概要・あらすじ
イタリアの政府機関「公益法人社会福祉公社」では、死に瀕した少女たちの身体改造と洗脳を行い、一流の暗殺者として育てていた。これはテロリストに対抗するための措置で、「義体」と呼ばれる身体は、大怪我を負っても人工筋肉を入れ替え蘇る、超常の存在だった。だが、その代償として、寿命は非常に短い。彼女たちを扱うのは成人男性の担当官で、1対1の関係「フラテッロ(兄妹)」として忠実に従うよう「条件付け」という名の洗脳を施される。
義体の1人ヘンリエッタもまた、担当官のジョゼを慕い、忠実に付き従っている。一方、ジョゼはこの非人道的行為に苦しみ、ヘンリエッタを妹のように大切に扱いながらも、自分の家族を殺したテロリストへの仇討ちに燃える。
社会福祉公社には他にもトリエラやリコ、クラエス、などの義体が在籍し、現場に投入されていた。そんな中、最初の義体アンジェリカが徐々に記憶を失い、短い寿命を迎える。それを知った義体の少女たちは自らの死期を悟る。それぞれの担当官は彼女たちとどのような関係を築いていたかを考えながら、爆弾テロ事件・「クローチェ事件」の首謀者と思われるの人間の、大規模原子力発電所占拠に対峙していく。
登場人物・キャラクター
ヘンリエッタ
『GUNSLINGER GIRL』の主人公の一人。担当官はジョゼ。1期生。礼儀正しいセミロングの少女で、義体のメンバーの中では幼い容姿をしている。元々はローマで家族と暮らしていた少女だったが、連続殺人犯の一家殺害事件に巻き込まれ、殺された家族の隣で1晩中暴行を受ける。身体の多くを失い、精神はボロボロになっており自殺を望んでいた。 だが、義体にする素体を探していたジョゼが、彼女を救いたいと願って、「社会福祉公社」で義体にされる。義体になった後は妹のようにジョゼを慕い、彼に好かれたいと強く願うようになった。「条件付け」はジョゼの願いでかなり低めに抑えられている。そのため、時々情緒不安定に陥ったり、ジョゼを守るために攻撃的になったりすることが多い。 ジョゼも彼女を非常に大切にしており、多くのプレゼントを彼女に渡していた。条件付けの副作用で記憶を失うようになると、ジョゼと一緒に戦えなくなることを恐れはじめる。その後ジョゼは仇であるジャコモ=ダンテのテロに対抗するため、彼女の条件付けをリセット、戦うだけのロボット兵として書き換えた。
ジョゼッフォ・クローチェ (じょぜっふぉくろーちぇ)
『GUNSLINGER GIRL』の主人公の一人。ヘンリエッタの担当官で、ジャンの弟。検事のクローチェ家の息子。妹にエンリカがおり、仕事で家を空けることが多かった両親に代わって面倒をみている時間が長かったため、彼女から強く慕われていた。その後軍警察に所属。戦場にいることで、家族といる面倒な気持ちを晴らしていた。 ところが帰国後、クローチェ事件で両親と妹エンリカを亡くし、絶望。復讐のために、ジャンと共に「社会福祉公社」に転職した。連続殺人犯に家族を殺され、心身ともにボロボロだった少女をパートナーの素体に選び、ヘンリエッタと名付ける。フラテッロになってからは、プレゼントをまめに送ったり共に天体観測をしたりと、彼女に対して妹のように接していた。 妹のエンリカにイメージを重ねるあまり、ヘンリエッタにエンリカの服を着せたり、エンリカの幻に責めさいなまれたりすることがある。ヘンリエッタの体と脳に限界がきて、自分の行動に責めさいなまれていた時、家族の仇であるジャコモ=ダンテを発見。 復讐のためにヘンリエッタの条件付けを書き換えて、彼女を戦うだけのロボット兵にする。
リコ
担当官はジャン。1期生。ショートカットで、いつもズボンを履いている。元は全身麻痺の患者で、身寄りをなくして「社会福祉公社」に引き取られ義体となった。好奇心旺盛で普段から「嬉しい」という感情が強く、一方で「怒り」の感情が欠損しており、ジャンからは殴られるだけでも喜ぶことがある。 ジャンは彼女を道具として割り切っており、「条件付け」はとても強く施されている。戦闘能力は非常に優秀で、自分の身を顧みず、無表情に淡々と敵を殺す。だが、ジャンに見捨てられることだけをひどく恐れている。銃撃戦のほか、撲殺や頚椎をへし折っての暗殺など、徒手空拳での戦いも得意。
