あらすじ
第1巻
八ツ森高校に通う中村信太郎、豊島椿、永瀬遥、二枚堂竜、神崎明の幼なじみ五人組は、一見共通点がなく、なぜ昔から親しいのか謎であるという意味で、周囲から「八ツ森中ミステリー5」と呼ばれている。そんな五人には、かつて信太郎の父親を殺し、その死体を裏山に隠したという秘密があった。事件から5年が経過し、高校2年生となった夏祭りの夜、五人は毎年恒例の儀式として死体を確認しに行く。しかし、裏山へ向かう様子を同級生の山本に目撃されてしまう。山本に死体の存在を知られたのではと不安視した信太郎は、いざとなれば山本を殺害しようと、山本の住所を確認するため自室の卒業アルバムを確認する。しかしそこには「神崎明に気をつけろ」という、何者かによる謎のメッセージが記されていた。その直後、死体が裏山から消えた事が発覚し、さらに信太郎達は死体を運び出した「死体泥棒」から脅迫を受けるようになってしまう。殺人を犯した事を知られたくない五人は渋々「死体泥棒」の要求に従い、身元不明の男性死体の解体を行い、埋める。そこで一度「死体泥棒」からの連絡はやんだかに思えたが、信太郎の父親の死体を取り戻したい五人は、犯人の正体を探るべく動き出す事にする。
第2巻
夏休みが始まったが、未だに「死体泥棒」からの連絡はなく、中村信太郎はどのようにして父親の死体を取り戻すか悩んでいた。そんなある日、信太郎達が「死体泥棒」の命令で解体し、埋めた死体が警察に発見されてしまう。さらにその直後「死体泥棒」から連絡があり、信太郎達五人は、指定されたアパートへ向かう事になる。そこで信太郎の父親の死体の頭部のみは返却されたものの、五人は「死体泥棒」の悪ふざけで、監視カメラのもと、全員全裸になれと命令されてしまう。尊厳を踏みにじられ、強い怒りを感じた五人は改めて「死体泥棒」の正体を突き止める意志を強くするが、信太郎は疲弊する永瀬遥、二枚堂竜、神崎明の姿を見て、あとは精神的にタフな自分と豊島椿のみで調査を行うべきではと考えるようになっていた。しかしそこで「死体泥棒」からの連絡があり、五人は信太郎と椿、遥と竜と明の二手に分かれて、指定した場所へ来るようにと命じられる。そこで信太郎と椿は、またも身元不明の死体を解体するよう命令されるが、その死体には、なぜか頭部がなかった。二人が不審に思いながらも解体を終えると、竜から電話が掛かってくる。遥と竜が指定された場所に向かったところ、なぜか明は訪れず、なんとその代わりに、頭部だけとなった明の死体が置かれていたのだという。つまり、信太郎と椿が解体した頭部のない死体は、明のものだったのである。残虐極まりない「死体泥棒」の行動に、四人の精神は限界に近づいていた。
第3巻
「死体泥棒」の手によって神崎明が殺害され、さらにその死体を解体させられた事で、中村信太郎の精神は崩壊寸前になっていた。だが、二枚堂竜は錯乱しかけた信太郎を止め、ひとまず明の死体を隠したのちに、これ以上の被害を避けるため、生き残った四人で自首するべきだと提案する。しかし、永瀬遥は豊島椿のかねてからの不審な行動に気づいており、信太郎もまた以前自分のアルバムに、「神崎明に気をつけろ」というメッセージを残したのは、椿であると気づいていた。そこで三人が椿にその真意を訪ねると、衝撃の事実が発覚する。なんと明は以前から自首を考えており、しかも、自分一人が罪をかぶろうとしていたのだという。椿は、明が自首をしないという条件で明と交際していたが、明がいつ考えを変えるかわからないため、信太郎にメッセージを送った事を打ち明けるのだった。一方その頃、遥の姉である永瀬緑は、発見された死体が佐藤茂というホームレスの男性のものであり、さらに遥が死体発見以降、なかなか家に戻らない事から、遥とその友人がこの事件にかかわっているのではと不安を感じるようになる。