SAINT

SAINT

自分自身に関する記憶を失くしていた、人を癒す特殊な力を持つ青年と、謎の組織から向けられた刺客により、何度も危機に直面する彼を懸命に支える女子高生。横浜を舞台に、絆を深めていく2人の姿を描くミステリアスロマン。「ASUKA」1991年8月号から1998年7月号にかけて、不定期に掲載された作品。

正式名称
SAINT
ふりがな
せいんと
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
あすかコミックス(KADOKAWA)
巻数
既刊5巻
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概要・あらすじ

「三島病院」の院長の娘である三島はるひは、ある夜、海の近くでずぶ濡れになって倒れている青年を保護する。彼は手をかざしたり、触れたりするだけで傷を治し、癒すことができる特殊な能力を持っていた。しかし、自分自身に関する記憶を失ってしまっていた。人々を救うその姿から、その青年は「聖者」を意味する「セイント」と呼ばれるようになる。

自分よりも他人の命を優先し大切にしようとする彼に、はるひは心惹かれていく。そんな生活を送るなか、次第に自らの記憶を取り戻しつつあったセイントは、謎の組織から命を狙われ始め、それに伴って彼は自分自身が存在する意味を知ることになる。

登場人物・キャラクター

三島 はるひ (みしま はるひ)

横浜にある「三島病院」の院長の娘。16歳の女子高生。海の近くで倒れていたセイントを保護し、生活をともにすることになる。その後セイントのもとに次々に襲い掛かる危機に立ち向かっていくが、はるひ自身も何度となく命の危機に脅かされることになる。セイントに想いを寄せており、彼を信頼している。

セイント

海の近くで倒れていたところを、三島はるひによって助けられた青年。純粋で優しい心の持ち主。腰まで伸びた長髪の、女性のような外見が特徴。腕に付けたブレスレットには「33」という刻印がある。自分自身に関する記憶はすべて失っているが、手をかざしたり、抱きしめたりすると、病気や怪我を癒すことができる特殊な能力を持つ。そのため、いつしか「聖者」を意味する「セイント」と呼ばれるようになった。 実はオリジナルのウォルター・アーネンバーグに近づけるため、複数作られたクローンである実験体の1人。

間宮 (まみや)

警察署長の息子で、三島はるひのクラスメイト。顔立ちも良く、女性にはモテるほうだが、想い人であるはるひには振り向いてもらえない状態にある。セイントの事情を知り、理解者としてフォローする一方で、はるひとセイントの関係が近づいていくことを心配している。事あるごとにはるひの自宅に上がり込んでは、食事を御馳走になっている。

工藤 (くどう)

三島はるひの3歳年上の幼なじみの青年。彼女の家の近所に住んでいる。父親を亡くし、近頃素行が悪くなっていた。ある日、暴力団員とトラブルを起こし、大怪我を負って「三島病院」に運び込まれた。そこでセイントの手により救われて恩義を感じ、以降は行動を改め、彼に尽くすようになる。

34 (さーてぃーふぉー)

セイントとそっくりな外見の青年。腕には「34」の刻印がある、セイントと同じブレスレットを付けている。実は、オリジナルのウォルター・アーネンバーグに近づけるため、複数作られたクローンである実験体の1人。セイントを殺そうと画策している。セイントと比べると、よりオリジナルのウォルターに近い存在となっている。

緋室 美里 (ひむろ みさと)

緋室薔子のいとこ。三島はるひと同じ学校に転校してきた女子生徒。ヨーロッパの貴族であるブランヴィリエ公爵の血を引いている。薔子に比べ、地味で大人しい印象。理由あって、姿と名前を偽っている。

緋室 薔子 (ひむろ しょうこ)

緋室美里のいとこ。三島はるひと同じ学校に転校してきた女子生徒。ヨーロッパの貴族であるブランヴィリエ公爵の血を引いており、目が覚めるほどの美少女。セイントを追う教団の関係者で、セイント以外の実験体のことも知っている。

ジャック

少年の幽霊。自分自身に関する記憶は失ってしまっている。横浜にある開港記念会館(通称ジャック)の前にたたずんでいたため、セイントにより「ジャック」と名付けられた。

都築 まりあ (つづき まりあ)

三島はるひやセイントと同じ学校に通うクラスメイトの女子生徒。小学生の頃は優等生だったが、母親が亡くなって以来変わってしまい、現在は不登校気味。見かけるたびに、違う男性と一緒にいるところが目撃されている。

海音寺 ほのか (かいおんじ ほのか)

財政界のドンとして知られる海音寺直亮の孫の少女。可愛がっていたペットの犬が亡くなり、生き返らせて欲しいと100万円を持ってセイントのもとを訪れた。その後、事件に巻き込まれて生死の境をさまようことになるが、セイントの力で生還。これによりセイントに執着心を抱き、彼を自宅に軟禁してしまう。

44 (ふぉーてぃーふぉー)

