PIL

PIL

ブリティッシュパンクを愛し、ロンドン行きを夢見る女子高生と、お金にだらしない英国帰りのおじいちゃんを中心に展開するドラマ。「officeYOU」2010年12月号から2011年8月号にかけて隔月で掲載された。

正式名称
PIL
ふりがな
ぴーあいえる
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

1983年、ブリティッシュパンクをこよなく愛する16歳の女子高生・波多野七海は、母親がイタリアへ滞在しているあいだ、祖父の波多野徳四郎と二人で暮らしていた。徳四郎は気は優しいものの、少しお金にだらしなく、母親が生活費として残しておいたお金もすべて使ってしまう。一文無しとなった七海は、アルバイト情報で見つけた日給2万4千円とあったチリ紙交換を1日する事になる。それを見ていたクラスメイトで、弁護士の親を持つお嬢様・もアルバイトというものを体験してみたいと、いっしょに参加するのだった。トラックの荷台に乗り込んで町内をまわり、古新聞やダンボールを集めてクタクタになった二人だったが、集まった古紙の量が少なかったため、支給されたバイト代はわずか560円。こうして七海の初仕事は終わるのだった。(第一話)

髪を伸ばそうとする七海だったが、七海の通うミッション系お嬢様学校は校則がきびしく、教師からは髪を縛るなりピンで止めるよう再三注意を受ける。思い切って坊主頭にした七海を見て、徳四郎は頭にシラミがわいたのか、それとも出家でもするのかと動揺する。さらに七海が穴だらけの服を着て、ビラくばりのアルバイトをしていたという話を聞くのだった。(第二話)

七海は大好きなイギリスの音楽が流れる店やイベントに通い、そこで知り合ったモヒカン頭の男性に好意を抱いていた。年金で買ってきた一流ホテルの紅茶と特上寿司を七海に振る舞おうとした徳四郎だったが、胸がいっぱいで食欲がないといわれて心配になり、徳四郎も七海のお気に入りの店に偵察に出向くのだった。いつもの店を訪れていたある日、七海がおじいちゃんから借りた大事な傘がなくなる。その傘を無断で持って行ったのは、七海が好意を寄せていたモヒカン頭の男だった。(第三話)

七海はチリ紙交換のアルバイトに付き合ってくれたクラスメイトの笹と親しくなり、部屋でいっしょにイギリスの音楽を聴いていた。恋多き女の笹は、七海の家に仕事で来ていた若い庭師に好意を抱く。一方、妙齢の女性が徳四郎を訪ねて来る。その女性はセールスレディで、徳四郎に高価な浄水器を売りつけようとしているようだった。それを見ていた七海は、そんなものを買う余裕はないと徳四郎にきつく言い渡す。(第四話)

ロンドンへの留学を夢見る七海は、アルバイトで飛行機代を稼ぎ、ロンドンの語学学校の案内書も取り寄せていた。一方、徳四郎は七海の渡英に反対しつつ、家を売らないかとしつこく押しかけて来る不動産屋を追い払う毎日だった。そんな中、英語を話す女性から徳四郎に電話がかかって来る。相手は徳四郎がイギリスにいた頃に交際していた女性らしい。徳四郎は家を売って、いっしょにロンドンで暮らそうかと七海に切り出す。(第五話)

登場人物・キャラクター

波多野 七海 (はたの ななみ)

ミッション系お嬢様学校の1年B組に在籍する16歳の女子高生。シングルマザーの母親は、オペラ歌手を目指すためイタリアへ行っているため、母方の祖父である波多野徳四郎と二人で暮らしている。徳四郎は隠居の身だが生活費まで使い込むため、食費に困るほど経済的に貧窮。お金の事で祖父と口喧嘩になる事は多いが、おじいちゃん思いの優しい子。 ブリティッシュパンクをこよなく愛し、部屋にはPiLなどパンクバンドのポスターが多数貼られている。髪型にうるさい校則と教師に嫌気がさし、坊主頭にするなど思い切った行動に出る事もある。

波多野 徳四郎 (はたの とくしろう)

波多野七海の祖父。年齢は80歳。年金暮らしだが、地に足がついておらず、生活費に手を付けて馬券を買ったり、女に貢ごうとするなどいまだお盛んな老人。若い頃は銀行マンだったようで、英国で勤めていた頃には現地に恋人もいた様子。娘が幼い七海を家へ連れて来て、初めて孫と対面した。オペラ歌手になる夢をあきらめようとした娘を励まし、七海は自分が面倒を見るからイタリアへ行くよう娘に促した。 それ以来、古い一軒家で七海と二人で暮らしている。

(ささ)

波多野七海のクラスメイトで、親が弁護士のお嬢様。七海がチリ紙交換のアルバイトをする際に、自分もアルバイトを体験してみたいといっしょに参加し、それ以来七海と親しくなる。イギリスのバンド「スパンダー・バレエ」のボーカリスト、トニーのファン。七海の家へやって来ていた庭師の若いイケメン坊にも思いを寄せる。

松五郎 (まつごろう)

波多野徳四郎の近所に住む老人。徳四郎とはよく縁側でチェスで対戦する仲。家族とはあまり交流がないらしく、おじいちゃん思いの孫を持つ徳四郎の事をうらやましく思っている。

さゆり

波多野徳四郎に浄水器を売りつけようとしている中年の女性。夫が暴力を振るうとか、息子が不治の病だ、などのウソで徳四郎の同情をひき、さらに色仕掛けで高価な浄水器を買わせようとしている。

源さん (げんさん)

波多野徳四郎の自宅の庭へ仕事に来ている造園業の老人。徳四郎とは旧知の仲。徳四郎をだまそうとしているさゆりに釘をさす。

(ぼう)

源さんのもとで庭師として働いている若い男性。波多野七海の部屋から爆音で流れるパンクに興味を抱く。七海にも好意を寄せている。源さんと波多野徳四郎からは「坊」と呼ばれている。

SHARE
EC
Amazon
logo