しかしそんな緑のもとに、遥を含む五人の高校生が旅行中、明が崖から転落し、行方不明となったという知らせが届く。それは信太郎達が行った偽装であったが、死体が見つからない事から、明の死は事故として処理される。そして夏休みが終わり、四人には一見平穏な日々が戻る。しかし、遥はどうしても「死体泥棒」の正体を知りたいと考えていた。そこで遥は、茂の関係者を訪ねる事で「死体泥棒」に迫ろうと、信太郎達三人に提案する。しかし、四人が茂の知人であるホームレスの女性、スズランの暮らす公園を訪ねると、スズランは生前茂と接触していた人物とは、明であると言うのだった。
第4巻
スズランは中村信太郎ら四人の不審な態度から、佐藤茂の死に信太郎達がかかわっていると知り、激怒していた。信太郎がとっさについた噓により、スズランは冷静さを取り戻すが、信太郎の話した情報の裏が取れるまでは信頼できないと言い、さらに四人に茂を殺した犯人を捕まえて来いと命令する。それができなければ、四人の周囲の人物に危害を加えると脅され、四人は仕方なくスズランに従う。そしてその日から、明と茂が生前二人で何をしていたかを探る事になるのだった。しかし遥は、自分が言い出した事によって、仲間をさらなる危険にさらした責任を感じていた。そこで遥は信太郎に、もう罪の意識に耐え切れないので、信太郎が自分を抱いてくれなければ自首すると言い出す。信太郎はそれに応じ、二人はまるで、かつての椿と神崎明のような関係になってしまうのだった。その直後、二枚堂竜は明の母親から、明が生前多額の金銭を家から盗み、何かをしていたらしいという情報を得る。そこから信太郎は、明が盗んだお金で茂を雇い、信太郎達へ脅迫電話をかけさせる事で自首を促す計画を立てていたが、それを「死体泥棒」に知られ、計画を乗っ取られた結果、殺されたのではと推理する。これによって「死体泥棒」の正体に気づいた信太郎は、単身手掛かりを探す事にする。
第5巻
中村信太郎は、以前「死体泥棒」と話した際、「死体泥棒」が永瀬遥の肩の傷跡について知っていた事から、その正体は遥がケガをした当時、つまり小学校時代の遥を知る人間ではと推測していた。そこで信太郎は八ツ森小学校を訪れ、最も怪しい存在で、当時八ツ森小学校の教師だった北浜の住まいを調べ、近日中の訪問を決意する。しかし二枚堂竜は、この頃の信太郎の不審な行動にすぐさま気づき、信太郎と竜は、豊島椿と遥には秘密で、お互いの今の考えを伝え合う。そこで信太郎は北浜が怪しい事を打ち明ける決意をして、四人は相談の結果、後日信太郎と竜の二人だけで、北浜の自宅へ行く事にする。しかし、当日二人がそこへたどり着くと、北浜は部屋の中で首を吊って死亡していた。二人は衝撃を受けつつも家捜しを行い、北浜がこれまで自分達を翻弄した「死体泥棒」である数々の証拠を発見する。さらにそこには、北浜がこれまで女子児童達を隠し撮りや、直接乱暴して集めた卑猥な写真までもがあった。
第6巻
死亡した北浜の家には、中村信太郎達に渡した死体解体手順書のデータと、連絡用の携帯電話はあったが、肝心の信太郎達の名前が書かれた血判状と、死体は見つからなかった。そこで信太郎と二枚堂竜は、ひとまずスズランのもとへ行き、スズランに噓の報告をする。それは佐藤茂を殺した犯人は北浜であり、神崎明と北浜は、明の両親の愛情を確かめるための狂言誘拐の計画を立て茂を雇ったが、途中で茂が裏切ったために殺したというものだった。スズランはその話を信じ、四人は晴れて解放される。これですべては終わったかに思えたが、信太郎が安堵しかけた頃、県警捜査一課の藤井がやって来る。藤井は茂の死について調べるためホームレスに扮し、スズラン達と行動を共にするうち、信太郎達こそが怪しいと確信したのである。動揺する慎太郎のもとに永瀬緑までもが現れ、信太郎は、もはや逃げきれないと判断する。信太郎は真犯人が誰であるかすでに察していたが、それは信太郎にとって、どうしてもかばいたい人物であったのである。そこで信太郎は豊島椿、永瀬遥、竜を自宅に集め、北浜を殺したのは自分であると噓をつく。しかし三人は信太郎の話を信じず、信太郎はこれにより、真犯人はこの場で真実を明かしてほしいのだと察する。信太郎は苦悩しつつも、自分が知るすべてを話す決意をする。