ジャン・クローチェ (じゃんくろーちぇ)
リコの担当官で、ラバロ死後のクラエスも担当。ジョゼの兄で、検事のクローチェ家の息子。妹にエンリカがいる。イタリアの英雄だった軍人の祖父に憧れ、陸軍士官学校に両親の反対を押し切り入学。士官学校を卒業後に23歳で中尉になった。他人に対して興味を全く抱かない性格の持ち主だったが、連隊のソフィアに告白され、婚約。 彼女の献身的な活動で、エンリカをはじめ両親も親しくなり、ジャンにも情が芽生えるようになった。その時にクローチェ事件で両親とソフィア、エンリカを亡くし、復讐のため「社会福祉公社」に転職した。義体担当官のリーダーとして、現場では無線で指揮を取っている。 リコとフラテッロになってからは、条件付けを躊躇いなく行い、義体は仕事の道具だとリコに言い放ち、距離を置いて冷たく接し続けている。またリコに暴力をふるうことも多いが、リコはもともと全身麻痺で全く感覚を持っていなかったため、それすらも喜んでいることがある。
トリエラ
担当官はヒルシャー。1期生で、「社会福祉公社」2番目の義体。褐色の肌に金髪のツインテールの少女。身長が比較的高いため、成人女性に変装することもある。大人びた考え方を持ち、他の義体の少女たちの面倒を見ることも多い。また、1期生の中では比較的感情が豊かな方で、強く自分の意思を言うことが多い。 ピノッキオとの戦闘では、ヒルシャーからもらった銃で自分を撃ったことに激しい怒りを感じ、ずっと忘れずにいた。元はスナッフ・フィルムのために拉致され、殺されかけていた少女で、ヒルシャーとラシェルに救出された。本来はヒルシャーは彼女が義体になることを望んでいなかったが、改造されてしまったのを知り激怒。 ジャンの誘いで彼がトリエラの担当官になり、彼女を守ろうと誓う。ヒルシャーからは条件付けをできるだけ軽くさせられている。また、戦いに出る時、少しでも怪我をさせないよう、生き延びることを強く言われているため、彼に対して複雑な思いを抱えている。やがてヒルシャーに惹かれる思いは条件付けとしての気持ちではなく、自分自身の愛情だと理解し、彼と共に少しでも長く生き、共に死ぬことを決意。 チーム戦闘時は突入役に回ることが多く、射撃のみならず近接戦闘にも長けている。義体少女の中では珍しく、生理の描写がある。
ヴィクトル・ヒルシャー (ゔぃくとるひるしゃー)
トリエラの担当官。本名はヴィクトル・ハルトマン。元欧州刑事警察機構(ユーロポール)所属、児童虐待取締班所属の警官。マリオ・ボッシから情報を得た、アムステルダムのスナッフ・フィルムの現場に潜入。監察医ラシェル・ベローと共に少女の救命措置を行い、マリオ・ボッシとイタリアで治療させるために少女を搬送する。 彼女を素体として「社会福祉公社」が義体にしてしまったことに怒り狂い、機密事項を知ったとして処刑されることになる。そこでジャンが、偽りの身分を準備。ヒルシャーと名前を変えて、トリエラの担当官となるべく社会福祉公社の一員となった。 非常に真面目な性格で、義体の条件付けの強化に強く反対。そのためトリエラは条件付けが極めて軽くなっている。彼女を戦いの道具としては見ておらず、少しでもトリエラが長生きできるよう立ち回っているため、もっと自分を戦わせるべきだとトリエラからは叱責されることもある。それでも彼女をなにより大事にするヒルシャーに、トリエラは次第に好意を持つようになっていく。 後に、彼女たちの未来をつなぐために、密かに採取していたトリエラの卵子を、ロベルタ・グエルフィに渡す。
クラエス
