中村 信太郎

「八ツ森中ミステリー5」と呼ばれる五人組の一人で、八ツ森高校2年3組に所属する男子。前髪を目が隠れるほど伸ばし、髪全体をツンツンに立てた、ショートカットの髪型をしている。いつも眠そうな目をしている事もあり、無気力そうに見える。身長は165センチとやや小柄で、身体も細め。豊島椿と南からは「シンちゃん」、永瀬遥からは「シンタロ」あるいは「シンタロー」、二枚堂竜と信太郎の父親からは「シン」と呼ばれている。誕生日は9月27日で、血液型はA型。趣味は、変わった絵柄のTシャツを集める事。

一見目立たず、これといった特技もないため、周囲には、性的な話題が大好きなだけのスケベな人間と思われている。しかし実際は非常に頭が切れ、機転も利くうえ、精神的にも非常にタフな、頼りがいのある人物である。椿、遥、竜、明の四人とは幼なじみで非常に親しい。明をいじめから助けた事がきっかけで、明からはヒーロー扱いされるほどに慕われている。

小学生の頃、母親が病気で亡くなった事で父親が精神に異常をきたし、母親の代わりとして女装させられるようになる。さらに、父親に従わないと暴力を振るわれるようになり、やがて激しい虐待を受けるようになってしまう。そのため、信太郎の身を案じた明の提案で、信太郎たちが小学6年生の7月20日に、椿や遥、竜、明の四人と共に父親を殺害する。

そしてその死体は西宮にある裏山に埋め、この秘密を決して明かさないという血判状を作成。以後、毎年7月20日になると五人で集まり、死体が変わらず同じ場所に埋まっているかを確認する儀式を行うようになる。しかし、事件発生から5年が経過した高校2年生の7月、死体が何者かによって運び出されたのをきっかけに、その犯人である「死体泥棒」からの脅迫を受けるようになってしまう。

幼い頃から椿に思いを寄せており、中学3年生のある日、椿と一度だけセックスした事もある。しかし父親を殺害した日、父親から信太郎を守るためにとどめを刺した椿の事よりも、とっさに父親の身体の事を案じてしまった事で、自分のために行動した椿を裏切ってしまった事を悔やみ続けている。

さらに椿が、罪の意識に耐えかねる明を自首させないために交際を始めた事で、そんな椿の思惑を知らなかった信太郎は、長らく自分は失恋したのだとばかり思い込んでいた。しかし「死体泥棒」が現れ、次第に椿の真意が明かされていくうちに、改めて椿に寄り添いたいという思いを強くしていく。