人間と魔族が共存する世界
本作の舞台となるパーシモット大陸は、18年前に先代の勇者、ハロハロが魔王のマママと和解したことで、人間と魔人が共存する平和な世界が実現した。当代の勇者、コルレオも、マママの養子として戦う必要のない平和な時代を過ごし、二人は勇者と魔王でありながらも良好な親子関係を築いていた。そんな中、異世界から歴戦の勇者であるエヴァン・オール・グリーンと、同じ世界で勇者と対立していた魔王のエンドが次元を超えてパーシモット大陸に降り立つ。さらに、彼ら以外の勇者や魔王も次々と姿を現し、やがて「魔々勇々」と呼ばれる大混乱を引き起こす。のちに、「グリシャ」を名乗る男がなんらかの企みを実現すべく、異世界から勇者や魔王をパーシモット大陸に差し向けていることが判明する。
異世界の勇者との出会いと継承
平和な時代に生まれたコルレオは、勇者でありながら平和になった世界では必要のない自分の存在と共に、過去に偉業を成し遂げた歴代の勇者たちに対してコンプレックスを抱いていた。そんな中、コルレオは異世界からやってきた勇者のエヴァンと出会い、エヴァンの百戦錬磨の勇者然とした立ち振る舞いにあこがれを抱く。しかし、エヴァンは「複数の勇者が同じ世界にいると、世界に揺らぎが起きる」と称して、異世界からやってきた魔王のエンドとコルレオを同時に始末しようとする。エヴァンもまた勇者としての道を見失っていると考えたコルレオは、エヴァンをエンドの攻撃から守ろうとして致命傷を負ってしまう。自らを省みないコルレオの行動を間近で見たエヴァンは、他者を守ろうとする心こそが勇者の条件であることを思い出し、自らの命と引き換えにコルレオを蘇生させる。こうしてエヴァンの力を継承したコルレオは、マママのかつての仲間だったパンネロから誘いを受け、魔々勇々鎮圧のために立ち上がる。
勇者と魔王のみが使用できる「紋章術」
勇者は右手、魔王は左手の甲に紋章が刻まれている。この紋章によって身体能力が向上するほか、「紋章術」と呼ばれる固有の能力が使用できる機能が備わっている。紋章にはエネルギー残量を示す模様が刻まれており、出力を上げるほどエネルギーが減りやすくなる。また、戦いを重ねることで身体や紋章術の強化、エネルギー残量が増加するなど、さまざまな恩恵を得られる。戦う必要のない平和な時代に生まれたコルレオは、勇者でありながら当初は紋章術を使うことができなかった。しかし、エヴァンが自らの命と引き換えにコルレオを蘇生させた結果、彼が保有していた「浮遊」「治癒」「発火」「斬撃」などの紋章術を継承し、使いこなすようになる。
登場人物・キャラクター
コルレオ
パーシモット大陸のカルナ区に住む人間の少年。年齢は18歳で、身長は172センチ。趣味は昼寝。先代の勇者・ハロハロの逝去と同時に右手に勇者の紋章が現れ、パーシモット大陸における当代の勇者として認められる。それ以降は魔王のマママに引き取られ、彼女と共に幼少期を過ごし、「東軍寮」と呼ばれる施設で育つ。平和な時代に生まれたため実戦を経験したことがなく、勇者とはどういった存在なのか実感できないことに悩んでいる。魔王に育てられたことにはまったく抵抗感はなく、時おり反抗的な態度を取るものの、内心では彼女を慕っている。また、マママ以外の女性とほとんど接したことがないため、同年代の女性に対してやや苦手意識を抱いている。
マママ
コルレオの育ての母親で魔人の女性。実年齢は38歳だが、容姿は10代前半程度にしか見えない。身長は146センチ。趣味は昼寝。当代の魔王だが、魔王としての能力は極めて低く、「もし勇者が本気で敵対行動を起こした場合、即座に抹消されてしまっただろう」と自ら語るほど。かつては大雑把な性格だったが、コルレオを引き取ってからは女手一つで、彼をまっすぐな少年に育て上げた。コルレオが18歳になった現在は、「勇者とは何か」と思い悩む彼を諭そうとして軽い口論になることもあるが、魔王と勇者の関係ながらも良好な関係を築いている。先代の勇者であるハロハロとは恋仲で、彼の強さと平和を愛する心に強く惹かれていた。
書誌情報
魔々勇々 4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2024-02-02発行、 978-4088838175)
第2巻
(2024-04-04発行、 978-4088838762)
第3巻
(2024-07-04発行、 978-4088841212)
第4巻
(2024-08-02発行、 978-4088841328)