担当官はラバロ。1期生。素体時代は読書好きでメガネを愛用していたが、義体になってからはメガネの必要がなくなった。素体時のメガネのレンズを抜いた伊達メガネをかけており、渡したラバロから、メガネをかけているときはおとなしいクラエスでいてほしいと伝えられる。 ところが担当官のラバロが死んでしまったため、条件付けを書き換え、ラバロの記憶を消去。担当官の変更は不可能なため、戦闘用義体ではなく、義体開発用の実験義体として運用される。ラバロに学んだ「無為に時間を過ごす」ことを実践しており、実験の合間に音楽や読書を嗜み、菜園づくりに励んでいる。 1期生の中では博識で冷静。メガネを触られたり、ラバロが関連する場所に行くと、条件付けして消えたはずの記憶が揺さぶられ、感情が揺れ動くことがある。
クラウディオ・ラバロ (くらうでぃおらばろ)
クラエスの担当官。軍警察時代のジャンの上司。脚を負傷して退役したため、元々はその復帰のために「社会福祉公社」に入った。ところが思っていたのと違い、子供の育成だったため、当初はクラエスには冷たく当たっていた。ある日、射撃訓練の指示を出したところ、翌日まで雨の中一晩中訓練を続けていたことを知り、考え方を改める。 クラエスの戦闘訓練の合間に、湖に彼女を釣りに連れて行き、無為に時間を過ごすことを教え、そのときだけは父娘のような関係を築いていた。条件付けの強化を行おうとする社会福祉公社に疑問を感じ、知り合いの記者に会いに行こうとしたところ、ローマで交通事故にあって即死。 その前にクラエスが生前かけていたメガネのレンズを入れ替えたものを手渡し、メガネをかけている間はおとなしいクラエスでいてほしいという約束をした。ラバロの死後、クラエスから彼の記憶を条件付けで上書きして抹消するが、彼との約束はクラエスの体に染み付いている。
アンジェリカ
担当官はマルコー。1期生。黒髪ロングヘア。元の名前はアンジェリーナで、両親が保険金目当てに車で轢き殺そうとし、重症を負った少女。「社会福祉公社」で最初の義体になる。注射を嫌がることが多かったため、気を紛らわせるためマルコーと職場の仲間の即興童話「パスタの国の王子様」を聞かせてもらっていた。 条件付けの程度や投薬量がまだ明確ではなく、義体運用のための改造も多く施されたため、副作用が出やすく、不安定。入院し、出撃できないことも多かった。性格は極めて穏やかで優しい。次第に記憶がどんどん失われ、素体時代の記憶がフラッシュバックしたり、飼っていた犬の幻覚を見たりするようになる。 マルコーと警備をしていたところ、自動車の爆破テロに巻き込まれ、マルコーをかばって重症を負う。身体の修復により、脳が寿命としての限界を迎える。
マルコー・トーニ (まるこーとーに)
アンジェリカの担当官。元は内務省治安作戦中央部隊にいたが、目を負傷したため解任。友人の紹介で「社会福祉公社」に入る。親に車に轢かれて瀕死だったアンジェリカの素体、アンジェリーナを優しく見守り、注射をいやがる彼女のために即興童話「パスタの国の王子様」を聞かせた。 最初は義体となったアンジェリカを非常にかわいがっていたが、最初の義体だったこともあって条件付けによって記憶がどんどん失われてしまうことにすっかり失望。アンジェリカに冷たく当たるようになる。ある日、自動車の爆破テロに巻き込まれ、マルコーをかばったアンジェリカが重症を負ってしまう。脳が限界を迎えたアンジェリカが寿命間近になった時、彼女の記憶の断片に犬が出てくることを知り、アンジェリーナが飼っていた犬に引き合わせるために奔走。 何もかも忘れかけていたアンジェリカが、以前マルコーに語ってもらった即興童話「パスタの国の王子様」を語った後に息を引き取ったのを見守る。
エルザ・デ・シーカ (えるざでしーか)
