あらすじ
第1部
藤代貴之は、かつて少年時代に憧れを抱いた初恋の人・波多野恭子と9年ぶりの再会を果たす。舞い上がった貴之は果敢に恭子にアプローチを繰り返し、一度は受け入れられてキスまでは果たすが、最終的には振られてしまう。
第2部
藤代貴之と、彼の女友達の立場から恋人に昇格した野上衣里が、「HOTELニューシンデレラ」の一室で同棲生活を始める。しかし、さまざまな感情のすれ違いや、杉崎憲吾の企みによる警察沙汰に、衣里が巻き込まれてしまったことなどから、2人は最終的に別れの道を選ぶ。
第3部
藤代貴之は大学受験に失敗し、1年間浪人する。高校卒業時、貴之はある女性と、1年後の再会を約束していた。翌年、3つの大学への合格を果たした貴之は、約束の場所でその相手と再会を果たし、恋人として結ばれることとなる。
登場人物・キャラクター
藤代 貴之 (ふじしろ たかゆき)
県立銚子東高等学校に通う男子。父親が経営するラブホテル「HOTELニューシンデレラ」の一室で暮らしている。小学1年生の時に出会った初恋の人・波多野恭子のことが忘れられず、9年間にわたって片想いを続けていた。再会した恭子に振られ、その後、野上衣里と恋人同士になる。衣里からは「たっくん」と呼ばれている。
野上 衣里 (のがみ えり)
県立銚子東高等学校に通う女子。藤代貴之と同学年。ひょんなことから貴之と友達になり、貴之が暮らしている「HOTELニューシンデレラ」の部屋に出入りするようになった。その後、恭子に振られた後の貴之と恋人同士になるが、最終的には離別する。
波多野 恭子 (はたの きょうこ)
保母をしている女性。藤代貴之より6歳年上。宇佐美宏一と一時期だけ付き合っていた。宏一が別の女との結婚を決めた後、貴之の想いに応えて一度だけキスをしたが、その後、東京に帰ると言って町を去り、そのまま行方をくらませた。
久保田 康子 (くぼた やすこ)
県立銚子東高等学校に通う女子。藤代貴之と同学年。貴之に片想いをしていた親友の須藤かおりに協力するため、貴之に接近する。やがて自身も貴之に対しほのかな恋心を抱き始めるようになる。しかし、かおりに義理立てし、その想いを振り切って宮前雄一郎と交際を始める。かおりと雄一郎からはヤッコと呼ばれていた。
須藤 かおり (すどう かおり)
県立銚子東高等学校に通う女子。藤代貴之と同学年。1年の頃からずっと貴之に片想いをしている。幾度となくアプローチを試み、告白する機会にも恵まれることとなる。よく親友の久保田康子とともに、「HOTELニューシンデレラ」の部屋を取ってカラオケに興じていたので、当初は貴之から同性愛者と誤解されていた。
宮前 雄一郎
県立銚子東高等学校に通う男子。藤代貴之にとってはバスケットボール部の後輩にあたり、部内ではそれなりに活躍している。久保田康子に恋をして、貴之の紹介で康子と付き合い始める。しかし、貴之への恋愛感情を自覚するようになった康子に、最終的には振られてしまう。
宇佐美 宏一 (うさみ こういち)
県立銚子東高等学校の若い男性教師。藤代貴之のクラスの担任も務めている。かつて波多野恭子の家庭教師をしていたことがあり、その縁で恭子から恋愛感情を抱かれるようになった。のちに、別の恋人と恭子との間で二股をかけるが、最終的には恭子を振って別の恋人と結婚する。
杉崎 憲吾 (すぎさき けんご)
県立銚子東高等学校に通う男子。昔、年上の女に遊ばれて捨てられたという経緯から、恋愛に対して真剣に向き合えずにいる。そのため、常に多くのガールフレンドと付き合っている。また、野上衣里と付き合っていた頃の藤代貴之に、さまざまな嫌がらせを働く。三枝恭子はその動機について、杉崎憲吾が貴之にかつての自分を重ねているからではないかと考えている。
三枝 恭子 (さえぐさ きょうこ)
若いOL。杉崎憲吾の数多くいるガールフレンドの1人。憲吾の理解者であり、その悪巧みの多くを知っている。もともとは憲吾に恋愛感情を抱いていたが、最終的には、行状の収まらない憲吾に憐れみを抱くとともに愛想を尽かし、別れることになる。
貴之の父 (たかゆきのちち)
「HOTELニューシンデレラ」の経営者。藤代貴之の父親。妻とは長らく別居状態が続いているが、なんとか復縁しようと努力を続けている。本人も「HOTELニューシンデレラ」の中で暮らしているが、貴之とは居室は別。
押切 ヨーコ (おしきり よーこ)
年齢不詳の謎の女性。クリスマスになるとどこからともなく現れ、お見合いパーティーを仕切り始める。藤代貴之が高校1年の時のクリスマスのパーティーで、貴之に対し、今この場に将来的に結ばれることになる相手がいる、と予言したことがある。のちに運送会社「わんわん運輸」に就職し、配達員として働く。
場所
HOTELニューシンデレラ (ほてるにゅーしんでれら)
千葉県の銚子にあるラブホテル。貴之の父が経営者。藤代貴之が暮らしている。巨大な城のような形をしており、町のどこからでも見えるので、近隣住民にも広く認知されている。彼らが「ラブホ」といえば、「HOTELニューシンデレラ」のことを指す。制服を着たままの高校生でも入店が可能であり、パーティなどの目的で大人数で利用するための部屋もある。
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