セイントと同じく、オリジナルのウォルター・アーネンバーグに近づけるため、複数作られたクローンである実験体の1人。銃で撃たれたアメリカ大統領の命を救ったことで、絶大な信頼を得ている。「復活したオリジナル」を自負しており、「ウォルター・アーネンバーグ」を名乗っている。実際は能力を使うことに体が耐えられず、毎日起こる発作を薬によって抑え、生命を維持している状態にある。 セイントの命を狙っており、彼の体を欲している。

アーネンバーグ夫人 (あーねんばーぐふじん)

ウォルター・アーネンバーグの妻として行動をともにしている女性。50歳を超えているはずだが、外見は20代にしか見えないほど若々しく維持されている。発作を起こすウォルターのために、薬や脳移植の準備をするなど、常に彼の体を管理している。

マーリン

セイントが保護されたのと同じ場所で保護された少年。髪は短いが顔立ちはセイントに似ている。44の脳が移植されており、頭部には脳移植の際の手術跡がある。セイントの体を乗っ取るため、三島はるひに接触を試みる。

野中 (のなか)

死にかけていた幼い息子を、マーリンに救われた女性。マーリンのことを神と崇めている。マーリンの指示により三島はるひを殺害し、自身も自殺を図る。

フレデリック・フォレスター (ふれでりっくふぉれすたー)

テレビで活躍中の超能力者の男性。夢や霊視によって物事を予知したり、ものを探すことができる。ところが、愛する女性のディアナが事件に巻き込まれて亡くなって以降は、その力が弱まり、何も見えなくなっていた。しかしセイントに触れることでその力が復活する。

東山 大河 (ひがしやま たいが)

彩花を救ってくれる人を探している男性。特殊な能力を持つという噂を頼りに、さまざまな宗教団体の教祖のもとを訪れている。思ったような結果が得られなければ、その教祖を感情のままに攻撃することを繰り返している。サイコキネシスの能力を持っているが、自分の意思通りにコントロールできない。

彩花 (あやか)

バレエ研究所に所属するバレリーナ。ある事件に巻き込まれたことをきっかけに、話すことも動くこともしなくなってしまった。セイントのもとを訪れた際、その理由が、体から魂が離れたままになっているためであることが判明する。

真刀城 夕夜 (まとしろ ゆうや)

三島はるひの同級生の男子生徒。1週間前にドイツから転校してきた。IQ200と噂されている天才。セイントのことを気に入り、彼の未来を危惧して、無条件に人を癒すことに反対している。背中に星型の痣を持っている。

北條 俊美 (ほうじょう としみ)

三島はるひの同級生の男子生徒。春頃から3時間目に気分が悪くなることが増え、現在は不登校になっている。セイントの存在を知って登校するようになったものの、学校ではセイントに依存して片時も離れようとせず、いつもべったりくっついている。

武藤 美久 (むとう みく)

三島はるひの同級生で、演劇部員の女子生徒。文化祭の演目のために、はるひやセイント、真刀城夕夜、北條俊美に出演をお願いして回っている。中学生の頃から北條に想いを寄せており、不登校になっている彼のために一生懸命になっている。

ウォルター・アーネンバーグ (うぉるたーあーねんばーぐ)

新興宗教団体の教祖だった男性。人を癒すという特殊な能力を持ち、人々を助けていた。しかし一方で、強い悪の心を持ち併せており、金や女性のために非道な行いもしたと言われている。教団が作り出した実験体は、すべて彼をもとに作り出されたもの。

集団・組織

教団 (きょうだん)

ウォルター・アーネンバーグを教祖として崇めていた宗教団体。ウォルターの死後、彼の復活を目論み、実験体と称する数多くのクローンを作り出した。実験を行っていた孤島の研究所から姿を消したセイントの命を狙っている。

その他キーワード

実験体 (じっけんたい)

ウォルター・アーネンバーグのクローンたち。新興宗教団体の教祖だったウォルターを復活させるため、その信者が科学力を尽くして作り出した。孤島の研究所で生まれ、育てられていた。ウォルターは人を癒すという特殊能力を持つためか、短命だったと言われており、そのクローンもまた短命であるとされている。

ブランヴィリエ公爵 (ぶらんゔぃりえこうしゃく)

ヨーロッパの貴族。その妻であるブランヴィリエ公爵夫人は、7歳の時から人を殺し、1666年から1672年にかけては自分の親戚や友人を理由もなく毒殺。1676年には悪魔憑きとされ火刑に処された。そのため現在でも「希代の毒婦」「殺人鬼」と評されている。

ステリオン

セイントを殺した背中に星型の痣がある男性が呼ばれていた名前。フレデリック・フォレスターが夢の中で見たことがある。ラテン語で「トカゲ」「星」の両方の意味を持っており、背中に星の模様がある、毒を持つトカゲのような生き物のことを指す。

書誌情報

SAINT 5巻 KADOKAWA〈あすかコミックス〉

第1巻

(1992-02-03発行、 978-4049242744)

第2巻

(1993-03-03発行、 978-4049243420)

第3巻

(1993-10-04発行、 978-4049243819)

第4巻

(1997-04-15発行、 978-4049246506)

第5巻

(1998-09-14発行、 978-4049247473)

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