柿野 雪映

白線高等学校で教師を務める女性。年齢は29歳。いつも冷静で感情を表に出すことはなく、基本的に内にため込むタイプ。夫の柿野正隆とは、結婚して7年目になるが、夫婦関係は冷え切っている。同じ家で暮らしているが、セックスレスで日常会話もなく、食事を共にするだけの家庭内別居状態であり、ただ離婚していないだけの俗にいう仮面夫婦の関係。正隆が新聞配達員の夏川萌と不倫関係にあることには気づいているが、正隆には釘を刺す程度にとどめていた。本編の第1巻から第4巻では、萌が妊娠して中絶したことで正隆が夫婦の預金から勝手に金を引き出し、外泊や深夜の外出が増えたことで、家事全般すべてを放棄し始める。ついには我慢が限界に達し、泣きながら現状のつらさを正隆に訴えかけた。実は、過去に一度妊娠した経験はあるが、その後も不妊治療を続けるものの子宝に恵まれずに苦しい思いをしていた。夫に拒絶されることのつらさを吐露したことで、正隆が自らの行いを反省したため、夫婦関係の再構築を始めた。そして3か月後、妊娠が発覚。夫婦としての幸せをかみしめていると、ストーカーと化した萌から襲われそうになり、制止しようとしたはずみで正隆と共に萌を殺害してしまう。呆然自失の中、おなかの子供のことを考えたとたんに冷静となる。警察に自首しようとする正隆を止め、自分たちの子供のために何事もなかったように装う。しかし、すべてを忘れようとする自分の思いとは裏腹に、誰にも言えない秘密の重圧で、実家の二階から飛び降り、入院するなど一時的に精神的な疲弊が見られた。さらに自分が不在の間、正隆が自宅を訪れた佐野義文からの脅迫を受け、佐野を監禁したためにさらに罪を重ねることとなる。その後はつねに現実を見据え、冷酷に振る舞うようになる。ifストーリーが描かれる第5巻では、正隆が萌と不倫していることを知りながら、夫婦関係を続けていることに疑問を感じていた。職場で教育実習生として指導を担当することになった前園健に、未婚であるとウソをつき、勢いで体の関係を持ってしまう。さらに、健とラブホテルから出てきたところを萌に見られてしまい、萌から不倫の事実を正隆にバラすと脅され、正隆との離婚をせまられることになるが、表向きは大人の余裕を見せて軽くあしらった。しかし健との関係も一度きりで、実習の期間を終えると健は去り、あらためて夫婦関係を続けることの意味を考えるようになる。その後、正隆に夫婦の預金を勝手に引き出されたことで、一度は離婚を決意する。しかし健との不倫、そして正隆と萌の不倫をネタに金を脅し取ろうとする佐野が家に押し掛け、警察沙汰になったことがきっかけで、互いに不都合な事実には触れずに夫婦関係を続け、平穏な日常を送ることを選択する。