第7巻
中村信太郎が三人に告げた名前、北浜を殺害した真犯人であり、これまでに起きたすべての事件の首謀者は、思いもよらぬ人物だった。四人はそれぞれがこれまでのお互いの苦しさを知り、これからどうしていくのかを決意するのだった。
登場人物・キャラクター
中村 信太郎 (なかむら しんたろう) 主人公
「八ツ森中ミステリー5」と呼ばれる五人組の一人で、八ツ森高校2年3組に所属する男子。前髪を目が隠れるほど伸ばし、髪全体をツンツンに立てた、ショートカットの髪型をしている。いつも眠そうな目をしている事も... 関連ページ:中村 信太郎
豊島 椿 (とよしま つばき)
「八ツ森中ミステリー5」と呼ばれる五人組の一人で、八ツ森高校に通う2年生の女子。中村信太郎の思い人。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、黒色のショートカットの髪型をしている。中学校時代に髪を切るまでは、胸の下まで伸ばしたストレートロングヘアだった。身長は158センチ。容姿端麗なのに加え、穏やかで物腰柔らかく、落ち着いた性格をしている。 そのため男子生徒から非常に人気があり、これまでに100人以上の男性から告白され、その全員をふったという噂がある。信太郎、永瀬遥、二枚堂竜、神崎明とは幼い頃から非常に親しく、また、その頃から信太郎に思いを寄せていた。小学生の頃、中村信太郎の父親が、信太郎の母親の死を機に精神に異常をきたし、信太郎に暴力を振るうようになっていた事に強い怒りを感じるようになる。 しかし、それを家族に相談したところ取り合ってもらえず、小学6年生の夏、神崎明の提案もあり、信太郎の父親の殺害計画に参加した。そして夏祭りの夜、人気のない場所へ信太郎の父親をおびき出し、彼を殺害。その際に致命傷を与えた事から、自分こそが信太郎の父親を殺した真犯人であると考えている。罪の意識から自首したがっていた明を止めるために明と交際していた。 家族構成は父親、母親、祖母、自分の四人だが、祖母は痴呆症で椿とその母親を混同しており、そのために祖母からは母親の名前である「桜子」で呼ばれている。非常に落ち着いているため、怒っている時も笑顔だが、その笑顔が一番怖いと言われる事がある。 誕生日は2月4日で、血液型はAB型。趣味は読書で、特に作中で敵討ちを行うタイプの物語が好き。
永瀬 遥 (ながせ はるか)
「八ツ森中ミステリー5」と呼ばれる五人組の一人で、八ツ森高校に通う2年生の女子。中村信太郎の友人。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、胸のあたりまで伸ばした、癖のあるロングヘアにしている。しかし、かつてはショートカットの髪型で、服装も中性的だった事から、周囲から少年のようだとよく言われていた。現在は、身長は149センチと小柄だが、かわいらしく女性的に成長し、その容姿と高度な恋愛テクニックで、多数の男子生徒を翻弄する小悪魔として知られている。 しかし、実際は交際経験はなく、幼い頃からずっと、信太郎に片思いし続けている。明るく正直なムードメーカーで洞察力に優れ、人の機微に敏感な心優しい性格。一方でやや思慮に欠け、安易な行動に走りがちな一面もある。信太郎、豊島椿、二枚堂竜、神崎明とは幼い頃から非常に親しかった。 