誰そ彼に海が泣く

人間が植物に乗っ取られてしまう「スワンプマン現象」が各地で起きていた。植物に乗っ取られた人間（スワンプマン）には、その自覚がなく、生命の危機や敵意を感じると正体を現して仲間を増やす。スワンプマンは静かに人間に取って代わろうとしていた。スワンプマン現象は、突然変異でも地球外生命体の仕業でもなかった。祢津遠夜という一人の男が、ある日突然この状況を作り出し、急に姿を消してしまったのだ。祢津遠夜と親しかった安曇明星は、祢津によって身体をいじられ、左腕に海洋生物を宿すようになった。海洋生物は、夜になると日替わりで現れる。そして明星の腕に現れる海洋生物の力だけが、スワンプマンを駆逐することができるのだ。祢津は、なぜスワンプマン現象を作り出したのか、なぜ明星の腕を改造したのか。何もかもが不明だった。明星は、海洋生物に詳しい帷梶目を相棒に、スワンプマンを調査しながら、すべての元凶である祢津を捜すのであった。