正義の殺人鬼

正義の殺人鬼

友人に誘われて学校裏にある廃工場の探索へ出向いたまじめな女子高校生の桜木梅美が、訳もわからず殺人鬼や異常者が徘徊する地下空間に行くことになり、狂気に苛まれる姿を描いたパニックスプラッター。「週刊少年チャンピオン」2016年9月号から連載の作品。

正式名称
正義の殺人鬼
ふりがな
せいぎのさつじんき
作者
ジャンル
スプラッター・猟奇
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あらすじ

第1巻

女子高校生の桜木梅美がふと目を覚ますと、自分が学校裏にある廃工場にいることに気づく。現場にいた友人のから、生徒一同で廃工場の探索へとやって来たことを知らされ、梅美自身も大いに乗り気だったと伝えられるが、梅美自身はまるで身に覚えがなかった。梅美は不審に思うものの、成り行きで廃工場の地下へと行くことになってしまう。巨大エレベーターの前で出会った地質調査会社の青年といっしょに地下へ向かう一行だったが、実は地下の住人だった青年によって、生徒の寺田が血祭りにあげられる。エレベーターが地下に到着したことで惨劇は一時中断となるが、ナグリと名乗るその青年から、一行が降り立った地下は、自分のような殺人鬼が徘徊する狂った空間であることを知らされる。地下で友人が次々と殺害される中、逃げ惑う友人とはぐれてしまった梅美の前に、正義の殺人鬼を名乗る仮面の男が現れる。正義の殺人鬼は、梅美が本当は地下生まれの住人であり、彼女の友人も梅美の心が生み出した幻の存在であることを伝え、苦しまずに死ねる薬物での自殺を勧めるのだった。

第2巻

正義の殺人鬼に薬物での自殺をうながされるが、ポケットに入っていたまるおのメモを確認して我に返った桜木梅美は自殺を拒絶。正気に戻った梅美を見た正義の殺人鬼は、梅美に奇妙なナイフを渡してその場を立ち去る。その後、梅実の声に反応してしゃべり始めたナイフのポン助からアドバイスを受け、殺人鬼たちの襲撃をかわしながら、地上へ脱出するルートを求めて地下を徘徊していた梅美は、とあるコンビニを訪れる。しかし、そこは商品が恐ろしく高額なうえ、支払いをせずに店を出た者は体が溶けてしまうという恐ろしいコンビニだった。店を出ることができなくなった梅美は、コンビニで働いて支払いを済ませようとするが、そこに殺人鬼を専門に狩る、殺人鬼狩りがやって来る。殺人鬼狩りのアドバイスでコンビニからの脱出に成功する梅美だったが、その過程で実は自分がすでに事故で死んでいること、そしてこの地下が死後の世界であることを知ってしまう。目的と行き場所を失った梅美は、殺人鬼狩りのヴォイスに自分を雇ってくれるように懇願。そしてヴォイスの店で、梅美はウエートレスとして働くことになるのだった。

登場人物・キャラクター

桜木 梅美 (さくらぎ うめみ)

しっかり者の女子高校生で、年齢は16歳。赤髪で胸が非常に大きい。成績優秀な優等生で、規律を守らない相手に対しては、厳格にルールを守らせようとする生まじめな性格をしている。それが行き過ぎてトラブルになることもあり、親友の竹にはその融通のきかなさを心配されている。ある日、目が覚めると学校裏にある廃工場に友人らといっしょにいた。記憶が曖昧なまま廃工場を探索するはめになり、ナグリに騙されて殺人鬼が徘徊する地下へ送られ、狂った住人たちから逃げ惑うことになってしまう。地下世界でも眉毛が太いのを気にしており、校則違反なので剃らずにいるが、恥ずかしさから前髪で隠している。実はすでにバス事故によって命を落としているが、桜木梅美自身はそのことに気づいていない。

ナグリ

黒いスーツを着ているロン毛の青年で、眼鏡を掛けている。「ナグリ」はニックネームで、本名は不詳。廃工場でエレベーターに乗っていた際に桜木梅美たちと遭遇し、彼らを廃工場の地下へと誘った。最初は民間会社の一職員として振る舞っていたが、地下へと続くエレベーター内で、自分の正体が地下育ちの「殺人鬼」であると語り、何者かに命じられて梅美たち高校生を地下へ誘ったことを明かす。つねに誰かを殴りたいという衝動にかられている異常者で、人間離れした強さを誇る。強烈なパンチの一撃で、寺田に致命傷を負わせた。

正義の殺人鬼 (せいぎのさつじんき)

