概要・あらすじ
震災から間もない、2016年9月のK県K市が舞台。20代前半の青年、堺翔平は、高校中退後定職に就かず、金に困って詐欺の手伝いをしようとするが失敗するなど、荒んだ生活を送っていた。そんなある日、中学校時代の友人だった木村武彦に呼び出され、同じく中学校時代の友人である蓑田とともに、木村の実家である自動車工場へ向かった。
そこで木村から「捨ててきて欲しい」と頼まれて渡されたのは、若い女性の死体だった。その場に同席していた番頭と呼ばれるヤクザの男にも脅され、堺と蓑田は台風の日に、女性の死体を川へと遺棄する。数日後、罪悪感から警察に自首しようとしつつも踏ん切りがつかずにいる堺のもとへ、女性の父親上遠野が姿を現す。上遠野は、堺が川に落としたスマホを頼りに、死体を遺棄したのが堺だと突き止めていた。
医師でもあった上遠野は、堺を拉致し、堺の腹部を切開してスマホを埋め込む。それ以降、スマホを通して位置情報を上遠野に把握されるようになった堺は、上遠野から殺人を強要されるようになる。
登場人物・キャラクター
堺 翔平 (さかい しょうへい)
K県K市に住む青年。年齢は20代前半。高校を中退している事から、真面目に働く気が起こらず、金に困って詐欺の手伝いをするなど、荒んだ生活を送っている。詐欺が失敗に終わったため、警察の目から逃れるために髪を金髪にしている。とある経緯から、女子大生の上遠野由奈の死体を川に遺棄してしまう。さらに、その事を知った由奈の父親上遠野によって、下腹部にスマホを埋め込まれてしまっている。 スマホは充電アダプターのみが体外に出され縫合されおり、イヤホンマイクで通話は可能。着信やバッテリーの消耗などでバイブが振動すると、堺に激しい痛みを与える状態になっている。
上遠野 (かどの)
中年の医師。娘の上遠野由奈を何者かに殺され、川に遺棄された事で、独自に復讐を始める。娘の死体が見つかった川から、堺翔平が落としたスマホを見つけ出し、死体を遺棄した人物が堺と蓑田である事を突き止める。さらに、堺を拉致し、そのスマホを下腹部に埋め込んで監視するようになる。堺が娘を殺したのではないかとも疑っており、堺が警察に自首して死体遺棄の罪だけで助かろうとするのを許さず、堺が確実に死刑となるよう、誰かを殺害する事を強要する。
木村 武彦 (きむら たけひこ)
堺翔平の、中学校時代の友人。男性。中学生のころから髭が濃く、現在も顎髭をたくわえている。実家は自動車工場を営んでいる。堺と、同じく中学校時代の友人蓑田に上遠野由奈の死体をどこかに捨ててくるように頼む。番頭と呼ばれるヤクザとの関係や、なぜ上遠野由奈の死体を自宅に置いていたのかは不明。
蓑田
堺翔平の、中学校時代の友人。男性。現在は大学に通っている。中学生の頃から太った体型。堺とともに木村武彦の家に呼び出され、死体の遺棄を手伝う。木村を経由してマリファナを入手したという経緯や、ほかにもなにか弱みを握られているらしく、木村には頭が上がらないらしい。死体が発見され、警察に自首しようとし始めた堺を、暴行して止めようとする。
番頭 (ばんとう)
本名は不明。中肉中背の男性。ヤクザらしく、堺翔平が一時期手を染めていた詐欺の仕事を取り仕切っている。詐欺グループの中でも、「逆らうと殺される」と恐れられている。なぜか木村武彦の家に姿を現し、詐欺に加担していた事をネタに堺達を脅し、死体の遺棄を強要する。
愛梨 (あいり)
堺翔平と同棲している女性。上遠野由奈の死体が発見され、全国ニュースになってから、堺に自首を勧める。その際には、「刑務所に入る事になってもずっと待っている」と言って堺を励ましていたが、堺が上遠野に拉致されていた間に出会ったヒロくんと即座に浮気を始める。本心では堺が殺人犯ではないかと疑っており、自首を勧めたのも堺を追い出すため。 ヒロくんとの浮気現場に堺が現れてからも、ヒロくんを見捨てて逃げ出そうとするなど、自分勝手な性格。
ヒロくん
サラリーマンの男性。既婚者。町で出会った愛梨と浮気を始め、愛梨の部屋にいたところを、上遠野から開放された堺翔平と鉢合わせてしまい、事件に巻き込まれる。その後、愛梨の部屋に現れた蓑田に、金槌で殴られ、鎖骨を折られる。
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