そのため、小学生の頃、中村信太郎の父親が、信太郎の母親の死を機に精神に異常をきたし、信太郎に暴力を振るうようになっていた事に強い怒りを感じるようになる。そこで小学6年生の夏、明の提案に乗り、信太郎の父親の殺害計画に参加する。しかし計画実行直後、死体を埋めた裏山へ行くところを北浜に目撃され、それを理由に脅されかける。 しかし、すぐさま脅しはなくなり、それを不思議に思いつつも普通に暮らしていた。だが高校2年生の夏、死体が盗まれた事件がきっかけで、当時自分の知らないところで起きていた出来事について知ることになる。 小学生の頃に起きたいさかいで左肩にケガをしており、現在でも大きな傷跡が残っている。食べ物はカレーが好きで、料理をすると、なぜかすべてカレー味にしてしまう。誕生日は11月11日で、血液型はB型。趣味は、子犬の動画を見ながらごろごろする事。
二枚堂 竜 (にまいどう りゅう)
「八ツ森中ミステリー5」と呼ばれる五人組の一人で、八ツ森高校に通う2年生の男子。中村信太郎の友人。前髪を眉上で短く切ったベリーショートカットの髪型に、眼鏡をかけている。長身で筋肉質な身体つきをしている。現在は目立たない容姿をしているが、かつては不良として知られ、30人の暴走族を一人で蹴散らしたという伝説を持っている。一見ぶっきらぼうに見えるが、実際は繊細で生まじめな、自分よりも他人を優先するタイプ。実家は「二枚堂酒店」で、両親と三人暮らし。毎年夏祭りの夜は、死体を確認する儀式を終えて、信太郎達と解散したあと、もう一度死体の埋めてある洞穴を訪れており、そこで一晩過ごすのが習慣になっている。 信太郎、豊島椿、永瀬遥、神崎明とは幼い頃から非常に親しかった。そのため小学生の頃、中村信太郎の父親が、信太郎の母親の死を機に精神に異常をきたし、信太郎に暴力を振るうようになっていた事に強い怒りを感じるようになる。そこで小学6年生の夏、明の提案に乗り、信太郎の父親の殺害計画に参加する。 しかし、事件後は精神的に不安定になって非行に走り、大勢の暴走族と喧嘩して勝ったという噂も、この頃に生まれた。その後反省してまじめな生活に戻り、現在の容姿になる。だが、高校2年生の夏に死体が盗まれた事がきっかけで、当時自分の知らないところで起きていた出来事について知っていく。
神崎 明 (かんざき あきら)
「八ツ森中ミステリー5」と呼ばれる五人組の一人で、県立八ツ森中学校に通う2年生の男子。中村信太郎の友人。豊島椿の恋人でもある。前髪を目が隠れるほど伸ばしたウルフカットの髪型をしている。両親と三人で暮らしており、父親は市議会議員で町内会の会長も務めているほどの人物であった。しかし夫婦仲は悪く、厳しい母親から父親のようにはなるなと過干渉を受けて育った。そのため家に居場所がなく、信太郎達だけが心のよりどころで、四人に嫌われる事を何よりも恐れていた。 容姿端麗なのに加えて頭脳明晰で、全国模試ではつねにトップテン入りするほどの成績を誇る。さらに校内では生徒会長を務めており、人望厚く、特に女子生徒からは非常に人気がある。その華やかな容姿から、軽薄そうと思われがちだが、実際は非常に精神的に脆く、他者に依存する事で自分を保とうとする弱さがある。しかし普段は明るく爽やかに振る舞っているため、信太郎をはじめとする親しい人物しか明の本当の姿は知られていない。信太郎、椿、永瀬遥、二枚堂竜とは、幼い頃から非常に親しく、特に信太郎に対しては、いじめられていたところを助けてもらった事がきっかけで非常に慕っており、ヒーロー視している。 そのため小学生の頃、中村信太郎の父親が、信太郎の母親の死を機に精神に異常をきたし、信太郎に暴力を振るう事に、激しい怒りを感じるようになる。そこで小学6年生の夏、信太郎の父親の殺害計画を提案。 見事計画を成功させるが、精神的に脆いのが災いし、すぐさま罪の意識に耐えられなくなっていく。そこで自首を考えるが椿に止められ、自首をしない代わりに椿と交際し、椿の身体を自由にしていいという条件で、罪を隠して生きる事になる。しかし、高校2年生の夏、それでも耐え切れなくなり、見知らぬ人物に死体を盗まれ、脅されるという形であれば、信太郎達が自首したくなるのではと考えつく。そこで裏山にある死体を運び出して盗まれたように見せかけ、さらに家から盗み出したお金でホームレスの佐藤茂を雇い、信太郎達を脅迫しようとする。
