概要・あらすじ
何事においても不運な女性・金子さちは、新たにアパートへと引っ越した。しかしそこは、大家である岡田薫を除き、住人全員が妖怪という妖怪アパートであった。しかもさちの部屋には座敷童でありながら大人の見た目で、しかもだらしない性格の壱が住み着いており、彼と一緒の部屋で暮らすことになってしまう。他にも狼女ならぬ犬女や雪女、ろくろ首、猫又までもがアパートで暮らしていた。
こうして、さちとちょっとズレた妖怪たちによる共同生活が始まる。
登場人物・キャラクター
金子 さち (かねこ さち)
会社員の女性。23歳ながら遥かに下の年齢に見られるほどに小柄な童顔で、壱に年齢を告げた際には「中学生じゃないのか」と驚かれた。何かと不運な目に遭うことが多いが、そんなことはまるで気にしていない呑気な性格。またしっかり者であるため、自室でだらけた生活を送っている壱に対しては、辛辣な接し方をすることが多い。実家があまり裕福ではなく、兄が1人と弟が2人、妹が3人、兄嫁と姪という大家族。 まだ成人していない妹や弟たちのために今でも仕送りをしている。両手で抱えるほどの大きさの庭石を軽々と持ち上げるなど、見た目に反して力持ち。
壱 (いち)
座敷童の男性だが、なぜか大人の姿をしているため、周囲からは座敷童というより「座敷オヤジ」と呼ばれている。眼鏡をかけており、家にいる時は半纏などを好んで着ている。だらしない性格で、酒と競馬などの賭博が趣味。座敷童でありながら「家を栄えさせる」という力が衰えており、一緒の部屋で暮らす金子さちに対しても数百円単位の幸福しかもたらせずにいる。 ちなみに、酒を飲まないでいると本来の子供らしい座敷童の姿に戻る。実はさちの先祖である「金子家」に座敷童として住んでいた時期があり、自分が金子家を出たせいで家が貧乏になってしまったのではないかと気にしている。
岡田 薫 (おかだ かおる)
金子さちの暮らすアパートで、大家を務めている黒い短髪の男性。絵本作家をしており、メルヘンチックでファンタジックな優しい物語を描いている。夢見がちな性格で、取材と称して妖精を見るために方々へと出かけている。一方で、人間関係においてはドライで現実主義者的な面も見せる。幽霊を大の苦手としているが、妖怪についてはファンタジックな存在と見なしており、一緒に暮らせることを喜んでいる。 座敷童の壱と犬女のうみとは幼い頃からの付き合い。
うみ
金子さちと同じアパートに暮らす住人で、狼女ならぬ犬女。名ばかりの大家である岡田薫の代わりにアパートの運営を取り仕切り、料理などの賄いも担当している。割烹着を着た古風な見た目の女性で、性格は温和かつしっかり者。ただし怒らせると非常に怖い。また毒舌家で、薫に対して辛辣な物言いをすることがある。普段は人間と寸分違わぬ見た目をしているが、犬に化けることもできる。 その際はヨークシャーテリアの見た目をした小型犬になる。小型犬でありながら非常に強く、猪などを相手にしても勝利するほどの力を持っている。薫とは15年以上の付き合いで、彼が幼い頃にペットとして拾われた。「うみ」という名前も薫が付けたもの。ちなみに名付けの理由は「拾った時に酷い傷を負っていて、傷口が膿んでいたから」。
北野 たきび (きたの たきび)
金子さちと同じアパートに暮らす住人で、雪女。青い色の髪をツインテールにし、幼い見た目をしている。現在は幼い容姿を生かして小学校に通っている。見た目に反して姐御肌な性格で、かつては大人の女性の姿をしていた時期もあり、年齢不詳。アパートの住人の中では最年長であるらしいが、彼女の年齢について触れることはアパートの中では禁忌とされている。
真壁 しおり (まかべ しおり)
金子さちと同じアパートに暮らす住人で、ろくろ首の女性。普段はOLとして会社勤めをしている。黒髪ロングヘアで巨乳の持ち主。真壁しおり自身も、成人してから母親に教えられるまで、自分がろくろ首であることを知らなかったほどで、普段は普通の人間と変わらない。驚いた時に首が伸びてしまう癖がある。内村蒼太に一目惚れしたものの引っ込み思案であるため、長い間、関係を進展させられずにいた。 のちに蒼太と同じ会社である金子さちを通して一緒に食事に行き、その後ようやく2人きりで食事をできるようになったが、蒼太からは恋人というよりは飲み友達として見られている。ろくろ首ということもあって、油好きで、同じアパートの住人である長谷川珠季とは美味しい油の情報を交換し合う間柄。
長谷川 珠季 (はせがわ たまき)
金子さちと同じアパートに暮らす住人で、猫又の女性。現在は高校に通っている。ショートカットの髪型をしたクールな雰囲気の持ち主。飽きっぽい性格で、数々の男と付き合っては別れてを繰り返しているが、基本的には男性に合わせるタイプ。普段は人間と寸分違わぬ姿をしているが、猫に化けることも可能で、その際は真っ白な猫の姿へと変わる。 かつては飼い猫だった時代があり、当時の飼い主の子孫である菅原鈴吾と偶然出会って以降、彼のことを気に掛けている。その後、鈴吾から想いを寄せられるようになり、友達以上恋人未満の関係になる。油好きで、同じアパートに住んでいる真壁しおりとは美味しい油の情報を交換し合う間柄。
