獣王と薬草

獣王と薬草

集英社「週刊少年ジャンプ」連載の『魔女の守人』で知られる、坂野旭の連載作品。『銀狼ブラッドボーン』の原作者、艮田竜和が原作を担当している。魔法やモンスターが存在する世界で、魔王が勇者に討伐されてから20年後が舞台。ダンジョンで重傷を負った冒険者のティナ・クーアイズは、魔族の医師に命を救われる。それはかつて、最強の魔族と謳(うた)われた「獣王」ガロンだった。人と魔族が織りなす医療ファンタジー。小学館「裏サンデー」「マンガワン」にて、2023年8月16日より連載。

正式名称
獣王と薬草
ふりがな
じゅうおうとやくそう
原作者
艮田 竜和
作画
ジャンル
ファンタジー
 
医療
レーベル
裏少年サンデーコミックス(小学館)
巻数
既刊4巻
関連商品
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ダンジョン攻略を目指す冒険者たちの時代

本作の舞台となるのは、人間、魔族、モンスターが存在するファンタジー世界。勇者、セサミ・ソルブライトらの勇者パーティーが、魔王討伐に成功し、150年続いた人と魔族の戦争を終結させてから20年後の世界である。地上からほとんどの魔族は消えたが、彼らが作ったダンジョンとそこに棲(す)むモンスターは、世界各地に残されている。角や尻尾といったモンスターの素材は、貴重な資源でありお金になることから、世はダンジョン攻略全盛の「冒険者時代」となった。冒険者になるには、各地にある冒険者ギルドの支部での申請が必要である。約1万人いるという冒険者は、S級からF級までの7段階にランク付けされているが、一般的にはC級以上が一人前で、B級以上は凄腕(すごうで)とされている。高ランクになるほど待遇は良くなるが、ギルドに認められるには「実力」「貢献」が必要で、A級・S級になれるのは、ほんの一握りだけである。

ティナとガロンの出会いと目的

勇者、セサミに憧れ、冒険者になったティナは、ダンジョンで瀕死(ひんし)の重傷を負った際、獣王ガロンと出会い命を救われた。「治療代」としてモンスターの治療を手伝ったティナは魔族に興味を持ち、ガロンと行動を共にするようになる。そして、名声や富のためにモンスターの命を奪うことに疑問を抱き、冒険者としての新しいあり方を見つけたいと思うようになった。ガロンは、魔王六大将軍唯一の生き残りである。医者になったガロンの目的は二つ。一つは「龍脈」の維持である。「龍脈」とは地下に流れる「魔素」の奔流。大地の血管ともいえる重要なもので、滞ると「魔素」が溜まり大地がだめになる。「龍脈」の上に設置されたダンジョンは、「魔素」の正常化に必要だが、人間はそれを知らずに、ダンジョンの主を傷つけ最後には殺してしまう。ガロンは、主の治療を行い、ダンジョンを救うことで「龍脈」を維持しようとしているのだ。もう一つの目的は、魔王の娘である王女を苦しめる不治の病の治療薬を開発すること。それをなすまでは死ねないとガロンは固く心に誓っている。 

ガロンに迫る勇者パーティーの影

死んだと思われていた獣王、ガロンの生存が、何者かによって冒険者ギルド組合本部に知らされた。人類を震撼させた最強の魔族の復活は脅威である。世間に知られると、社会の混乱を招くと判断したギルドは、秘密裏にガロンを捜索し、この世からの抹殺を目論む。かつてガロンを倒した勇者パーティーの一人、拳聖ガレウス・ディーフライは、ガロンの仲間であるミカゲ・クロストと偶然遭遇する。このことで、20年ぶりに宿敵同士が対峙(たいじ)することになる。また、同じくパーティーの一人、世界最強の魔法使いミリィの弟子、サリィが、冒険者の不正を調査する「迷宮特務官」として、ティナの前に現れる。サリィの目的は、ティナの実力の確認だけだったが、ガロンとかつての勇者パーティーの因縁の再会を予感させる登場であった。

登場人物・キャラクター

ティナ・クーアイズ

金髪のポニーテールが特徴の少女。B級ランクの冒険者で、炎系の魔法使い。「勇者セサミの日誌」が愛読書で冒険者に憧れていた。アーチス孤児院出身で、8歳の時に初めて魔法を成功させる。以後、魔法修行に励み、なんとか冒険者になってコツコツと実績を重ねる。新人引率で安全なはずのダンジョンに足を踏み入れた際、凶暴なモンスターに襲われ、死にかけるが、獣王、ガロンの治療を受けて助かる。ガロンと行動を共にすることで、魔族やモンスターのことを深く知るようになった。

ガロン

元・魔王軍六大将軍の一人で「獣王」と呼ばれる魔族。魔王軍の中でも最強と恐れられた魔族で、ライオンの頭と大柄で強靭な肉体が特徴。20年前、勇者に倒されたと思われていたが、リリンという治療用のスライムのおかげで一命をとりとめた。その後、必死で勉強し医者となった。薬の調合、薬物の投与のほか、外科手術もこなす。かつての魔王軍参謀の指令で、ダンジョンの保護という任務を行っている。人間界に出るときは鳥のくちばしのようなマスクで顔を隠しているが、部下であるミカゲの魔法で人間に変装することもできる。ある日、ティナと出会い、一緒に行動することになる。ギルドが保証するため、楽に国境を越えられるというティナの提案で、「カロ」という偽名で冒険者になった。

ミカゲ・クロスト

ガロンに従う、魔族と人間のハーフ。天然パーマの黒髪とギザギザの歯が特徴だが、誰にも知られていない素顔が別にある。「影」を操る固有魔法の使い手で密偵・伝令が主な任務。また、「影」を使い、ガロンを人間に見せかけることもできる。

クレジット

原作

艮田 竜和

キャラクター原案

ももちち

書誌情報

獣王と薬草 4巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉

第1巻

(2023-11-10発行、 978-4098528929)

第2巻

(2024-04-11発行、 978-4098532025)

第3巻

(2024-07-18発行、 978-4098534432)

第4巻

(2024-12-19発行、 978-4098537518)

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