海よりも深く

海よりも深く

占いで3年後に死ぬと予言された千年眠子と、同じく3年後に死ぬと予言された男性が、千年眠子の家族を巻き込んで大騒動を起こす。そのなかで、家族や友人の本当のありかたを知っていくことになり、幸せを掴んでいく。

正式名称
海よりも深く
ふりがな
うみよりもふかく
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概要・あらすじ

千年眠子は男性に触れられると放電するという特異体質を持つ。そのため、20歳になる今まで、男性と付き合ったことがなかった。霊感占い師から3年後に死ぬと告げられた千年眠子。四方山十三もまた3年後に死ぬと占い師に予言されていた。ただし、正しい予言を受けたのはどちらか片方だけ。しかも占ってもらった直後から、千年眠子の本家が倒産し、厄介者扱いされた千年福子が家に押しかけてくるなど、千年眠子に告げられた占いが次々と当たってしまう。

千年眠子は四方山十三と共に占いの真偽を確かめようと行動を始める。

登場人物・キャラクター

千年 眠子 (せんねん ねむこ)

札幌の女子大学に通う20歳。強引なカオリの頼みを断りきれず、大嫌いな占いをすることになる。その結果、「3年後に死ぬ」と占い師に宣告されてしまう。さらに、父親の会社が倒産、実家に病人が出る、大学を辞める、家族が2人増える、といった占いがことごとく当たってしまう。「3年後に死ぬ」という同じ占い結果が出たうえに、自分と同じく行き場もお金も失った十三を誘い、一緒に暮らすことにする。 極度の男性アレルギーで、男性に触れられると静電気が起こり、髪の毛が逆立つ。そのため、一度も恋をしたことがなく、余命3年の間に恋愛をしたいと思うようになる。そばにいる十三に惹かれるが、3年後にどちらかが死ぬこと、彼には奥さんがいることに苦しむ。 また、幼い頃の記憶を一部失くしており、自分の過去を知るため、行動を起こす。

四万山 十三 (よもやま じゅうぞう)

23歳。眠子が占いをしに行ったビルですれ違った青年。眠子がお金もなく、福子と八重を抱えて途方に暮れ、魔が差して自殺しようとした崖で、十三も自殺しようとしていた。実家の葬式に行っている間、妻の奈々にすべてのお金を持って行かれた上、住んでいたアパートも解約され、入社したばかりの会社が全焼し、無職になってしまう。 占い師の百地万太夫に眠子と同じく「3年後に死ぬ」と宣告され、夢だった自分の子供を産んでくれる女性を探している。前向きに自分の人生に立ち向かいながら、眠子の純粋さと優しさに触れ、次第に惹かれていく。

千年 福子 (せんねん ふくこ)

金沢にある千年家の本家の巫女。本家が潰れ、数え山の本殿から45年ぶりに下界に下りた。分家を頼り、八重と共に眠子を訪ねてきて、同居することになる。浮世離れしていて、いつも笑顔の優しいおばあさん。十三が交通事故から助けたおじいさんの好意で家を無料で借りることができ、その敷地内にある神社で八重と一緒に巫女として働く。 眠子の幸せを応援しており、恋愛に関してはミーハー。

八重 (やえ)

福子を50年にわたり世話してきた世話役で、姉妹同然に過ごしてきた。福子が第一の、口やかましいおばあさん。だが、眠子と一緒に暮らしてからは、彼女の幸せを福子と一緒に応援していくようになる。

百地 万太夫 (ひゃくち まんだゆう)

高齢の霊能者。占いと称し実はハイテク機器や情報収集でお客をだまし、金品や不動産をだまし取って詐欺罪で逮捕される。眠子と十三も占ってもらっており、死相が出た一人に対しては本当に占っていたと言っている。魔除けと厄払いの即効性に関しては、巫女の福子のお墨付き。逮捕後、謎の昏睡状態に陥り、眠ったままになってしまうが、それも本人が予知していた。 眠子と十三の結婚式初夜に、生霊となって眠子の前に姿を現し、死ぬと宣言した日付についてさらに予言をする。

カオリ

眠子の大学の友人。自分勝手で、なんでも言うことを聞く眠子を利用してきた。眠子を占い師の百地万太夫ところへ行かせたのも彼女で、それも紹介料をもらうためだった。大学を辞めた眠子を街で偶然見つけ、大きな家に暮らす彼女をまた利用しようとするが、福子たちの妨害にあい、激怒する。

六条 ひとみ (ろくじょう ひとみ)

23歳。眠子が清掃員としてアルバイトしているホテルで、ブライダルの担当をしている。結婚式を頼んだ神主が急病になった時に、眠子が福子たちを紹介したことで出会う。美人だが性格がきつく、「性格が悪い」と自ら言っているほど。十三とは同じ大学の同級生で、奈々と別れたことを知り、積極的にアプローチを始め、眠子たちが暮らす家に強引に居候してしまう。 眠子と対立し、お互い本音を言い合っているうちに親友になっていく。父親が浮気して両親が別れた過去がある。そのため、結婚を尊重し不倫はしない主義。