藤原 未香 (ふじわら みか)
金子さちと同じアパートに、一時期的に越して来た貧乏神の女性。おさげ髪で派手な外見をしている。恋人になった男性を貧乏にしてしまう性質を持っており、数ある男を貧乏にしては次の相手に乗り換えるという生活を送り続けている。アパートへは北野たきびの紹介で、次の寄生先の男性が決まるまでの繋ぎとしてやって来た。交際相手に求める条件は「最低でも年収1000万円」と、比較的理想が高め。
零 (れい)
座敷童の女の子で、現在は公園の土管に住み着いている。ロングヘアにカチューシャを付けた童女の見た目をしている。壱とは以前からの知り合いだが、同じ座敷童としてライバル関係にあるため、喧嘩友達のような間柄。公園の土管に住み着いているものの、そこを訪れる小学生から貢物などを受け取ってエネルギーを得るという、座敷童としては順風満帆な生活を送っている。 かつては家に住み着いていた普通の座敷童だったが、当時は結界などを張られて閉じ込められていたため、多くの人と関われる現在の生活を気に入っている。公園を訪れた金子さちをはじめとするアパートの住人と仲良くなり、それからはちょくちょくアパートにも遊びに行っている。
内村 蒼太 (うちむら そうた)
金子さちの会社の同僚で、社長の息子。短髪でクールな見た目をしている。性格は実直で、世話焼きなところがある。会社に勤める前はバンドを組んでプロのミュージシャンを目指していたが、その演奏は「誰がどう聴いても才能がない」ほど酷かったらしく、現在の会社へと就職した。さちに密かな想いを寄せているが、その想いは届かないでいる。 一方で真壁しおりに想いを寄せられ、食事を一緒にする間柄となったが、しおりのことは恋人というよりは飲み友達と思っている節がある。
菅原 鈴吾 (すがわら しんご)
大きな眼鏡をかけた小柄な男子高校生。長谷川珠季に一目惚れし、彼女に「友達になってください」と告げる。その後、珠季とは友達以上恋人未満のような間柄になる。実はかつての珠季の飼い主の子孫であり、珠季によれば背格好もその飼い主と酷似しているのだという。趣味で小説を書いているが、成績優秀にもかかわらず、なぜか小説では文法間違いなどのミスをすることが多い。
井上 碧子 (いのうえ あおこ)
内村蒼太の義理の妹で、ショートカットの髪型をした女の子。蒼太と苗字が異なるのは、父親違いの妹であるため。兄に憧れを抱いており、たまたま兄と真壁しおりが一緒にいる姿を目撃したことで、その関係を問い質すべくしおりを訪ねて来た。思い込みの激しい性格で、「幽霊や妖怪などの類はいない」と信じ込んでいるため、座敷童である壱や零の姿を見ることができない。
金子 すずり (かねこ すずり)
金子さちの姪で、6歳の女の子。おさげの髪型で、年齢相応に天真爛漫で元気いっぱいな女の子だが、礼儀正しくしっかり者な一面もある。勘が鋭く、霊感なども強い。さちと一緒に公園を訪れ、そこで出会った座敷童の零と仲良くなる。
金子 みのり (かねこ みのり)
金子家に嫁いだ女性で、金子さちの義理の姉。年齢は24歳。ポニーテールの髪型で、おしとやかな雰囲気を漂わせている。金子すずりが関わると親バカな一面を見せるなど、性格は少々天然気味。方向音痴で、自宅に帰る際にも迷ってしまい、必要以上の時間がかかることがある。
金子 さき (かねこ さき)
金子さちの妹で、ポニーテールの髪型をした17歳の女の子。陸上部に所属しており、県代表に選ばれるほどの優秀な成績を収めている。家が貧乏であるため家計を助けるべくファミレスでアルバイトしている。何かと不運な金子さちを心配し、金子すずりとともにさちの住んでいるアパートを訪れた。以降、アルバイトなどで家族全員が出払ってしまった際は、すずりの面倒を見てもらうため、頻繁にアパートを訪れるようになる。
奥平 (おくひら)
北野たきびと同じ小学校に通っている男の子。短髪で大きな眼鏡をかけている。たきびに想いを寄せており、同じく彼女に想いを寄せている大久保とは彼女を取り合って喧嘩することが多い。大久保とともにたきびに想いを伝えるも、「友達でいよう」と遠回しに振られてしまう。
大久保 (おおくぼ)
北野たきびと同じ小学校に通っている短髪の男の子。たきびに想いを寄せており、同じく彼女に想いを寄せている奥平とは彼女を取り合って喧嘩することが多い。思い切って奥平とともにたきびに想いを伝えるも、「私を取り合って争わないで」と遠回しに振られてしまう。
小川 (おがわ)
北野たきびと同じ小学校に通っているクラスメイトの男の子。短髪でやんちゃそうな見た目をしている。悪戯好きな性格で、クラスの女子たちにちょっかいを出しているところをたきびにとがめられてしまう。その際、彼女にキツい物言いをされるもなぜかときめいてしまい、以降彼女に対し密かな恋心を抱く。
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