担当官はラウーロ。義体の1期生。長い髪をおさげにしている。殺風景な部屋に住んでおり、ラウーロの写真1枚だけを飾っている。ラウーロからは道具のように扱われていたが、エルザはラウーロに激しい恋慕を抱いており、その思いがかなわないことを知って、彼を殺し、自分の目を撃って自殺する。 この時の出来事が、ジョゼとヘンリエッタの関係に大きな影響を及ぼす。
ペトルーシュカ
担当官はサンドロ。義体の2期生。赤毛で手足の長い少女。身長は1期生よりも高い。明るい性格で、毎朝ストレッチ体操をしている。2期生は条件付けによる縛りを抑えているため、彼女も洗脳は控えめで、素体時の身体の記憶に影響され、比較的自らの意志で動ける。サンドロとのコンビで、1期生とはまた違う戦い方や諜報術を覚え、活躍していく。 サンドロには強制ではない形で恋愛感情を抱いている。素体はロシア・ボリショイ・バレエ学校の6年生・エリザヴェータ・バラノフスカヤ。バレリーナを夢見ていた16歳の少女で、努力家で学校でも高く評価されていた。しかし、チェルノブイリ事故の影響で脚に骨肉腫があり、イタリアの病院で治療を受けるも、脚を切断せざるを得なくなり、絶望して投身自殺を図る。 一命を取り留めた彼女を「社会福祉公社」が義体として改造した。エリザヴェータは病院にいたころサンドロに会っているが、サンドロはペトラがエリザヴェータであることは知らない。白血病であることが発覚した後、素体であるエリザヴェータ時代の記憶を取り戻すことを希望。 サンドロとともに記憶を取り戻し、義体として生き、サンドロに出会えたことを喜ぶ。
アレッサンドロ・リッチ (あれっさんどろりっち)
ペトルーシュカの担当官。ロッサーナの弟子で、公安部に所属。女性と肉体関係を持つことで調査対象の情報を得る仕事を請け負っていた。ロッサーナとは恋人関係になったが、彼女は失踪。ロッサーナが赤髪だったため、義体は赤髪にするなと言っていたが、パートナーとなった義体のペトルーシュカは赤髪にされた。 軽い性格を振る舞って、相手の本心を伺うのが得意。基本的に温和な性格で、人を傷つけることには抵抗が強い。義体に対しても過度に厳しい態度でいることを望んでおらず、ペトルーシュカはパートナーとして扱っている。ペトルーシュカは1期生と違って条件付けがそこまで重くないため、自意識が比較的強く、彼に対して恋愛感情を積極的に抱くようになる。 彼はそれをあしらうものの、厳しく律することはしなかった。身長の高いペトルーシュカとコンビの戦術や諜報術を身につけ、様々な事件を阻止することに成功。ペトルーシュカを大人の女性に扮装させて行動したこともある。ペトルーシュカが白血病であることが発覚したのち、彼女の希望で素体であるエリザヴェータ時代の記憶を取り戻させる。
マリオ・ボッシ (まりおぼっし)
マフィア組織カモッラの元幹部。6年前、北アフリカやバルカン半島から子供を誘拐、輸出していた。しかし自分の娘のミミが成長したことで悪事から抜けようと決意。ユーロポールのヴィクトル・ハルトマン(後のヒルシャー)に少女の救出を依頼。スナッフ・フィルムの撮影現場にハルトマンとラシェル・ベローが現地警察に無断で乗り込み、被害者少女(後のトリエラ)を救出する。 その後、カモッラ裁判の証人になるため帰郷。組織の暗殺から守るためにやってきたヒルシャーとトリエラに再会する。その時、クリスマスを娘と過ごした彼は、トリエラにクマのぬいぐるみをプレゼントした。 トリエラはそのぬいぐるみにアウグストゥスという名前をつけている。後に再度ナポリで2人と再会。死期を悟ったトリエラから、過去のヒルシャーと自分の話をしてほしいと言われる。
ラシェル・ベロー (らしぇるべろー)