山本 (やまもと)
八ツ森高校に通う2年生の男子。中村信太郎の同級生。前髪を眉上で短く切ったベリーショートカットの髪型で、目が細く、いつも目を閉じているように見える。あだ名は「山ちゃん」。八ツ森中学校出身の生徒で、同じく八ツ森中学校出身の信太郎、豊島椿、永瀬遥、二枚堂竜、神崎明という一見共通点のない五人が、なぜ親しいのか日頃から不思議に思っており、ほかの生徒のように五人の事を「八ツ森中ミステリー5」と呼んでいる。 特に信太郎に関しては、ほかの四人に比べて目立った点がないため、なぜ四人から慕われているのか疑問に感じていた。夏祭りの夜、偶然信太郎達五人が、西宮の裏山へ向かうところを目撃してしまう。五人が裏山で何をしていたのか気になり、それを五人に直接訊ねた事で、信太郎には死体を発見されたのではと誤解されてしまった。
永瀬 緑 (ながせ みどり)
地元の警察署に勤める警察官の若い女性。永瀬遥の姉。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした内巻きボブヘアをしている。顔立ちは、遥とよく似ている。明るくまじめな性格で、上司である藤井に振り回されながらも熱心に業務をこなしていた。しかし遥が高校2年生の夏、身元不明のバラバラ死体が見つかり、この事件について調査するうちに、事件に遥とその友人達がかかわっている事を知る。 警察官を志したのは、かつて遥が変質者に連れて行かれそうになったところ、現場を目撃していたのに何も行動できなかった事がきっかけである。結局その場は、遥と緑の父親が駆けつけた事で事なきを得たが、今後遥に何かがあった時は、絶対に自分が助けたいという気持ちから警察官になった。
藤井 (ふじい)
警部補の若い男性。永瀬緑の上司で、県警捜査一課に所属している。前髪を目が隠れるほど伸ばし、髪全体を外はねにしたウルフカットの髪型をしている。三白眼で、生気のない暗い瞳をしている。何を考えているのかわからない性格で、一見突拍子もない行動に出る事も多いが、非常に優秀。中村信太郎達が高校2年生の夏、身元不明のバラバラ死体が見つかり、この事件について調査するうち、事件に信太郎とその友人達がかかわっている事をいち早く察する。 そして真犯人を捕まえるため、独自の行動に出ていく。真相解明なら手段を選ばない一面があり、一時期はホームレスに扮して情報収集を行っていた。
中村信太郎の父親 (なかむらしんたろうのちちおや)
中村信太郎の父親で、故人。前髪を目の上で切って真ん中で分けたショートカットの髪型で、無精ひげを生やしている。一見穏やかに見えるが、モラルに欠け、周囲からの評判は悪い。特に妻を亡くしてからは精神に異常をきたしており、信太郎に対して支配的に振る舞っていた。家では信太郎に妻の代わりをさせるため女装させ、女性として扱っていた。 そのため信太郎が自分は母親と似ていないし、自分はそもそも男性であるという主旨の発言をすると激怒し、暴力を振るうようになっていく。その事で豊島椿をはじめとする信太郎の友人達には強く憎まれており、さらに日々虐待が激しくなっていった事から、信太郎達が小学6年生の7月20日、夏祭りの夜に呼び出され、殺害された。その際は最終的に椿が振るった金づちで頭を殴られた事が死因となった。
佐藤 茂 (さとう しげる)
