海の御先

海の御先

東京から遥か遠く離れた南の島の奥津島にやってきた後藤凪は、3人の女の子達と出会う。彼女達はこの島で神と祀られている龍神に仕える御先の巫女であった。そして、実は凪こそが龍神の生まれ変わりだとわかり、奇妙な共同生活が始まっていく南国恋愛物語。

正式名称
海の御先
ふりがな
うみのみさき
作者
ジャンル
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概要・あらすじ

東京から遥か遠く離れた南の島の奥津島にやってきた後藤凪は、この島で神と祀られている龍神に仕える、鳴海雫南雲火凛御剣そよぎという3人の御先の巫女と出会う。そして、も母親が御先の巫女であり、実は龍神の生まれ変わりであることが判明する。3人の巫女達は、龍神であるの寵愛を得るために、夏休みの間、彼の家に泊まり込み、お世話をしながら共同生活を送っていたが、昇龍祭で最終的に3人の巫女の中から1人を選ばなければならないのだった。

登場人物・キャラクター

後藤 凪 (ごとう なぎ)

奥津島高に通う17歳の男子高生で、9月23日生まれ。優しく、素直で、無理して背伸びせず、自信の無さを隠そうと虚勢を張る訳でもない、一生懸命な男の子。ひたすらに、目の前の事を理解しよう、そして、理解してもらおうとがんばっている。料理がとても上手。体は痩せすぎず、太りすぎず、適度な筋肉の付き方をしている。 東京から、遥か遠く離れた南の島の奥津島にやってきた。母親はかつて奥津島の人で、御先の巫女の一人であり、凪を産んですぐに亡くなったが、父親がずっと母親の事や島の事や御先の事を凪に話していた。何百年も経て今期転生した龍神であると判明後、3人の巫女を理解しようと努力した結果、3人共凪に惚れ込んでいる。 シャイで女の子にあまり慣れていないため、積極的に寵愛を授けようとしなかったが、昇龍祭で1人の巫女を選ぶことはせず3人全員を選ぶ。そして、これからは島と3人の巫女を守って生きていくことを決意する。

鳴海 雫 (なるみ しずく)

『海の御先』に登場する人物。凪と同じ年の17歳で、5月生まれ。ロングヘアーで綺麗な女の子だが、マイペースで意外と肝が座っており、どこでも熟睡出来る。そして、寝起きは寝ぼけがスゴイ。素潜りが得意で、うずまきパンが好き。そして、海の御先から見る景色が一番好き。この島では最高の神格とされている、恵をもたらす海の巫女で、おいそれとは話しかけてはいけない存在とされていたため、以前は無機質無感情な感じで、普段から感情を表に出す事もなく、人と一緒に過ごす事もほとんどしなかったが、凪が越してきてからは少しずつ表情に深みが出てきた。 雫の家は鳥居の上にあり、代々御先の巫女が住み管理する土地のため、滅多に人が入ることはなく、周りに他の家もない広い家に一人で生活していたが、火凛やそよぎも知らない、ぬいぐるみと漫画本がたくさん置いてある秘密の部屋があり、凪にバレてしまう。 3人の巫女の中で一番自分を押し殺しているが、実際はすごく甘えっ子で淋しがりやで頑固。雫の母も御先の巫女で、あまり自分を見てくれない母を振り向かせるために、巫女として頑張りすぎてしまう部分があったが、昇龍祭の後、一度死んだことで雫は変わり、自分を隠さなくなる。

南雲 火凛 (なぐも かりん)

凪の家のお隣に住む、ショートカットで活発な凪と同い年の女の子で、凛音の姉。料理が得意でとても上手だが、風呂あがりにパンツ一丁で家の中をうろつくクセがあり、スタイルがあまりよくないことを気にしている。御先の巫女の一人で、繁栄をもたらす火の巫女だが、龍神はただの島の風習で、御先の巫女もしきたり程度にしか捉えていなかったため、雫やそよぎに比べて運命を受け入れる覚悟が出来ていなかったものの、凪を好きになり、3人の中でいち早く遠慮をしない宣言をする。 人が喜ぶ顔を見るのが好きで、島の人から気さくに話しかけられ、とても慕われている。昇龍祭の後、島の行事には思い入れもそれほどなかった火凛だが、今は行事のほとんどを彼女が中心になって取り仕切っている。