ユーロポールでハルトマン(のちのヒルシャー)と同僚だった監察医。マフィア集団カモッラによるスナッフ・フィルムの被害者の司法解剖を担当。児童虐待取締班のハルトマン刑事と出会い、2人で残忍な事件に苦しんでいた。カモッラ幹部のマリオ・ボッシが、足を洗いたいと被害者少女の救出を依頼。 職務外で2人はアムステルダムの撮影現場に潜入する。その際銃撃をうけ瀕死になるも、被害者の少女(のちのトリエラ)に救命処置を行う。一命を取り留めさせたあと、あの子に「希望」を託した、と述べて死亡。トリエラは時折彼女の夢を見て、「お母さん」と呼んでいる。ヒルシャーは彼女の思いを重く受け止めており、トリエラが少しでも長く生きるように尽力することを誓い、彼女の意志を受け継いで、未来のために手紙をロベルタ・グエルフィに託す。
ロッサーナ
本名は不明。赤髪の諜報員。コロッセオでアレッサンドロと出会い、人間観察力を見込み弟子にとった。家中にあらゆる本や物が積みあがっており、何百人もの人間になりすますための知識を詰め込んでいた。情報収集任務のために、対象と肉体関係を結ぶことも多い。淡々と仕事をこなすため同僚から「機械(マッキナ)」と呼ばれ、距離を置かれていた。 その孤独を知ったアレッサンドロと恋仲になるが、その後失踪。仕事で肉体関係を持った相手の子を妊娠し、ビアンカという名の娘を産んで、郊外の農村でひっそりと暮らしている。
エンリカ・クローチェ (えんりかくろーちぇ)
検事であるクローチェ家の娘。ジャンとジョゼの歳の離れた妹。L.ベルニーニ公立中学校の2年生で、13歳。サッカーが非常に得意。またハープのコンクールでも常連。両親は仕事で忙しく、兄の2人は軍人としてなかなか帰って来られなかったため、いつも孤独に、犬のフォルと過ごしていた。 ジャンが婚約者のソフィアを連れてきたことで嫉妬し、ソフィアには冷たく当たるも、彼女の献身的な態度に、しだいに心を開いていく。家族の中で最もジョゼを慕っており、ジャンも両親も大好きで、一緒にいたいと常に願っていた。ソフィアの力で家族間の関係が好転し、久しぶりのバカンスに向かう途中、クローチェ事件に巻き込まれ、両親、ソフィアと共に死亡。 その後、ジャンとジョゼはエンリカの幻影に苦しめられている。
ソフィア・ドゥランテ (そふぃあどぅらんて)
シチリア出身。軍警察所属の伍長。ジャンが入隊したときに一目惚れし、オレンジを持ってすぐ告白にいった。取り付く島もなく追い返されるも、その後も人間に興味が無いジャンにつきまとい、そのおおらかな性格でジャンの心を癒やし始める。婚約後は、自らの意志で退官。 両親が忙しく、ジャンもジョゼも付いていられないため1人で留守番をし続けているエンリカの世話を頼まれ、一緒に住むようになる。エンリカは大好きなジャンが奪われたと感じ、最初は敵対心を抱くも、積極的で前向きな彼女の性格にほだされ、仲良くなっていく。バカンスにクローチェ検事夫婦とエンリカと共に車で出かけ、爆破テロに遭遇。 その後まもなく死亡する。
ロベルタ・グエルフィ (ろべるたぐえるふぃ)
ローマ地検の若手女性検事。クローチェ事件に関わる裁判が混迷を極め、関係者の暗殺も懸念されていたため、彼女が事件を担当することになった。裁判の最中、襲撃に遭い負傷するものの、トリエラとペトルーシュカが警護にあたり、ヒルシャーの熱意で命を取り留めた。その後ヒルシャーとは親しい仲になっていく。 ジャコモ=ダンテ一派の大規模テロからヴィツェンツァ空軍基地に避難していたときに、ヒルシャーが書いた手紙に気づく。そこに記されていたスイス銀行にマリオ・ボッシと向かい、ヒルシャーとトリエラの来歴の事実、そしてトリエラの卵子を病院に保存していることが記された書類を受け取る。
ピノッキオ
マフィアに幼いころ地下室に監禁されていた少年。クリスティアーノに保護され、殺し屋となる。銃器以外にナイフの扱いに長けている。爆弾テロリストのフランカとフランコと合流したところをトリエラに取り押さえられそうになるものの、ナイフ1本で彼女を倒してしまう。しかし、かつて殺人現場を標的の娘に見られて殺害したことがトラウマになっており、少女が苦手なためトリエラにとどめを刺せなかった。 元々は感情を失った殺人機械のような性格だったが、フランカとフランコと共に農園で暮らすうちに人間性を取り戻す。クリスティアーノがそのまま滞在するように命令するも、彼が逮捕されることを聞き、彼のもとに駆けつけた。 クリスティアーノを命の恩人だと思い、好きだと打ち明け、お互いの愛情を確かめ合った後、乗り込んできたトリエラとの近接戦闘で相打ちになり死亡。