如月 奈々 (きさらぎ なな)

27歳。十三の2歳年上の妻。誰もが振り向く美人で、十三が20歳の時、十三にベタ惚れして、当時の恋人からかっさらって結婚する。しかし3年後、家のお金をすべて持って、離婚届だけを残して失踪してしまう。その後、偶然一色と出会い、十三が幸せな状況を知り、彼を訪ねて来た。今は実家に戻り、年上のイケメン実業家との結婚が決まっているのに、十三には「自分だけを好きでいてほしい」というワガママを言い始める。 すでに眠子と結ばれていた十三に捨てられ、逆上するが、一晩中追いかけてきた眠子と本音で話すうちに気持ちが変わっていく。

一色 五郎 (いっしき ごろう)

27歳。眠子たちが暮らす家に、以前住んでいた大学教授を訪ねてきた青年。花や鳥を撮る写真家。初対面で男性アレルギーの眠子に触れるが、放電しなかった。眠子は幼い頃に実家にいた次夫に似た一色に、潜在的に恐怖を抱く。一時的に眠子たちの家に居候していたが、結婚詐欺師まがいのことをしていたことがバレてしまい、出て行く。 しかし、近くのマンションに住居を移しただけだった。いつもニコニコしていて本音は見せない。最初はからかっていただけだったが、次第に眠子に惹かれていく。実は製薬会社の跡取り息子で、後に眠子の実家がお見合いを進めてしまう。しかし、一色は眠子の気持ちを考え、自ら断りを入れ、その後は十三との恋を強引ながら応援していく。

次夫 (つぎお)

眠子が幼い頃、実家に出入りしていた青年。眠子は彼に関する記憶がなかったが、一色と出会ったことで思い出す。眠子の父親の五平と病院で偶然隣のベッドになり、資産家であるところに目をつける。その後、いきなり千年家を訪ねてきて、離れで居候を始める。そこで月子と強引に関係を持ち、子供まで産ませてしまう。 口止めとして月子からお金をもらっていたが、実は妻帯者で、妻と共謀して不倫の慰謝料まで要求し大金をせしめる。美賀子にも取り入り、千年家に居座っていたが、月子に刺され死亡する。

千年 美賀子 (せんねん みかこ)

眠子の祖母。眠子の実家を、双子の妹2人と3人で当主のように仕切っている。眠子に対しては厳しくも優しく、眠子自身は好いていた。しかしそれは、自分の思い通りに孫娘を育てるために、絶妙に心理操作をする方法だった。自分の娘、月子も同じように育て、跡取りを作るために次夫をたきつけ、不倫関係を結ばせてしまう。 千年家が破産し、1年あまり貧乏暮らしをしていたが、それに耐え兼ね、一色との縁談を勝手に進め、以前の裕福な暮らしを取り戻そうと画策する。

千年 五平 (せんねん ごへい)

眠子の父親。千年家には婿養子で入り、美賀子たちに見下されている。自分の会社が倒産したものの、以前お世話になった社長に会社をまかされ、なんとかやりくりをして、破産した実家を取り戻すことができた。眠子が幼い頃、浮気をしたと聞かされていたが、実は美賀子が流した濡れ衣だった。 眠子は「父親のようにならないように」と美賀子に言い聞かされたせいで、男性に触れられない男性アレルギーになってしまった。眠子に対しては優しい父親で、美賀子たちの反対を押し切って、眠子を札幌の大学に行かせてくれた。

千年 月子 (せんねん つきこ)

眠子の母親。美しく儚げな女性。居候を始めた次夫に無理やり襲われ、男の子まで産んでしまう。大きな秘密を抱えて衰弱していき、娘の眠子は美賀子の手で離されてしまっていた。秘密を夫の五平に知られた後も、母親の美賀子だけには知られなくないと泣いてすがっていた。五平がいない日に、美賀子に「次夫の子供をもう一人産め」と言われ、絶望した月子は次夫を包丁で刺し、自らも命を絶ってしまった。 享年26。

久里浜 二葉 (くりはま ふたば)

22歳。十三が勤める会社の新入社員の女の子。窓ふきをする十三に全裸を見られたものの、なぜか気に入ってしまう。その後、二葉は十三に猛烈なアプローチをするために、十三が勤める会社に入社までしてしまう。言いたいことをズケズケ言う気の強い女性で、自己中心的。眠子の秘密を手に入れるために盗聴器をしかけるなど、犯罪まがいのことも始める。 母親は下着メーカーの社長で、億万長者。友達のような関係を誇っているが、母親から愛情を受けなかった憤りを暴力的に他人に向けている。

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