Ns'あおい

Ns'あおい

患者のことを第一に考える女性看護師美空あおいが、ある事件をきっかけに転属を言い渡され、新たな職場で仕事に励む姿を描く。綿密な取材に裏付けられたリアルな医療現場の描写が特長。病院経営の問題や院内派閥争い、介護やDV、終末医療など、現在の医療関係者が直面する深刻な問題を巧みに物語に織り込んでいる。

正式名称
Ns'あおい
ふりがな
なーすあおい
作者
ジャンル
医療
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概要・あらすじ

救急救命センターに勤務していた新人女性看護師の美空あおいだが、看護師として決してやってはいけないことを行なってしまう。系列のあかね市民病院へ転属させられたあおいは、着任早々に指導看護師の小峰響子から「この病院ヤバイから」と告げられる。医師も看護師もできるだけ面倒な仕事をしたくないという怠慢な空気が病院全体を支配しているのだ。

だがあおいは熱意をもって仕事にのぞみ、周囲からはおせっかいだ、干渉しすぎだと冷笑されながらも、患者のために最大限の努力を続けてゆく。彼女の明るい人柄と懸命な仕事ぶりが、いつしか周囲の医師や看護師たちにも伝染し、彼らを変えてゆく。様々な部署へ転じながら、今日もあおいは全力で働く。

登場人物・キャラクター

美空 あおい (みそら あおい)

看護師3年目の23歳の女性。黒髪で肩までのショートヘア。清天総合病院の救急救命センターから、系列のあかね市民病院の内科病棟へ転属となった,。患者のために身を粉にしてがんばる熱意ある看護師。救急救命センターにいたので就職3年目だが経験・知識・技術は豊富。母子家庭に育ち、兄弟は弟の草太(そうた)がいる。 高校の時に母がくも膜下出血で急死した際の看護師の懸命な対応に心打たれ、自分も同じ職業を目指した。救急救命センター所属時にある事件を起こしてしまい、異動させられたという複雑な過去を持つ。とても献身的な仕事ぶりだが、それ故に他部署には「おせっかいで余計な問題を起こす女」というあまり名誉でない噂も広がってしまっている。 そんな噂は気にせず、患者のためならば上役の医師や管理職にも遠慮せず突っかかってゆく。現在彼氏なしだが、忘れられない男性がいるようである。

小峰 響子 (こみね きょうこ)

あかね市民病院内科病棟勤務5年目の女性看護師。転属してきた美空あおいの指導役。栗毛のショートカットが特徴的。幼い息子の卓(たく)と二人暮らしのシングルマザー。託児施設があるので現在の職場へ移ってきた。仕事はできるがクールな個人主義者だった。美空あおいと共に働くうちに、かつて看護師になりたての時に持っていた情熱を取り戻してゆく。

大月 美奈 (おおつき みな)

あかね市民病院内科病棟の主任看護師。長髪をひっつめて仕事をテキパキこなす女性。責任感が強く、主任の立場から仕事第一に生きてきたためか、いまだ独身。ルームメイトは猫のジョー。休日にお見合いを繰り返すが、運命の男性とはなかなか出会えないようである。20代の頃がバブル期にあたり、勤務後にボディコン姿で踊り狂ったりして遊んでいた過去も。

田所 義男 (たどころ よしお)

あかね市民病院の内科副部長。専門は消火器(胃腸他)。一見人当たりがよく頼りがいのありそうな中年医師だが、地位や名声、財力のある患者を特別扱いして診察する。自らの地位を一番に考えており、取引先との接待や、院内の政治的駆け引きを優先させる。診断ミスを美空あおいに指摘され一大事になりかけたことがあり、それ以来あおいのことを目の敵にしている。

高樹 源太 (たかぎ げんた)

あかね市民病院勤務の医師。専門は循環器(心臓)。仕事を優先させすぎ、妻に逃げられた。病院裏のマンションに今は一人暮らし。セクハラの常習犯でちゃらんぽらんにも見えるが、医療への情熱は熱い。美空あおいにとって信頼の置ける医師のひとり。

川原 亜美 (かわはら あみ)

あかね市民病院に所属する准看護師。他の病院から転属してきた。明るい女の子だが注意力やプロの自覚に欠け、ミスが多い。当初は仕事へのモチベーションも低く、叱られると職場放棄するなど問題行動を繰り返していた。だが美空あおいとともに働くうちにこの仕事の尊さに目覚め、不器用ながらも発奮し、成長してゆく。 同じような立場の看護助手北沢浩一に仕事の悩みを相談するうち、親密さを増していった。北沢が国家試験を受ける際にはお守りを手渡して応援した。

小西 明美 (こにし あけみ)

