沖縄県の離島、与那瀬島の異変
物語の舞台である与那瀬島は、沖縄県に属する架空の離島で、日本最南端に位置している。人口は約5000人で、空港も整備されている。この島は日本で唯一、「タンゴ星団」の全貌を観察できる場所として知られており、「大宇宙の神秘・世紀の天体ショー タンゴ星団 in 与那瀬」と銘打った天体教室やライブなどの記念イベントが開催されている。星団を目当てに1万人もの観光客が訪れ、その受け入れのために臨時のキャンプ場が設けられ、漁船までも観光客の輸送に活用されるなど、島の産業は大いに賑わいを見せていた。テレビ番組で特集が組まれるなど、まさに星団フィーバーの様相を呈していたが、突如として謎の物体群が飛来し、島に異変が起こる。不思議なバリアが発生し、島への出入りが不可能となってしまう。さらに、世代交代を繰り返しながら徐々に巨大化した虫が人間を襲い始め、島内はパニック状態に陥る。
異形の性器に秘められた脅威の能力
与那瀬島で蝶に似た未知の昆虫に刺されたことで、上原の性器は一対の触角と三対の触手が生えた異様な形状へと変貌を遂げる。この器官から分泌される体液には、長時間にわたり女性の性的興奮をうながす力があり、浴びせるだけでその効果が現れる。上原は、興奮の度合いに応じて器官の状態を「普通ビンビン」「強(つよ)ビンビン」「超(ハイパー)ビンビン」と呼び分けている。特に「超ビンビン」の状態になると、外骨格に覆われていた柔らかな部分が花のように開き、肛門からも無数の触手があふれ出し、欲望のままに女性の身体を貫こうとする。超ビンビンまで高まった器官は、巨大な昆虫を解体できるほど強靭(きょうじん)であり、昆虫とのコミュニケーションにも活用できる。また、超ビンビンの状態に達した上原は昆虫に対しても性的欲求を抱くようになり、交尾した昆虫と同化して自在にあやつることができる。絶頂時に放たれる体液には対象を爆発四散させる効果があるが、昆虫との交尾には不快感を伴う。さらに、絶頂を迎えると器官は萎縮し、強烈な虚脱感に襲われる。
人々を熱狂させる「タンゴ星団」と異星人
「タンゴ星団」とは、銀河系の中心部に突如として出現した巨大な球状星団「りゅうこつ座NGC3372B」の通称。太陽系から約1万光年離れており、その規模は半径約5万8000光年にも及ぶ。231個の恒星が整然と球形に配置されているという不自然さから、宇宙人からのメッセージであるとの説もささやかれている。南半球でしか観測できないが、新月の夜には影を落とすほど明るく輝き、その美しさから欧米では「星のティアラ」と呼ばれ、日本でも稀代の天体ショーとして注目を集めていた。のちに、アメリカがタンゴ星団の正体を知る54名の異星人を保護していたことが明らかになる。また、上原の異形と化した性器が、異星人たちが恐れる「邪神」の問題を解決する鍵であることも判明する。
登場人物・キャラクター
上原 秋人 (うえはら あきひと)
昆虫博士を目指して大学院受験に挑み続ける男性。猫背で内気な性格に加え、要領も悪く、人前に立つとしどろもどろになりがちで、相手に不快感を与えてしまうことが多い。また、欲求不満から若い女性を目で追う悪癖もある。知識は偏っており、文化的な教養はほとんど持ち合わせていない。西都大学の教授、西川威一郎の研究室で昆虫生態学を究めることを熱望していたが、5度目の大学院試験に失敗。仕送りが途絶え、生活に困窮したため、母親を頼って与那瀬島に帰郷したものの、母親に見放されて行き場を失ってしまう。その後、初恋の相手である西原かなこと再会し、森の中で未知の昆虫と接触する。この出来事をきっかけに、彼の性器は異形の器官へと変貌し、肥大した欲望に抗(あらが)えず、女体を求めて島内を彷徨(さまよ)うようになる。やがて、かなこへの抑えきれない劣情に駆られ、彼女を犯して自殺しようと考えるようになる。なお、上原は母親が14歳の時に産んだ子であり、母親は「淫売」と罵られるほど性に奔放な女性で、現在も愛人の子を身ごもっている。島内には祖父と妹も暮らしているが、彼らとは面識がない。
西原 かなこ (にしはら かなこ)
与那瀬島のカツオブシ工場を切り盛りする女性。旧姓は「新城」で、うちなーんちゅ特有の訛(なま)りがある。島一番の美女と評判で、「ちゅらさん」と称えられている。色白で胸が大きく、長い髪を三つ編みにまとめている。人命救助のために海へ飛び込んだり、認知症のオバアに食事を届けたり、行動力があり面倒見が非常に良い。学生時代は成績優秀で、宇宙飛行士を目指していた。琉球大学理学部に合格していたが、父親が倒れたために断念し、工場を継いだ。地元の名士、西原家の長男でリゾートホテルの支配人を務める西原智樹と結婚したが、現在は別居中である。小学校のクラスメイトだった上原が夢を追い続ける姿を応援する一方で、上原に見せつけるかのように、セックスレスだった夫との性行為に耽(ふけ)るなど、意味深な態度で上原を翻弄している。のちに上原に襲われ、異形の性器から放たれた体液を浴びたことで左脇腹が性感帯となった。その後は上原を避けるようになるが、衣食住の世話を焼くなど、非情になりきれずにいる。