クリスティアーノ・サヴォナローラ (くりすてぃあーのさゔぉなろーら)
五共和国派ミラノ派の中堅幹部。地下に監禁されていたピノッキオを救い、殺し屋として育てた。ジャコモ=ダンテがエジプト軍に護送されている時、ピノッキオらを使って救出、ジェバンニ・クローチェ検事を暗殺するよう依頼した。その後派閥の中で失脚し、クリスティアーノが責任をとって逮捕されることを覚悟、周囲の人間を逃し、ピノッキオやフランカ、フランコが屋敷に来ないように命令する。 しかしピノッキオに育ててくれた恩と愛情を感じていることを訴えられ、自身もまたピノッキオを大切に思っていたことに気づき、海外に逃亡してやり直すことを決意。フランカたちと車で脱出中にアンジェリカに狙撃され、川に転落。 全身不随になり、ブレイン・コンピュータ・インターフェースを使って会話するようになる。ピノッキオ、フランカ、フランコを殺されたことを恨んでおり、ジャコモ=ダンテに社会福祉公社を葬るよう依頼する。
ジャコモ=ダンテ (じゃこもだんて)
フリーの活動家。エジプト軍に拘束され護送されていたところを、ピノッキオらに助けられ、クリスティアーノ・サヴォナローラからイタリアの検事ジョバンニ・クローチェの殺害を依頼される。これを成功させ、ジャンとジョゼの両親、妹のエンリカ、ジャンの婚約者ソフィアを殺害。 「クローチェ事件」を起こす。このことで、ジャンとジョゼは復讐に燃え、社会福祉公社に入ることになる。その後はアフリカにいたが、ピノッキオらを殺された復讐と称して、社会福祉公社を葬るよう依頼される。特に政治的な思想はなく、戦って面白いかどうかをメインに動いている。 ピエモンテ州新トリノ原子力発電所では、カリスマを発揮し多くの人員を動かし占拠する。
集団・組織
公益法人社会福祉公社 (こうえきほうじんしゃかいふくしこうしゃ)
『GUNSLINGER GIRL』に登場する組織。イタリア政府内閣府の公営機関。表向きは首相府主催の身障者支援事業だが、裏では義体を用いて、政府のための暗殺やテロリスト組織の鎮圧を行っている。何らかの問題があって心身に障害を負った少女たちを集め、医療技術で義体化し、担当官と共に実戦に投入している。 実質は首相の声掛けの元、クローチェ事件に端を発するテロリスト事件に対しての復讐集団としての側面が強く、公安部長は「亡霊」と称している。イタリア各地で情報収集を行っているが、実際に動くのは本部の作戦二課で、義体もそこで運用している。本部は、実戦訓練場を作ることができるほど広大な敷地を持っている、ローマ郊外の元修道院が使われている。 墓地が内部にあり、一番最初に亡くなった義体のアンジェリカも埋葬されている。義体の研究過程で生まれた技術を密かに社会に還元することで、イタリアの先端医療が世界一の水準になっていることを方便としている。
その他キーワード
義体 (ぎたい)
『GUNSLINGER GIRL』の用語。様々な事情で心身に大きな損傷を負った身体を人工筋肉に入れ替え、「条件付け」と称した薬物洗脳で戦闘用に改造された少女のこと。非常に優れた射撃能力や近接戦闘能力を持つだけではなく、腕力や脚力が飛躍的に上がっており、大の大人の数人を素手で殺すことはもとより、数百キロある爆弾を持ち上げることも可能。 身体が銃やナイフで損傷したときも、その部分の人工筋肉と皮膚を入れ替えることで再度出撃できる。ただし治療による投薬は義体の寿命を急激に縮めてしまう可能性が高い。義体の少女は戦闘訓練を常に行っており、戦闘技術を高め続けている。クラエスだけは担当官を失ったため戦闘に出ず、新しい義体研究のための実験義体になっている。
