未成年ごっこ

大学の幼児教育学科に通う内藤理科には、みんなには言えない秘密があった。童顔のため、誰からもあやしまれていないが、理科は実は29歳。勤めていた会社が倒産し、保育士になりたかった夢を思いだして、猛勉強の末、大学に入り直した。4年分の学費を一括で払ってしまい、お金がないため、妹の名を借りて、未成年限定の格安アパートに入居しているのだった。念のため、歳をごまかしていることは同級生にも内緒。だけど体を動かす授業ではへとへとでみんなの体力についていけない理科だった。そんな中、数少ない男子の鹿嶋千春が、バク転をして注目を集めていた。ここは年上の私の出番と鹿嶋に注意をすると、「頭カチカチ。内藤さんて処女でしょ？　教科書だけ読んでも保育士にはなれないよ」と図星をつかれてしまう。鹿嶋にビンタを食らわし、もう彼には関わるまいと思っていたが、彼とコンビで実習に行くことになってしまう。不真面目な鹿嶋に計画などたてられるはずがないと、話し合いもせず、一人で実習計画をたてる理科。実習当日、子供たちは理科の話など聞く耳を持たず、騒いだまま。子供に怪人扱いされ、理科が泣きそうになっていると、鹿嶋が転回しながら教室に入り、子供たちを引き付けた。ヒーローショーのようなアクロバットな動きに子供たちは夢中になり、彼のリードで子供たちにお遊戯をさせることができたのだった。理科は自分の計画などなんの役にもたたなかったと落ち込み、居酒屋で一人、やけ酒を飲んでいた。そこで偶然、元職場の同僚、山口と出会う。彼は理科のことを「年増の処女なんて、めんどくさい」と陰で言っていた人物。酔っていた理科は、自分から「処女をもらってくれない？」と山口を誘ってしまう。居酒屋を出た後、急に怖くなった理科。理科を見かけた鹿嶋が、山口との間に入り、理科を止めた。翌朝、理科が目覚めるとなぜか鹿嶋とベッドの中に。彼はアパートの隣の部屋の住人で、定期券を見られ、年齢をごまかしていることがバレてしまった。弱みを握られてしまった理科は、しぶしぶ鹿嶋の言うことを聞くが、事あるごとに助けてくれる鹿嶋のことが、しだいに気になり始める。