御剣 そよぎ (みつるぎ そよぎ)

ロングヘアーのメガネっ娘で、モデルのようなスタイルを持つ女の子。そよぎの名の由来は、「戦う」という字で「戦ぎ」と書くことから。凪と同じ高校2年生で、家事が得意ではなく特に料理が苦手だが、自らの意志で出家して一人暮らしをしている。御先の巫女の一人で、守りを司る風の巫女のため、風を読むことができ、風の御先という島の中で一番風を読みやすい場所がそよぎの聖地である。 巫女としての習い事の中では、三線も弾くことができるが、演武が一番得意。朝はジョギングをしている。また、釣りが好きで、特に海に糸を垂らして物思いにふけるのが好きである。完璧主義な性格のため、いろんなことをそつなくこなす器用さがあるが、恋愛事となると不器用になり、雫や火凛との差に、自分で自分を追い詰めることもあった。 以前は、自分が御先の巫女として完璧だと思っており、雫や火凛よりも自分の役目を果たす事が出来、自分こそが龍神にふさわしい巫女であると思っていたが、実際に龍神である凪が現れて、自分は何も出来ず、決して完璧な人間ではないということを思い知らされる。 そして、本当のそよぎはコンプレックスから逃げてばかりで、臆病で人に依存していないと自己の証明が出来ない、脆くて弱々しく儚い存在であることが判明。昇龍祭の後、凪に対する依存心が強くなり、自分は凪無しでは生きていられないことを痛切に感じている。

南雲 凛音 (なぐも りんね)

凪の家のお隣に住むロングヘアーの女の子で、火凛の妹。小学生だが料理も上手でしっかりしている。火凛を姉ぇ姉ぇ、凪を兄ぃ兄ぃと呼ぶ。いつも色んな事を教えてくれるおばぁがいるため、知らない間にプレゼントだけ置いていくサンタクロースは自分には必要ないと思っていた。引っ込み思案で、知らない人に懐くのは見たことがなかったが、凪には初めからよく懐いており、凛音は、実は、前世は龍神と結ばれていた巫女であったことがわかる。 そして、過去に昇龍祭で何があったのかを思い出すため、苦手な海に入る決心をする。

如月 珠江 (きさらぎ たまえ)

奥津島高の凪の担任の先生だが、小学生と間違うほど小さい。先生の数が少ないため体育や他の教科も教え、学校の宿直室に寝泊まりをしている。そして、カナヅチなので、東京の大学に行きたい生徒に勉強を教えるかわりに、海で泳ぎを教わっている。東京大学出身で大学の時は古代民俗学専攻だったため、龍神祭を一度見てみたいと思っていた。 また、御先の巫女達や凪を観察しており、たまに凪の家にふらりとやってきては3人の巫女の気持ちをかき乱していく。高校の時にミケのことを芸能人だとは知らず、ただの不登校児だと思っていた。

里美 恵子 (さとみ けいこ)

如月先生とは高校からの腐れ縁。映画や大河ドラマなどにも出演する国民的大女優。キツい感じの印象だったが、テレビで見るより柔らかい感じの人で、超が付く程の年下好き。そして、呆れるほどのお人好しで、昔から洞察力が凄かった。仕事により高校にあまり登校できなかったため、友達がいなくて、勉強も出来なかったが、同級生であった如月先生に勉強を教えてもらい、友達になる。 奥津島の事が気に入り、本来の自分の姿でのびのびして過ごしていたが、東京に戻りいつもの生活が始まれば、毎日緊張した中で人にどう見られているのか、人が自分に何を求めているのかを考え、身勝手な行動はほとんど許されず自分を抑える事ばかりになる。

南雲 ヤエ (なぐも やえ)

凪の家のお隣に住むおばあさんで、火凛と凛音の祖母。物知りでなんでも知っており、御先の巫女などの祭事をすべて取り仕切っている。凪に寵愛を授ける相手を早く見つけるようせかす。雪を見たかった凛音に、雪だるま宅配便を頼みプレゼントする。

平良 静江 (ひらら しずえ)

