地球を滅亡させるためにやってきた正体不明の少女
主人公の人(じん)のクラスメイトであり、初恋の相手でもある大石阿智は人間ではない。その正体は謎に包まれており、8000光年ほど離れた場所から地球を滅亡させる使命を帯びてやってきたことだけが明らかになっている。人は「地球外生命体」「異星人」「恐怖の大王」など、既存の概念に当て嵌（は）めることで阿智を理解しようと試みていたが、のちに「天地創造の神様」と解釈するようになった。なお、本作『銀河は彼女ほどに』の煽（あお）り文には「僕ミーツ宇宙ラブコメ」という言葉が使用され、阿智が宇宙そのものに等しい存在であることが明示されている。
惑星を管理する概念「プ・ラーナ」が語る真実
謎多き阿智の感情の起伏は、宇宙と密接にリンクしている。その影響力は彼女の気分次第で惑星が生まれては消えていくほど大きい。飽和状態の宇宙に惑星が増えすぎないように調整しているのが、惑星を管理する概念「プ・ラーナ」である。人(じん)の前に現れたプ・ラーナは奇妙な機械をまとったツインテールの女の子で、100年後にせまった全宇宙の崩壊を未然に防ぐため、阿智の感情をゆさぶり続ける人を抹殺しようとした。なお、阿智はプ・ラーナの誕生より早くから存在しており、その正体はプ・ラーナすら把握していないという。
登場人物・キャラクター
人 (じん)
条星学園に通う高校生の男子。大石阿智と同じ1-Bクラスに在籍している。5教科で赤点を取るほど勉強が苦手。運動も苦手で、1キロもまともに走れない。背が高いことが唯一の長所と自覚している。時おり、幼少期の記憶がフラッシュバックするが、その詳細を思い出せずにいる。海外出張中の両親の代わりに姉に面倒を見てもらっていたが、その姉も結婚して家を去り、現在は愛猫と暮らしている。高校に入学して間もなく、マラソンの特訓に励む阿智の姿に魅了され、彼女に好意を抱くようになった。ある日、友人との会話を聞かれるという不本意な形で、阿智に恋心を知られてしまう。ほどなく阿智と対話する機会を得て、彼女の正体にせまるさまざまな情報を聞き出すも、その内容を到底受け入れることができなかった。阿智が無意識に落下させた小隕石（いんせき）によって実家を喪失し、彼女のアパートでいっしょに暮らすことになる。
大石 阿智 (おおいし あち)
条星学園に通う高校生の女子。赤髪をセミロングヘアにしている。人と同じ1-Bクラスに在籍している。容姿端麗、文武両道の優等生と噂されており、昼休みは一人で食事をしながら勉強している。無口で近寄り難い雰囲気を漂わせているが、男子生徒から絶大な人気を誇る。床に直置きのテレビ、卓袱台（ちゃぶだい）代わりの段ボール箱、就寝用の毛布しか物がない殺風景なアパートに一人で暮らしている。その正体は地球を滅亡させるために8000光年の彼方からやってきた謎の生命体で、衣服の内側に赤いハート型の尻尾を隠している。人体の切断や結合、隕石の召喚、時間の操作などさまざまな特殊能力が備わっているが、その多くは感情が揺れ動いた時に無意識に発動するもので、コントロールすることはできない。ある日、大石阿智に思いを寄せている人に正体を打ち明けて協力を要請するが、色よい返事をもらえず、無意識に小隕石を落として彼の家を破壊した。その後、人をアパートに招いて同棲（どうせい）するようになり、共同生活を通して地球を滅ぼすかどうかの決断を下すと宣言。のちに人よりも成績が悪かったことが判明し、人と共に猛勉強を開始する。
書誌情報
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