美空あおいとは看護学校時代の同級生で、親友。現在は清天総合病院の救急救命センター勤務の看護師。あおいが救急救命センターを去らねばならなくなった真相を知っており、職場が別々になった後も彼女のことを常に気にかけている。

織田 桐人 (おだ きりひと)

名門医大主都大学からあかね市民病院へと転属した内科医。専門は循環器。年齢は若いが知識も医療技術も確かなエリート。あかね市民病院の救命センター設立の中心人物として招かれた。あかね市民病院の旧弊な管理体制に疑問を持ち、カルテの電子化など、改革を進めてゆく。 頭はとても切れ優秀だが、少し合理的に物事を進めすぎるきらいがあり、一部の上役医師からは煙たがられている。美空あおいに惹かれてゆく。

江藤 誠 (えとう まこと)

名門医大主都大学出身。先祖代々医師の家系で、兄弟もみな医師となっている。家族の中では落ちこぼれで、浪人や試験不合格を繰り返し、33歳でやっと医師一年目。焼けた肌に長髪の、サーファーのようなチャラい外見。車を乗り回して女性と遊ぶのが好きなドラ息子のおぼっちゃん。経験も技術も未熟で頼りない存在だったが、あかね市民病院の内科医として修羅場をくぐるうち、じょじょに一人前の医師として責任感を持つようになってゆく。

綾部 果林 (あやべかりん)

名門医大主都大学出身。研修医としてあかね市民病院に配属された。美空あおいと同い年の女性。実家は有名な美容整形病院。親から言いつけられた婚約者がいるが、織田桐人に好意と憧れをいだき、何とか近づけないかと画策する。

北沢 浩一 (きたざわ こういち)

あかね市民病院内科病棟勤務の看護助手の青年。夢はバンドでのプロデビューで、親の手前しかたなく看護学校に通っていただけで、勤務態度も怠慢だった。しかし美空あおいの熱心な仕事ぶりに身近に接し、医療の仕事に情熱を持つようになる。内科の予算削減のためリストラされたが、国家試験に受かり、新人看護師として再びあおいたちの職場で働くことになった。

寿 雪江 (ことぶき ゆきえ)

クラブ寿を経営するママ。丸顔でふくよかな中年女性。関西弁で話す。ドライで現実的で、すぐに金勘定の話をする。クラブ寿にはあかね市民病院の医師たちも通っていて、彼らとは顔なじみ。医療に関する知識がやけに豊富で、どうやら昔看護師だったらしい。医療体制がなっていないと小言を繰り返しながらも、あかね市民病院のことを気にかけている様子。

椿 鼓太郎 (つばき こたろう)

あかね市民病院外科の主任看護師。内科主任看護師の大月美奈とは同期。美空あおいと同じく、清天総合病院の救急救命センターにいたことがあるので、若いが現場経験豊富で優秀な男性。新設予定の救命センターに理想の医療チームを作るのが目標。あかね市民病院のたるんだ医師たちの怠慢のツケを現場の看護師たちが払わされている現状に、強い不満を持っている。 正義漢だが口が悪く、気が短いので手を出すのが早い。過去に院内で暴力事件を起こしている。上司にたてつくことも辞さないあおいのことを買っている。

奈良橋 優紀 (ならはし ゆうき)

あかね市民病院内科病棟に配属された新人女性看護師。少したれ目で唇の厚い顔。美空あおいが指導役を担当する。一見そつなく、やる気に満ちた新人だが、裏表のある性格。他人から評価されることを常に優先していて、医療という仕事を表面的にとらえている。ミスから責任逃れしたり、若い女性という武器を使って医師に取り入ったりと、自己中心的で姑息な行動が目立つが、本人にはそれが問題であるという自覚がない。 同僚たちや患者にあおいが慕われていることに嫉妬し、無闇な対抗心を燃やしている。

宝田 俊夫 (たからだ としお)

あかね市民病院の事務長。ポマードで固めた頭に口ひげが特徴的な中年男性。赤字が累積している病院の経営立て直しを最優先し、リストラや厳しいノルマを現場に課す。一人一人の患者を大切にし、事あるごとに自分に刃向かってくる美空あおいや織田桐人を、理想主義的で青臭い連中だと軽蔑している。

集団・組織

あかね市民病院 (あかねしみんびょういん)

『Ns'あおい』に登場する病院。清天総合病院の系列。医師たちの多くは保身と出世のことしか考えていない。そんな医師たちの下で働く看護師たちも最低限の仕事をこなすだけ。「ここに入院したら出てこられない」と噂が立つほど問題の多い病院。転属してきた看護師美空あおいは最初はとまどいながらも、懸命に働いてゆく。

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