あらすじ
第1巻
ほたて商事に入社したながたは、商品管理部で事務仕事を担当することになった。仕事にも慣れず、右往左往するばかりのある日、ながたは先輩のまるやまから、商品管理システムの入力方法を教わることとなった。だが、説明の中で出てきた「卸先」「売掛」という言葉がなんのことなのかさっぱりわからない。悪戦苦闘する中、ながたは今度は先輩のさくらやわかもとに呼ばれ、プリンターの用紙補給の仕方や、備品棚の使い方を教わることになる。「用語がわからなくて仕事内容が頭に入ってこない」「何かと先輩に声を掛けられがち」といった新人あるあるを体験しながら、ながたは商品管理システムの扱い方を身につけようと、必死にパソコンと格闘する。そしてある程度入力作業に慣れてきた頃、ながたはまるやまに、押す前に自分の確認を受けるようにと言われていた「送信」ボタンをうっかり押してしまう。こうして、図らずも新たに「単純作業に慣れると注意が散漫になりがち」という新人あるあるを実行したながたは、その後も数々の新人あるあるに触れていくこととなる。(第1話「新入社員のながたです」。ほか、9エピソード収録)
登場人物・キャラクター
ながた
ほたて商事で働く女性新入社員。商品管理部に所属し、事務仕事を担当している。入社したばかりの頃は右も左もわからず、先輩のまるやまの指示に従って仕事をするだけの日々を送っていた。しかし非常に向上心が強く、日々自問自答を繰り返しながら、まるやまをはじめとした先輩社員たちのアドバイスを素直に聞き入れて、ゆっくりとだが着実に成長していく。そして、ふとしたことで自分の成長を実感しては、喜びを覚えるようになる。仕事に関しては、時にミスはするもののまじめで気が利き、ほかの社員のゴミ箱がいっぱいになっていれば代わりに捨ててあげたり、切れているトイレットペーパーを替えたりと、雑用も率先して行う。また、電話の応対が非常に丁寧で、社内の他部署から手本にされているだけでなく、取引先にも好評を博している。ちなみに酒が苦手で、アルコール類はコップ一杯が限界。
まるやま
ほたて商事で働く女性社員。商品管理部所属で、ながたの指導を担当している。つねに冷静なキリッとした人物で、非常に丁寧な言葉遣いで話し、それは後輩のながた相手でも変わらない。仕事に対しては毅然とした態度であたるが、決して冷たいわけではなく、「新人のミスに責任を持つのが先輩の仕事」をモットーに、真摯な姿勢でながたを導いていく。また気が利く性格で、ながたの様子も逐一確認し、その都度適切なアドバイスを送っている。そのため、ながたには非常に尊敬されており、この恩は仕事で返すと、まるやまの存在がながたの大きなモチベーションとなっている。実は、新入社員時代は人と話すことが苦手だったため、その分仕事を丁寧にこなそうと心がけていたが、その姿勢を褒められたことで、結果的に人と話すことが苦ではなくなったという過去がある。
わかもと
ほたて商事で働く男性社員。営業部に所属している。明朗快活で、仕事においても優れた営業成績を収めており、営業部の中心的な存在。かつて自信を失っていたまつはらを明るく励まし、彼女が一皮むける手助けをしたりと、後輩に対する面倒見がよく、リーダーシップにも優れる。また、会社や仕事に対する愛情が非常に深く、直接業務とは関係のない花壇の植え替えを、自分の服を汚しながらも率先して楽しそうに行うこともある。もともと物おじしない性格で、新人時代から営業は天職だと考え、バリバリ働いて実績を残してきた。一方でパソコンの扱いが苦手で、事務員が自分にできない業務を代行してくれることに心から感謝している。そのため持ちつ持たれつという意識が非常に強く、有事の際には、仮に自分の労力が増えるとしても、他人の手助けをすることを厭わない。
みつだ
ほたて商事で働く男性社員。営業部に所属している。業務上、商品管理部が整理したデータや書類を扱うことが多く、部署は違うがながたやまるやまともよくかかわりを持っている。日々何かと忙しくしているため、満足に食事も摂れずに、お菓子で代用しがち。かつて新人時代に先輩から受けた恩を、後輩に対して返すことを楽しみとしており、後輩が仕事でいい成績を残した時には、先輩から教えてもらった店に連れて行き、祝ってあげている。
田中
