レッドブルー

高校1年生の赤沢拳心は、格闘技界が注目する次世代のスーパースター。テレビ出演の翌日などは、拳心が登校すると大騒ぎになるほどである。そんな拳心の人気が、隣のクラスの岩瀬三之助には不満だった。拳心と同じく総合格闘技選手で、それなりに実績のある岩瀬には、拳心がもてはやされるのが面白くないのだ。そんなとき岩瀬は、クラスメイトの根暗キャラ、鈴木青葉を体育館裏に連れ出すのが常だった。憂さばらしに、「戦いごっこ」と称して青葉をボコるのだ。しかしある日、いつものように「戦いごっこ」をしていたところに赤沢が現れた。「弱い者いじめは許さない」そう言って赤沢は、岩瀬をボディパンチ一発で沈めてしまった。その後、青葉と赤沢は二人きりで話をする。赤沢は忘れていたが、二人は小学校でずっと同じクラスだった。病弱で学校を休みがちだった青葉は、赤沢のことが苦手だった。そっとしておいてほしいのに、無理やりポジティブな世界に引っ張り出そうとする赤沢が嫌いだったのだ。高校生になっても、赤沢は変わっていなかった。「夢はない」という青葉に対して「今のままでは空っぽ」「夢を持ったほうがいい」などとおせっかいを焼く。その言葉を聞いた青葉は「暗くて虚弱で夢がなくて何が悪い」、そんな思いでいきなり赤沢に殴りかかるが、カウンターを合わされて倒されてしまう。しかし青葉は、赤沢の底抜けの明るさが苦手なこと、どうしても一発殴りたくなったことをはっきりと伝えた。それを聞いた赤沢は、「オレを殴りたいという「夢」をみつけた」と明るく笑う。翌日、青葉は岩瀬に格闘技を教えて欲しいと頼んだ。「拳心を一発殴りたい」という青葉の動機を聞いた岩瀬は、彼を自分の通うシャークジムに連れていくのであった。