COSMOS

地球に異星人が住むようになって100年余り。異星人は「地球に異星の通貨を持ち込まない」というルールの下、正体を隠して生きている。そんな異星人専門の保険会社が、銀河金融保険公社「COSMOS（コスモス）」である。コスモスは世界中に支部を持つ公的機関で、年間10万人ともいわれる異星人の入管を一手に引き受けている。保険の種類は、地球に住む異星人に加入が義務付けられている保険のほか、異星人の凶悪犯罪事件のために政府が加入している保険や、盗難保険、死亡保険などさまざまである。調査員は、保険金が関わる事案についての調査・報告を行うが、異星人が相手ということもあり、派手な事件になる場合も多い。そんなときに役立つのが「Mind Exchange Switch：通称MES（メス）」。印象操作デバイスであり、目撃者や関係者の記憶を消去・改ざんすることができるのだ。また、破損した現場の原状回復を行う「修正（デバッグ）班」や、コスモス直轄の「STARS（スターズ）」という強力な特殊部隊も存在する。

デル星人・八添美智子は、4年前に乳児を誘拐した、SSランクの凶悪犯である。しかし、じつは育児放棄の末に殺されそうになっていた赤ん坊を救った結果のことだった。デル星人は、生まれた瞬間から自立した存在で、「親」という概念もなかったが、なつと名付けた子供と美智子は本当の親子のように4年の歳月を過ごした。そんな美智子の罪を正すため、コスモスのエース・穂村燐に白羽の矢が立つ。本作は、宇宙人が絡む盗難や詐欺、傷害といった事案を解決するために奔走する、コスモスの調査員たちの活躍を描く。そのため、派手なバトルやアクションが繰り広げられるが、一方で宇宙人たちの生い立ちや苦難、犯罪に至った事情を丁寧に描いたヒューマンドラマでもある。

本作は、1エピソードごとの完結形式が基本だが、ストーリー全体にかかわる凶悪な組織がある。それがSSランクに特例認定された「笛吹き男（パイド・パイパー）」と呼ばれる犯罪組織である。「笛吹き男」はコスモス未加入で、不正入星と地球人児童の集団拉致を繰り返している。「笛吹き男」の目的は、子供を使った人体実験であり、地球人に特殊能力の発現を促したといわれている。コスモスの調査員・鉄ソプラノは、超人的な聴覚の持ち主だが、じつは過去に「笛吹き男」に連れ去られたことがあるという。その話を聞いた水森楓は、嘘をつく人間の臭いを嗅ぎ分ける自分も、「笛吹き男」と関係しているのではと考え始める。