ほたて商事で働く男性社員。営業部に所属している。遠方の現場に出ていることが多く、あまり社内にいない。そのため、田中宛ての電話を受けることの多いながたにとっては、名前は知っているが見たことのない存在であった。新人歓迎会の時に初めてながたと対面を果たし、その際に芸能人に会ったような気分だと告げられて、ながたのことを面白い子だと気に入り、しばしばこれをネタに軽口を言うようになる。このことが、先輩社員に対し委縮していたながたが、彼らとリラックスして会話できる大きなきっかけとなった。もともと人と話すことがあまり得意ではなく、また長崎県出身のペーパードライバーだったため、実は営業部は希望していた部署ではなかった。だが、営業先で同郷の取引相手と知り合い意気投合したことをきっかけに、営業職に対し自信を持てるようになったという過去がある。
まつはら
ほたて商事で働く女性社員。営業部に所属している。明るく活発な性格で、趣味は登山、仕事帰りにはヨガ教室に通ったりと、非常にアクティブに行動している。他部署の後輩であるながたに対しても気さくに接するだけでなく、ながたの失敗をフォローしたうえで、落ち込む彼女が気分を変えられるように、努めて明るい口調でお菓子を勧めたりと、優しく面倒見もいい。実はまつはら自身、新人時代は仕事の要領が悪く、周囲に迷惑をかけることもあって悩んでいたが、先輩のわかもとに明るく励まし助けてもらったことで、彼の役に立てるようになりたいと一念発起。以降、与えられた仕事一つ一つに全力で取り組むうちに気持ちに余裕が持てるようになり、今のようにパワフルになったという経緯がある。
さくら
ほたて商事で働く女性社員。営業事務を担当している。よしだとは大きく年が離れているが実は同期で、非常に仲がよく、育児の相談などをすることも多い。おっとりとした性格の綺麗好きで、給湯室の洗い物を率先して引き受けている。その経験から洗いものに関して優れたテクニックを持ち、その作業は非常に速く、的確。実は新卒で入社した会社を2か月で辞めてしまい、その後にほたて商事に入社した経歴の持ち主。その経緯から仕事に対して自信を持てずにいたが、同期に入社したよしだに人間性を褒められ、自信を取り戻した過去がある。
よしだ
ほたて商事で働く女性パート社員。営業事務を担当している。育児がひと段落したので、改めて働こうと、ほたて商事に中途採用者として応募した経緯がある。そのため、さくらとは大きく年が離れているが実は同期で、非常に仲がよく、さくらに面白い店やイベントを紹介してもらって、休日を楽しんでいる。気の利く性格のうえに、職歴が同じくらいのほかの社員より人生経験が豊富ということもあり、社内では業務を円滑に進める潤滑油の役割を担い、周囲から頼られている。
まみや
ほたて商事で働く男性社員。営業事務を担当している。年齢は55歳。眼鏡をかけた落ち着いた人物で、誰に対しても敬語で話し、口調も非常に穏やか。ながたと馬が合い、よく囲碁の話をしている。入社当初は総務部で経理を担当しており、大量の書類に埋もれる日々を送っていたが、それらがすべて小さなパソコン一つに収まっている現代に、隔世の感を覚えている。ちなみに、穏やかで落ち着いた口調は新人時代から変わっていない。
えり
ほたて商事で働く女性新入社員。ながたの同期。総務部に所属し、経理を担当している。商業高校出身ということもあって経理の仕事はそつなくこなし、日常会話程度なら英語で話すことができる。また、朗らかで優しい性格から社内での人気も高い。緊張すると声が震えてしまうため、電話応対を苦手としていたが、友達との電話で練習するなど努力家で、その弱点も克服しつつある。ちなみに、仕事で使用している電卓は、ながたが使っているものとおそろい。
わかな
ほたて商事で働く女性新入社員。ながたの同期。営業部に所属している。非常にアクティブで新人ながらバリバリ活躍しており、早くも優秀なキャリアウーマンとしての片鱗をのぞかせている。営業部内での評価も非常に高く、営業部長や若手のホープ、わかもとにも、将来的には部の中心人物になると嘱望されるほど。取引先の偉い人に会うと緊張してガチガチになってしまうところがあるが、先輩を相手にプレゼンを特訓するなど努力家で、その弱点も克服しつつある。
専務
ほたて商事で専務を務める男性。眼鏡をかけた、穏やかな顔立ちのロマンスグレー。会社には始業1時間前に出社し、社内を見回ることを日課としている。若い頃は家族を幸せにしたいとの思いからバリバリ働いて今の地位に上り詰めたが、役員になった現在は、家族だけでなく社員の幸せにも喜びを感じるようになった。そのため、新入社員のことも一人一人しっかり認識しており、仕事に慣れない彼らが今後よりよい人生を送れるように、アドバイスも惜しまない。
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