WORST外伝 ドクロ

高橋ヒロシによる『クローズ』は、1990年から1998年、続編の『WORST』は、2001年から2013年まで、秋田書店「月刊少年チャンピオン」に長期連載された不良漫画シリーズ。「クローズシリーズ」は絶大な人気を誇っており、OVAや実写映画などに展開されたほか、番外編やスピンオフも数多く発表されている。本作は、『WORST』の中でも人気の高いバイクチーム「武装戦線」にスポットを当て、後に六代目武装戦線・頭となる、15歳の河内鉄生を主人公にした正統スピンオフ。「武装戦線」「鈴蘭男子高校」「鳳仙学園」「黒焚連合」の4勢力が覇権を争う中、鉄生が「武装戦線」に入ることになったきっかけとその後の闘いといった、知られざる過去が描かれる。

物語の開始時、武装戦線の頭は五代目・武田好誠。鉄生が戸亜留市にやってきて初めて出会うのが、村田将五。本編『WORST』で鉄生が事故で死んだときに一緒にいた人物で、後の七代目武装戦線・頭である。つまり、本作は五代目、六代目、七代目の武装戦線の頭を中心にストーリーが展開していくことになる。またその他、柳臣次、稲田源次、戸川将太といった五代目武装戦線のメンバーもたくさん登場。一方で、十時一朗（通称トチロー）というオリジナルキャラクターも、武装戦線のメンバーとして新しく加わっている。

作者・きだまさしは、『STAR CHILDREN』『夢幻のリユニオン』などのSF漫画を代表作に持ち、『WORST』とは全然違うジャンルで活躍していた漫画家。秋田書店のキャンペーン「クローズシリーズ生誕30周年×月刊少年チャンピオン創刊50周年記念」の中で行われたインタビューでは、「自分に描けるだろうか」と不安があったことを明かしている。しかし、「無骨な男たちが題材だが、王道の少年漫画であること」と「新しいモノにチャレンジしたい」という気持ちから仕事を引き受けたと答えている。また、世界観については、原作を最大にリスペクトしていることから「原作にないことは描かない」「世界観としてありえないことは描かない」ことを心がけているという。