地下に住んでいる謎の人物で、性別は不詳。本名は「クルイ」だが、自分からは名乗ることはない。目や口のないのっぺりとした白い仮面をかぶっており、その素顔はわからない。希望に満ちた人間が絶望し、自ら命を絶つのを観察するのを好む。人を食った性格をしており、ウソか本当かわからない話をよどみなく語る。地下で友人とはぐれてしまった桜木梅美のもとに現れ、彼女のこれまでの記憶が妄想であると吹き込み、薬物での自殺をうながしていた。ウソが発覚したあとは、梅実に護身用のナイフのポン助を渡し、何処かへと立ち去った。

ヴォイス

地下に住んでいる謎の男性で、目や口のない黒い仮面をかぶっている。殺人鬼を専門に殺す「殺人鬼狩り」として名を馳せている有名人。殺人鬼に対してはいっさいの容赦をせず、命乞いをしていても冷酷非情に殺害する。地下のコンビニを訪れた際に立ち往生していた桜木梅美と出会い、結果的に梅美を救うことになった。ヴォイス自らは「超ホルモンバランス異常状態」の体質であると語っており、数日に一度強烈な眠気に襲われ、起きた時にランダムで老人だったり少年だったりする。

手狩り (てがり)

地下を徘徊している謎の人物で、性別は不明。しわくちゃの顔に天狗のように長い鼻を持ち、黒いローブをまとった異様な出で立ちをしている。離れた場所から指を動かすだけで、対象の手首を切り落とせる特殊能力の持ち主。遭遇した人間を無差別に襲うため、地下の住人からも酷く恐れられている。ナグリと戦って敗北寸前に追い込まれるが、逃走に成功。その際、しわくちゃの顔は本当の顔ではなく、仮面であることが暴かれる。

まるお

長髪の男子高校生。桜木梅美の幼なじみで、高校生になった今もなお腐れ縁の仲。ひょうひょうとした性格で、何を考えているのかわかりづらいタイプだが、梅美のことを大事に思っている。彼女が傷つけられそうな状況では、自らの体を張って全力で守ろうとしていた。

(たけ)

今どきな雰囲気を漂わせた女子高生で、桜木梅美の親友。気分屋なお気楽娘で、若干ヤンキー気質なところがある。思ったことは包み隠さず話してしまう、竹を割ったような性格をしている。生まじめすぎる梅美が周囲から孤立することを懸念しており、それを梅実本人にも伝えていた。

寺田 (てらだ)

前髪を金色に染めた長身の男子高校生。喧嘩自慢の不良生徒で、非常にキレやすい性格をしている。学校裏の廃工場を探索するために、友人であるポンとわっさんを引き連れ、後輩を通じて生徒たちを現場に集めた。喫煙を桜木梅美に咎められた際には逆上して梅美を殴ろうとするなど、自らの感情の抑えがきかない。何も知らない様子で廃工場に来ていたが、実はナグリと裏で取り引きしており、行方不明になっている弟の居場所の情報と引き換えに、ほかの生徒を廃工場に連れてきた。エレベーターで地下に行く際にナグリに裏切られ、顔面を潰される。

ポン

リーゼントの髪型をした男子高校生で、寺田の友人。喧嘩自慢で、ボクシングを嗜んでいる。幼少の頃は神童といわれていた。殺人鬼としての本性を現したナグリに一撃を見舞うことに成功するが、逆襲されて首を吹き飛ばされてしまう。

わっさん

ふくよかな体型をしている男子高校生で、寺田の友人。寺田とポンといつもいっしょに行動している。廃工場を探索していたが、地下に降りた際にドブススリのガキによって殺害され、体をバラバラにされてしまう。

ドブススリのガキ

地下に住んでいる身寄りのない子供。地下をうろついており、弱者や迷い込んだ者を刃物で切り刻み、バラバラにしている。目がすわっており、感情表現も乏しい。怖い者知らずだが、手狩りだけは非常に恐れている。

ポン助 (ぽんすけ)

しゃべるナイフで、意思を持っている。正義の殺人鬼が去り際に桜木梅美に渡した。本当の名前は「ミカエリビナン」だが、長いという理由で梅美から「ポン助」と呼ばれている。見た目は奇妙だが、常識的な性格をしている。また非常に博識で、地下の世界についても詳しい。

場所

地下 (ちか)

巨大なエレベーターを使って行くことができる、廃工場の下に広がっている世界。さまざまな殺人鬼が徘徊している弱肉強食の空間で、迷い込んだ弱者はあっという間に殺害される。実は死者が集う地獄であり、バスによる事故で命を落とした桜木梅美たちは、ナグリに騙されてこの世界へと送られてしまう。

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