概要・あらすじ
晶はこの頃、同じ夢を頻繁に見る。見知らぬ街で、いつも同じ少年に出会う不思議な内容の夢だ。友人たちは茶化すものの、彼が気になってしょうがない晶。一方その頃、街では野犬の大量発生やうつろな雰囲気の人間の増加など、不審な出来事が相次いでいた。
登場人物・キャラクター
晶 (あき)
頻繁に同じ夢を見る日々を送る女子生徒。前髪を斜めに分け、肩より下まで伸ばしたセミロングヘアをしている。少しぼんやりした、隙の多いところがあり、及川スミレにはからかわれることが多い。キトラに出会うと言いようのない懐かしさに襲われ、ずっと昔から親しかったような感覚になる。
キトラ
晶が夢の中で出会った少年。長い前髪に、後ろ髪を肩に届くほど伸ばしている。夢の中の存在のはずだが、海辺や学校の図書館にも出現するなど謎が多い。晶をよく知っている様子で、初対面のはずが「会いたかった」と語り、昔からの知り合いのような態度をとる。カモメや犬を手懐ける力を持ち、ある目的のもと行動している。
及川 スミレ (おいかわ すみれ)
晶の友人で、同じ学校に通う女子生徒。前髪を真ん中で分け、肩より下まで伸ばしたウェーヴヘアを一つにまとめ、眼鏡をかけている。不思議な夢に悩まされる晶をからかいつつも心配し、何かと気にかけている。実家は「及川書店」という書店を営んでおり、晶の夢に関係のありそうな本を持ってくることがある。特技は裁縫で、気が進まないながらも猫の男爵を修繕し、手作りの小物もプレゼントした。 小学生の弟がいる。
間下 アヤコ
晶の友人で、同じ学校に通う女子生徒。小柄で、眉上で切った短い前髪に、肩につかない長さのウェーヴがかったボブヘアをしている。及川スミレとは対照的に不思議なことへの理解があり、街で起きている異変に対しても、何か知っているような雰囲気がある。
フンベルト・フォン・ジッキンゲン (ふんべるとふぉんじっきんげん)
晶の家に現れた謎の猫が、猫の男爵の人形に入り込んだ存在。人に創られたもので、人形に入っている姿が本来の状態であると考えられる。爵位は男爵で、紳士的な落ち着いた雰囲気を持つ。ウツロに乗っ取られた約束の地を取り戻すため、晶に約束の地への同行を依頼する。
ムタ
晶の家の周辺をうろうろしている化け猫。大きな身体に三白眼が特徴の三毛猫。フンベルト・フォン・ジッキンゲンの仲間で、彼と共にウツロの侵食を阻止するべく動いている。やや乱暴な口調で話すが、目の前の状況に心が追いつかない晶を案じている。
場所
約束の地 (やくそくのち)
晶が頻繁に見る夢に登場する場所。夢はいつも2本の大きな木の間に立っているところからスタートし、柵沿いに歩いていくと突き当りに小さな家があり、そこから左に曲がってアーチをくぐると賑やかな通りへ出るという地形になっている。間下アヤコは前世の記憶ではないかと捉えているが、夢の中で出会う少年キトラは「晶が作った、晶の街」と語っている。
イベント・出来事
失われた風景の音色 (うしなわれたふうけいのねいろ)
ギャラリー・ナヤで行われた写真展のこと。2本の大きな木の写真をはじめ、晶の夢に出てくる光景が多数展示されている。各写真に解説があり、ある場所を撮影したものだということが発覚するが、その詳細は意外なものであった。
その他キーワード
猫の男爵 (ねこのだんしゃく)
晶が拾った、二足歩行の猫の形をした人形。大きな耳に長いしっぽ、タキシードを着用している。元々は夜道で犬がくわえていたもので、非常に傷んでいた。しかし及川スミレの手により修繕され、小物として帽子とステッキが与えられた。
ウツロ
元は人間だった犬のこと。深い喪失感を抱えていることが要因で、心と言葉を失くし、犬の姿にされてしまっている。生きる気力を失くし、煩わしさから逃れて姿を消した人間は、ウツロと化していると考えられる。現実世界とつながった状態にある約束の地に集まり、勢力を増やして世界を侵食することを目的としている。
- SHARE
-
-
- EC
-
