた。特にオオタルマワシの水槽が気に入り、自作のヒントを得た。

オオタルマワシ

全長3センチの小さな甲殻類の一種。マグメル深海水族館でも飼育されており、動物プランクトンのサルパ(ホヤの仲間)をエサにしている。サルバの内臓を食べ尽くすとその中に入り込み、棲み家としても利用する事から、「深海の小さなエイリアン」とも呼ばれている。

フジクジラ

最大で体長50センチほどの小型ザメ。死後は体色が黒くなる事から「カラスザメ」と呼ばれている。生時は体色が光沢のある藤色をしている事から、この名前が付いた。夜間、エサを求めて水深150メートル位まで上がってきたところを釣られる事もある。孤独を感じていた小学生の白浜深夜と、彼を気に掛ける相良沖次郎との絆を深めるきっかけとなった。

クロカムリクラゲ

傘径最大20センチの、烏帽子のような形をしたクラゲ。発光する深海生物の一つ。マグメル深海水族館で、初めて飼育員としてお客さんにクラゲドームの説明をする大役を任された天城航太郎が、発光する姿を見せたいと、解説するクラゲとして選んだ。ほかの発光生物を食べるので、胃の外側が赤色の膜で覆われている。また、白い光に当たると体の中に毒を作り出して、自分の毒で死んでしまうという特性があり、その理由は未だわかっていない。

場所

マグメル深海水族館 (まぐめるしんかいすいぞくかん)

世界で唯一、水深200メートルの深海の中にある水族館。5年前に開館した。品川駅から「しんかい線」に乗り20分の場所にある。館長は大瀬崎湊人が務めており、深海生物を守り育てていくというのがマグメル深海水族館の役割であると考えている。副館長は三津夏彦が務めている。清掃員のアルバイトをしていた天城航太郎は、深海生物に対する愛情を認められ、清掃員兼飼育員補助員となった。「マグメル」は「死の国」という意味がある。海底には死が降り積もり、死んだものは食べられて次の命へとつながっていく場所が深海である、という意味が込められている。水族館内で死んでしまった生物は解剖し、死因を調べて次の飼育に生かされている。また、最深部には亡くなった生物達を祀る慰霊碑がある。業務用のロープウェー、通称「バチスウェア」で海上に出る事ができる。毎日一人が当番制で水族館に泊まり、深夜と早朝の2回に分けて館内を巡回している。

クレジット

監修

石垣 幸二

書誌情報

マグメル深海水族館 9巻 新潮社〈バンチコミックス〉

第1巻

(2017-12-09発行、 978-4107720290)

第2巻

(2018-06-09発行、 978-4107720863)

第4巻

(2019-07-09発行、 978-4107722003)

第5巻

(2020-01-09発行、 978-4107722393)

第7巻

(2021-05-08発行、 978-4107723789)

第8巻

(2022-04-08発行、 978-4107724885)

第9巻

(2023-09-08発行、 978-4107726100)

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