あらすじ
第1巻
犬飼千冬は祖父で故人の犬飼源一郎時貞から、5000兆円の遺産を譲り受けた。使い切れないほどの巨万の富を手に入れるものの、友達が一人もいない千冬は、今ひとつ満たされない日々を送っていた。そこで千冬は一念発起して、SNS上で友達を探そうと、SNSにアップするネタになりそうなものを探し始める。そんな中、執事の山田ゲパルトから庶民的なネタを扱ってみてはどうかと提案され、千冬は安価で子供に大人気のくじつきアイス「じゃりじゃりくん」の当たり棒をアップすることを思いつく。しかし、千冬のくじ運が悪いことから、ゲパルトは当たりの封入率が98%の「じゃりじゃりくん」を特別に製造するため、瀧に話を持ち掛ける。(第1兆「だからと言って幸せとは限らない」。ほか、8エピソード収録)
登場人物・キャラクター
犬飼 千冬 (いぬかい ちふゆ)
生前は闇社会で名を馳せていた犬飼源一郎時貞の孫娘。源一郎時貞の死後、5000兆円の遺産を相続し、日々ヒマを持て余している。思いつきで躊躇することなく大金を散財しているが、一番欲しいものは「本当の友達」。幼い頃から裕福な家庭で育ったため、わがままで世間知らずな性格の持ち主。一方で、人から受けた親切には感謝する優しい心を持っている。お金と権力を手に入れ、さらにかわいらしい容姿からすべてに恵まれた女性に見えるが、くじ運だけは信じられないくらいに悪い。
山田 ゲパルト (やまだ げぱると)
犬飼千冬の執事を務める若い男性。千冬の思いつきに対して真摯にアドバイスを送り、実際に行動に移す重要な役割を担う。しかし、必ずしも千冬に従順という訳ではなく、皮肉を口にすることも多い。表向きは千冬とは一定の距離を保って接しているが、内心では彼女のことを心配しており、千冬が雨宮涼子と親しくなった時には、人知れず涙を流して喜んだ。山猫からは過保護すぎると距離を置かれている。
犬飼 源一郎時貞 (いぬかい げんいちろうときさだ)
犬飼千冬の祖父で故人。生前は世界中に薬物や銃を売りさばく闇の商売をしており、圧倒的な権力と莫大な資産を築く。死後、遺産のうち5000兆円を溺愛する孫の千冬に譲り渡す。
柴田 純 (しばた じゅん)
公安警察官のエリート女性。犬飼源一郎時貞の死後も犬飼家の動向を探っている。犬飼千冬が5000兆円の遺産を相続し、自由気ままに散財していることは知らず、犬飼家がなんらかの目的を持って活動していると警戒している。千冬がレストランで豪勢な食事をしているところに潜入し、山田ゲパルトに見つかってしまったことで、千冬と顔見知りになる。クールな雰囲気を漂わせた美女で、細身のスタイルに似つかわしくないほどの巨乳の持ち主。基本的にまじめで職務に真摯に取り組んでいるが、食欲旺盛なため、つねに金欠気味。源一郎時貞の孫である千冬を監視しているが、千冬からは純粋に友達になって欲しいと思われていることには気づいていない。
雨宮 涼子 (あまみや りょうこ)
父親の借金を返済するため、ファミリーレストランでアルバイトをしている女子高校生。年齢は17歳。雨宮涼子自身の働いている全チェーン店の1日分の飲食代を、犬飼千冬が思いつきですべて支払ったことで、千冬の存在を知る。少々のお金がなくなっても困らないだろうと、父親の借金3億円を千冬からだまし取った。政治家の友坂周から人前で下着を露出する「パンツを見る会」への参加を迫られたことがきっかけで、千冬と知り合う。喜怒哀楽を表に出さないクールな性格をしている。千冬からだまし取った3億円は正式に譲渡されるが、今もアルバイトは続けている。
山猫 (やまねこ)
生前の犬飼源一郎時貞に雇われていた男性。現在も犬飼家の傭兵をしている。山田ゲパルトの知人で、思いつきで外出する犬飼千冬の護衛を務めることもある。ゲパルトの千冬への過保護ぶりにあきれており、彼とは適度な距離を保っている。
瀧 (たき)
安価で子供に大人気のくじつきアイス「じゃりじゃりくん」を製造する工場に勤務している男性。工場長を務めている。子供たちに喜んでもらえる仕事にやりがいを感じているが、最近は材料のコストが上がり、このままでは商品の値上げをしなくてはならないことに頭を悩ませている。
藤沢 六道 (ふじさわ ろくどう)
闇金融会社を経営する男性。裏社会とのつながりが強い。生前の犬飼源一郎時貞も藤沢六道のことを知っており、将来を嘱望されていた。政治家の友坂周とのつながりを保つため、自らの金融会社で父親が借金をしている雨宮涼子を紹介する。
友坂 周 (ともさか しゅう)
政治家の男性。裏社会とのつながりが強く、保身のためにさまざまな悪事を働いている。藤沢六道に、自らが主催する「パンツを見る会」に出席する女子高校生のあっせんを頼み、雨宮涼子に下着を露出するように迫る。「パンツを見る会」は倒錯した性癖を持つ政治家とのつながりを強固にする目的もあるが、友坂周自身もパンツへの執着心が人一倍強く、趣味と実益を兼ねている。