田辺 純

猪狩町で暮らしている男性。年齢は32歳。猟師を生業としており、イノシシなどの害獣を駆除することで生計を立てている。大型サイズの猟銃を軽々と扱えるほどに身体が鍛え抜かれ、額にはイノシシとの格闘でついた傷が今でも残っている。勇敢な性格で度胸も据わっており、何事にも動じない。さらに、大切なものを守るためなら、自分が傷つくこともいとわない。職業柄洞察力が鋭く、危険を察知した際は速やかに怪しまれないように自然と行動を起こすクセがついている。泉圭太とは学生時代からの親友で、心強い存在として頼りにしている。圭太の経営するイチジク農園「イズミ農園」を手伝うこともあり、そこで取れる黒イチジクに含まれている「フィシン」と呼ばれる成分の影響で、指紋が消えているため、指紋認証ができない。のちに圭太と結婚する「三島加奈」に対して、学生時代に困っていたところを助けてもらったことがきっかけで好意を寄せるようになる。だが、圭太の後押しを受けて告白するも、断られてしまう。その際、圭太なら加奈と結ばれてもいいと考え、のちにそのとおりになったことで、やがて割り切るようになる。また、圭太はこのことで後ろめたさを感じているようだが、田辺純自身は純粋に二人を祝福しており、娘の泉恵理奈とも仲がいい。最近、圭太と加奈が離婚の準備を進めていることに対しては、複雑な思いを抱いており、圭太からもしもの時は加奈と恵理奈を頼むと言われた時は、何も答えることができなかった。猪狩町に現れた「鈴木睦雄」がすぐに凶悪殺人犯の小御坂睦雄であることに気づき、睦雄を自分の所有する小屋に呼び出し、圭太と新人警官の守屋真一郎と共に彼を捕らえようとする。だが、睦雄の激しい抵抗から彼を死なせてしまい、その隠蔽を提案した。当初は人の少ない町であることから簡単に隠し通せると考えていたが、鈴木景子の依頼を受けた刑事の畠山努が睦雄の捜索を始めたことで、徐々に窮地に追い込まれていく。その結果、真一郎が自殺を図り、庄司義昭からは睦雄を死なせたことを悟られてしまう。庄司からは、圭太と猪狩町を守るために罪を被（かぶ）るよう勧められ、純自身も一度はこれに応じる。しかし、すべてが終わったあとに圭太からイズミ農園を奪うつもりであることを聞かされ、これを聞いていた横田庄吉が背後から庄司を鋤で刺し貫く様を目の当たりにする。そして、圭太を蔑（ないがし）ろにしようとする態度への怒りに加え、横田の危機を回避するため、半ば衝動的に庄司を手斧（ておの）で殺害してしまう。