凪たちのクラスメイトで、そよぎのことを崇拝しており、甲斐甲斐しくそよぎの世話をしているが、シャワー中に抱きついたり、一緒に寝ようとしたりと、少し度を超している所がある。実家は本津島だが、そよぎに会いたいがために祖父母のいる奥津島にやってきた。

龍神 (りゅうじん)

『海の御先』に登場する神様。奥津島に棲んでいるとされている神で、島の神話によると、海の御先に風と共に舞い降り、この島の娘と恋に落ちた。人間は御先から先には進めないが、龍神には道が出来てその先に進むことが出来るといわれている。この島には不思議な事があり、巫女から生まれる者は女の子が圧倒的に多いが、稀に男の子が生まれる事があり、言い伝えによればその子こそ転生を繰り返してこの世に現る龍神と言われている。 龍神は先の龍神が亡くなった日に再び現ると言われており、先代が亡くなったのは9月23日であった。そして、凪は9月23日生まれである。

御先の巫女 (みさきのみこ)

『海の御先』に登場する生き神。龍神に仕える巫女神で、昔は、自然災害が起きた時、神々の怒りを沈める為に自らの命を犠牲にしていた。神に仕え、神にその身を捧げる存在のため、生き神として奥津の人々から信仰されており、また、神として崇められているため、声を荒げたり、騒いだり、強い感情を面に出してはいけないとされている。 現在の御先の巫女は、最高の神格であり恵をもたらす海の巫女鳴海雫、2番目に守りを司る風の巫女御剣そよぎ、3番目に繁栄をもたらす火の巫女南雲火凛の3人おり、今も昔も変わる事無く龍神を崇め敬い、龍神の寵愛を賜るよう心身を注ぎ、奉仕するように務めている。また、御先の巫女は、代々龍神が現れるのを心から待ち望んでおり、龍神から寵愛を賜る事こそ御先の巫女にとって最高の誉れとされている。 龍神の輪廻を繋ぐ事が御先の巫女の運命のため、しきたりで、成人になるまでは男の人と遊ぶことができず、また、島の行事や島古来から伝わる歌や踊りの稽古事等で結構忙しい。昔の巫女達は皆幼い時から出家し、一人暮らしをしていたが、今は一人の巫女が出家していればいいことになっており、雫が出家している。

場所

海の御先 (うみのみさき)

『海の御先』に登場する場所。柵が無く、土地勘が無いとちょっと危ない所で、高台の切り立った崖になっている。雫のとても好きな場所。また、凪の母親が凪の父親に生前海の御先の話をしており、凄く綺麗ないい場所で、一度見に行けば人生観が変わるらしいと凪は父親に子供の頃から聞かされていたため、興津に来たら真っ先に見に行こうと思っていた。 御先の神さまとされる霊石があり、それには腰掛けてはいけない。

奥津島 (おきつしま)

『海の御先』に登場する島。東京から遥か遠く離れた南の島で、日ざしが強いため肌がピリピリして痛い程暑く、濡れてもすぐに乾く。年中暖かい所なので真冬でも長袖を羽織れば十分なくらいである。また、海はすごい透明度を持ち、海の青が鮮やかすぎて目が痛くなる程であり、島のほとんどの人は海で遊ばず、海に入るのは魚を獲ったりサザエなどを採るときである。 自動販売機はさんぴん茶率が高い。島には何もないため、この島から東京に出て行く人が何人もいる。島の学生は小中高全員合わせて16人で、凪は17人目。奥津の文化は今となっては珍しいくらい古代信仰が根付いていて、龍神伝説があり、龍神に仕える巫女神がいる。島の中で一番風を読みやすい、風の御先という風車が何機も立っている場所もある。

イベント・出来事

昇龍祭 (しょうりゅうさい)

『海の御先』に登場する祭事。祭といっても人は来ず、龍神と巫女の祭事で、龍神が3人の巫女の中から1人を決めなければいけない。伝承によれば選ばれし巫女は、龍神と共に百年千年と幸せに結ばれるとされており、御先の巫女にとって昇龍祭は最も尊く最も大切な祭事だが、実は、龍神と選ばれた巫女は共に海に入り心中しなければいけないというものであった。

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