千銃士

第1巻

圧政をしく世界帝によって武器の所有を禁じられ、自由を奪われた人々が苦しむ世界。世界帝の独裁に抗い続ける組織「レジスタンス」は、あらゆる武力を持つことが禁じられる中で、美術品や骨董品として残っていた古銃を手に戦っていた。世界帝軍との圧倒的戦力差に苦戦するレジスタンスの強みは、マスターによって目覚めた古銃の貴銃士たちの存在であった。奇跡の力を発揮しながら戦う貴銃士たちは、レジスタンスにとって一筋の希望の光となり、特別支部支部長の恭遠・グランバードにも、心強く誇り高い貴銃士の仲間ができていた。そんなある日、グループ「アメリカ独立戦争」に属するブラウン・ベスは、同じグループの新人貴銃士たちと共に、本格的な作戦に初参加することになった。その作戦は、5日後に帝都に護送される捕虜を付近の支部と協力しながら救出するという内容だったが、重要任務を任されたベスは、まだ貴銃士として未熟な自分たちに不安を感じていた。次の日の早朝、叩き起こされたベスたちは、グランバードに緊急招集される。世界帝軍が護送の予定を変更したことで急遽、救出作戦は予定より早く実行されることになったのだ。予定されていた主力部隊が間に合わないことも判明し、作戦はアメリカ独立戦争の四人を中心に実行されることとなる。

第2巻

新たに目覚めた古銃の少年カールをはじめとする心強い仲間が、レジスタンスに加わった。優れた判断力と作戦立案能力を発揮するカールは、アジトのメンバーを感心させる。そんな中、世界帝軍が3年前の大粛清で使用した新型爆弾「ミルラ」を再び使用し、レジスタンスの殲滅をもくろんでいるという情報が入る。過去の悲劇を繰り返さないために、レジスタンスは全戦力をもってミルラの発射を止めようと決意。グループ「アメリカ独立戦争」もミルラ発射阻止作戦への参加が決まり、全力で世界帝軍の非道な行為を止めようとする。こうして世界の命運は、気高き貴銃士たちの手に委ねられるのだった。しかし、カールの立案した作戦をもとに奮戦するブラウン・ベスたちの前には、世界帝軍から送り込まれた新たな敵のアインスが出現。アインスの圧倒的な強さの前に、次々と味方が傷つけられ、倒されていく。さらにアインスがレジスタンスのアジトに侵入したことで、さらなる苦戦を強いられる。そんな中、ベスを必死に守ろうとするナポレオンたちの発言から、ベスは自分がある秘密を抱えていることに気づく。一方、スプリングフィールドとケンタッキーの新たな決意、シャルルヴィルの葛藤や思いが交錯する中で、それぞれが絶対高貴に覚醒し、世界帝軍への反撃が開始される。世界帝の野望を打ち砕いて人々とマスターを守り抜くため、貴銃士たちの最後の戦いが始まる。

本作『千銃士』は、2018年7月より放送されたTVアニメ『千銃士』を原作としている。TVアニメ版はスマートフォンゲーム『千銃士』を原作とするファンタジーで、レジスタンスと共に世界帝軍と戦う貴銃士たちの気高い生きざまが描かれている。キャストはブラウン・ベスを八代拓が務めた。また関連作品としてトリヤスの『高貴に戦え!? せんじゅーし』があり、TVアニメ版と同様にスマートフォンゲーム『千銃士』を原作としている。こちらはデフォルメされた絵柄のスピンオフギャグ作品で、世界帝の圧政を打ち破る戦いのかたわら、緩めでほのぼのとした日々を送る貴銃士たちの日常や騒動が描かれている。