ホームレスの男性。年齢は43歳。前髪を眉上で短く切ったベリーショートカットの髪型で、口の下に、縦に二つ並んだほくろがある。あだ名は「シゲさん」。中村信太郎達の住む町に暮らし、10年前から行方不明になっている。3年前には失踪届が出され、戸籍上は死亡したという扱いになっていた。しかし実際は、スズランの仲間のホームレスとして生活していた。 信太郎達が高校2年生の夏のある日、神崎明と出会い、信太郎達に脅迫電話を掛ける代わりに、現金20万円を受け取るという形で雇われる。しかし、実行前にそれを知った者の手によって殺害された。
スズラン
中村信太郎達が住んでいる街で暮らしているホームレスの、リーダー的存在である若い女性。佐藤茂の知人。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、右目が完全に隠れるほど長く伸ばした、腰までのストレートロングヘアにしている。本名はすでに捨てたと語っており、現在は「スズラン」と名乗っている。物腰柔らかく丁寧なお嬢様口調で話し、セクシーな雰囲気を漂わせた人物。また、仲間意識が非常に強く、身内には手厚く接する一方で、敵とみなした相手には容赦のない攻撃をする、残虐な一面がある。 信太郎達が高校2年生の夏、ホームレス仲間の一人である茂が失踪し、やがて亡くなった事に強い怒りを感じていた。その直後、茂の死について調べている永瀬遥と出会い、遥かに紹介される形で、信太郎や豊島椿、二枚堂竜とも知り合う。そして四人が、茂が死の直前に接していた神崎明の友人である事から、茂の死にかかわっているに違いないと考えるようになる。そこで四人の身元を調べ、周囲の人物に危害を加えられたくなければ、茂を殺した真犯人を見つけて来いと脅すようになる。
南 (みなみ)
中村信太郎が小学6年生の頃の担任教師。現在も八ツ森小学校で働いている若い女性。前髪を目の上で切り揃え、胸の高さまで伸ばしたストレートロングヘアをポニーテールにし、眼鏡をかけている。現在は結婚して改姓しているが、校内では旧姓のままで生活しており、信太郎達の在籍時と同じく「南先生」と呼ばれている。明るく親しみやすい性格で、信太郎達五人以外で、永瀬遥が肩にケガをした事を知っている数少ない人物でもある。 信太郎が高校2年生の夏、信太郎が小学校を訪問して再会する。その際北浜の現在の居場所を尋ねられ、教える。
北浜 (きたはま)
中村信太郎が小学生の頃に、八ツ森小学校で教職についていた若い男性。2年前に退職しており、現在の職業は不明。中村信太郎の父親の死体を盗み出し、信太郎達に数々の卑劣な指令を送っていた、一連の事件の犯人の一人である。正体が判明するまでは、便宜上「死体泥棒」と呼ばれていた。精神的に幼く、思い通りに行かない事があるとすぐに激昂し、大きな声で怒鳴る乱暴な性格。また小児性愛者で、信太郎達の小学校在籍時は、特に永瀬遥の事を気に入っていた。 信太郎達五人と南以外で、唯一遥が肩にケガをしている事を知る人物であり、ある日、信太郎達五人を思いつきで全裸にする命令をした際、遥の肩の傷に言及した事で、信太郎に正体を知られた。
書誌情報
骨が腐るまで 7巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2016-10-07発行、 978-4063957563)
第2巻
(2017-01-06発行、 978-4063958386)
第3巻
(2017-04-07発行、 978-4063959116)
第4巻
(2017-07-07発行、 978-4065100325)
第5巻
(2017-10-06発行、 978-4065102343)
第6巻
(2018-01-09発行、 978-4065107201)
第7巻
(2018-04-09発行、 978-4065112717)