初×婚

基本情報

黒崎みのりの『バディゴ!』に次ぐ連載作品で代表作。

要旨と舞台設定

物語の舞台は、世界一正確なマッチングシステム「デステニー」によって選ばれた男女のペアが、共に生活する特殊な高校「七海学園高校」。この学校は通称「一攫千金婚校」と呼ばれ、卒業時に最も優れたカップルは「金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)」とされ、IT大企業「セブンオーシャン」の次期社長の座が約束される。

ストーリー展開

中学時代に交通事故で両親を亡くした倉下初は、両親の代わりにいっしょに生活してくれる運命の人を探すため、七海学園高校に入学する。初のパートナーとなったのは、一攫千金を目指して入学してきた鮫上紺である。当初は分かり合えない関係であったが、次第にお互いを理解し、両思いになっていく。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、学園を舞台にしたラブストーリーで、「結婚を前提とした恋愛」をテーマに展開され、各カップルは「金の夫婦の卵」を目指して日々を過ごすことになる。その評価方法は、勉強の成績に加え、IT企業の広報がカップルの日常生活をSNSにアップし、評価を行なう仕組みが採用されている。

作品固有の表現技法と特徴

物語は、初たちの恋愛関係の進展と並行して、家族の在り方や絆についても触れられる。また、両親の不在という初の設定を通じて、新しい家族の形成過程が描かれている。

世界観の構築と設定

世界設定として、マッチングシステム「デステニー」による相性診断や男女同室での寮生活、SNSによる評価システムなど、現代的な要素が組み込まれている。

連載状況

集英社「りぼん」2019年6月号から2025年3月号まで連載。

受賞歴

2023年第68回「小学館漫画賞」児童向け部門。

メディアミックス情報

小説

『初×婚 まんがノベライズ』：2023年4月から刊行。

「一攫千金校」と呼ばれる七海学園高校に入学した倉下初。大手IT企業「セブンオーシャン」の社長が設立したこの七海学園は、男女が同室で寮生活をするという特殊な高校。自社が開発したマッチングシステム「デステニー」で選ばれた相性の良い男女が3年間、同じ部屋で生活する。120組の生徒の中から一番のカップル「ゴールデンカップル」に選ばれたた二人は卒業と同時に入籍し、「セブンオーシャン」の社長の座につくことができる。初は一攫千金というより、運命の人に出会いたいと七海学園への入学を決めた。中学1年の時に両親を事故で亡くし、ひとりぼっちだった初は早く家庭が欲しかったのだ。初は同室の相手に菓子折りを用意したり、隣人に90度のお辞儀で丁寧に挨拶したりと真面目過ぎる性格。初と同室になったのは鮫上紺。彼は自由奔放な性格で、初が用意したお菓子を勝手に食べ、上半身裸で初のクッションに寝転ぶ自由人。彼は一攫千金狙いで、真面目な初とは正反対。紺はパートナーと仲良くなりたいと言う初を押し倒してみたり、「俺はお前の親の代わりにはなれない」と初を傷つける言葉を浴びせる。だが、初が隣の部屋の男の子と揉めて殴られそうになった時、紺は「俺の未来の嫁に手を出すな」と言って助けに来てくれた。その後、紺が点数稼ぎのために仲裁に入ったことが発覚。匿名で社長夫妻を呼び出しておいて、社長の前で仲裁に入ったのだ。紺の考えが読めず、ふざけた人だと思いながらもお互いの距離を縮めようと努力する初。そんな初に引きずられ、少しずつ紺の態度も変わっていくのだった。