条件付け (じょうけんづけ)
『GUNSLINGER GIRL』の用語。過去に心身に障害を負った少女に対し、投薬による洗脳で蓋をすることで、過去の記憶をすべて封印、上書きすること。条件付けが強ければ強いほど、従順な戦闘機械になると同時に、寿命も短くなる。1期生は手探りな実験状態で、最初の義体アンジェリカはバランスを崩しやすく、頻繁な入院の末死亡。 2期生は比較的マイルドな条件付けの方針に切り替えられ、本人達の意志がそれなりに出るようになっている。
フラテッロ
『GUNSLINGER GIRL』の用語。義体の少女と担当官が、1対1で組む時の俗称。イタリア語で「兄弟」の意味。ジョゼとヘンリエッタのように、親しい兄妹のようになるフラテッロもいれば、ジャンとリコのように徹底的に道具として扱うフラテッロもある。2期生は条件付けが比較的軽く、性格がはっきりしていたため、サンドラとペトルーシュカのようにパートナーとして相手の人格を重んじるフラテッロもいた。
クローチェ事件
『GUNSLINGER GIRL』の用語。クローチェ検事一家がバカンスに出かけた際、爆破テロによって妻と娘のエンリカ、ジャンの婚約者ソフィアの全員が死亡した事件。その後イタリアにおける五共和国派のテロ活動の旗印になる。元々は五共和国派ミラノ派のクリスティアーノ・サヴォナローラがフリーの活動家ジャコモ=ダンテに依頼したもの。 この事件の後に、政府は「公益法人社会福祉公社」を設立。クローチェ検事の息子であるジャンとジョゼが復讐のため参加することになる。
アニメ
GUNSLINGER GIRL
国内に様々な対立構造や問題を抱えるイタリア政府は、「社会福祉公社」なる障害者支援法人を立ち上げる。その実態は身体障害の少女たちの体を改造、「条件付け」とよばれる洗脳を施し、暗殺者として行動させる超法規... 関連ページ:GUNSLINGER GIRL
書誌情報
GUNSLINGER GIRL 15巻 KADOKAWA〈電撃コミックス〉
第1巻
(2002-11-27発行、 978-4840222372)
第2巻
(2003-06-27発行、 978-4048693974)
第2巻
(2003-06-27発行、 978-4840224215)
第3巻
(2004-02-27発行、 978-4048694322)
第3巻
(2004-02-27発行、 978-4840226226)
第4巻
(2004-10-27発行、 978-4048694278)
第4巻
(2004-10-27発行、 978-4840228190)
第5巻
(2005-05-27発行、 978-4048694353)
第5巻
(2005-05-27発行、 978-4840230728)
第6巻
(2005-12-17発行、 978-4048671125)
第6巻
(2005-12-17発行、 978-4840232906)
第7巻
(2006-07-27発行、 978-4840235327)
第8巻
(2007-03-27発行、 978-4048670821)
第8巻
(2007-03-27発行、 978-4840238267)
第9巻
(2007-11-27発行、 978-4840241083)
第9巻
(2007-11-27発行、 978-4048694360)
第10巻
(2008-10-27発行、 978-4048673877)
第11巻
(2009-07-27発行、 978-4048679770)
第12巻
(2010-04-27発行、 978-4048685672)
第13巻
(2011-04-27発行、 978-4048704120)
第14巻
(2011-12-17発行、 978-4048861731)
第15巻
(2012-12-15発行、 978-4048912785)