林檎と蜂蜜

林檎と蜂蜜

渡辺歩と大西朋生の歯がゆい恋愛模様を通して、働く女性のたくましさや、その成長を描くラブストーリー。物語は、明確な続編の『林檎と蜂蜜walk』に続いている。「ぶ~け」1998年1月号から2000年3月号、「ぶ~けデラックス」2000年SUMMER増刊号とAUTUMN増刊号、「クッキーボックス」2001年早春号から2008年秋号にかけて掲載された。

正式名称
林檎と蜂蜜
ふりがな
りんごとはちみつ
作者
ジャンル
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あらすじ

第1巻

ブライダル会社「リコレクションズ」の企画課に勤める渡辺歩は、23歳にしてこれまで一度も男性と付き合った事がなく、処女だった。歩は、同期入社の大西朋生に思いを寄せていたが、彼からは女性として見てもらえず、勢いで告白するもののふられてしまう。そんな中、歩は一生に一度の夢を叶えたいという客の思いに応え、同僚達の反対を押し切ってスタンドプレイに走る。必死にやりとげようとする熱意に心を打たれた大西にフォローされ、歩は難しい仕事をやり遂げるのだった。

第2巻

一度ふられてからも渡辺歩は、大西朋生への思いを止める事ができず、再び告白するが、やはり拒絶されてしまう。自暴自棄になった歩は、自分に好意を寄せるSEITAに身を任せようとするが、心も身体もそれを許さず、結局SEITAに頭を下げて許してもらうのだった。その後、歩はまたしても客の無理な願望を叶えようと職場に混乱を招くが、大西の絶妙なフォローにより事なきを得る。歩はあふれる思いを三度大西に伝え、大西はここに至り、歩に強く惹かれている自分に気づくのだった。

第3巻

ついに大西朋生と思いを通じ合わせたものの、大西の過去の女性関係が気になる渡辺歩は、嫉妬心からケンカをしてしまう。だが、大西はそんな歩を釧路にある両親の墓に連れて行き、歩が自分にとって特別な存在である事を証明する。こうして歩は身も心も初めて男性と結ばれるのだった。しかし恋愛ビギナーな事から、恋人というものに対する理想と現実のギャップを感じる歩は、次第に大西に対して過度な期待をかけるようになってしまう。そのくせ甘え下手なせいで、歩と大西は何かとすれ違ってしまう。そんな中、歩の親友、内野理英が大西に対し、友情以上の気持ちを覚え始めていた。

第4巻

内野理英の気持ちを知った渡辺歩は思い悩み、理英を傷つけたくないばかりに、大西朋生と仲違いをしてしまう。一方の理英は、自分の気持ちに整理をつけるため、大西に告白してきっぱりとふられる。こうして歩と大西の関係はもとどおりとなるが、そんな中、松田りほという女性がブライダル会社「リコレクションズ」の企画課にやって来る。実は彼女は、大西がかつてわけあって関係を結んでしまった相手だった。その事を知った歩は激怒し、理由も聞かずに大西をなじる。これにより歩を重荷に感じた大西は、別れを切り出すのだった。

第5巻

大西朋生の事を理解できないと悩む渡辺歩と、誰にも触れられたくない傷を持つ大西の心のすれ違いは広がるばかり。二人は別れる事を決め、歩は企画課からサロン室へ異動の希望を出す。そして歩と大西は、いっしょに組む最後の仕事として、二人が担当するカップルが最高の結婚式を挙げられるように、全力で仕事に挑むのだった。その後、大仕事をやり遂げた爽快感を共有した二人は、素直な気持ちになって、お互いが心に思っている事をぶつけ合う。こうして二人は再び愛し合うが、歩は、異動先のサロン室で同僚から冷たい仕打ちを受けるようになってしまう。

第6巻

内野理英は、福岡支店から単身赴任して来た妻子ある男性、吉田誠一郎の事を本気で好きになってしまう。吉田もまた理英の気持ちに気づき、彼女に惹かれていくが、大切に思う家族を裏切る事はできずにいた。そんな彼に対し、理英は一度きりのデートをせがみ、その思い出を大切に、吉田への気持ちをあきらめようと心に決める。その頃、渡辺歩は、両親に結婚を反対されている新婦の夢を叶えたいと、またしてもスタンドプレイに走っていた。しかし、大西朋生にフォローを要請したところ断られてしまう。大西の叱咤を受けた歩は、大西の期待以上のたくましさと粘り強さを発揮し、式を成功させるのだった。

第7巻

吉田誠一郎との一度だけの性交渉で子を授かった内野理英は、吉田には内緒で一人で生む事を決意する。そして理英は、それを親友の渡辺歩大西朋生だけに打ち明ける。歩は理英の考えに賛成したものの、大西は生まれてくる子供の幸せを考え、中絶する事を勧める。その裏には、大西が幼少期に両親に死に別れてからアメリカの養父母に育てられるまで、親戚のあいだをたらい回しにされたという、つらい過去があった。理英を思いやる歩は、そんな事とは知らずに大西をなじり、二人は感情的になって口論に発展するが、最終的に大西は折れ、歩と共に積極的に理英の手助けする事を決意するのだった。

第8巻

密かに結婚に対する夢をふくらませていた渡辺歩だったが、挨拶のため歩の実家を訪れた大西朋生は、歩の両親に、結婚はまったく考えていないと打ち明ける。そのうえ、大西がニューヨーク支店に異動すると聞いた歩は、大西に対する不信感を爆発させ、別れを切り出す。そんな歩を見守ってきた千葉一史は、彼女の大西に向ける思いもすべて受け入れる覚悟で、歩にプロポーズする。

第9巻

大西朋生に対する未練を抱きながら、中途半端な形で別れてしまった渡辺歩は、自分の気持ちを持て余して苦しんでいた。そんな歩を見た千葉一史は、自身のニューヨーク出張に歩を同行させる。こうして歩はニューヨークで大西と再会するものの、大西はストーカーに悩む同僚のアユミ・アレックス・ワタナベのため、歩とのデートをキャンセル。傷ついた歩はそのまま日本へ戻り、千葉とも大西とも離れて、一人で生きていく事を決意する。

第10巻

ブライダル会社「リコレクションズ」のウェディングドレスのモデルとして、渡辺まみが起用された。現場の責任者となった千葉一史は、まみのわがままに振り回されながらも、次第にまみに惹かれていく。だが、まみが歩の妹である事を知り、その思いを断ち切ろうとする。だが、一方のまみもまた千葉に惹かれており、二人は互いの思いを伝え合うのだった。一方その頃、ニューヨークの大西朋生が、アユミ・アレックス・ワタナベのストーカーに銃で撃たれて重傷を負う、という事件が勃発。歩は急ぎ大西のもとへと飛び、お互いが何よりも大切な存在である事を確かめ合う。

第11巻

千葉一史渡辺まみとの関係は、二人の年齢差や、まみが芸能人である事などから、周囲になかなか受け入れてもらえなかった。まみの実家に挨拶に行くが、両親を激怒させてしまった千葉は、まみから離れようと決意をするが、互いを大切に思う気持ちを捨てられず、別れる事はできなかった。そんな中、渡辺歩は付き合いで参加した合コンで加藤という男性と知り合い、家に送ってもらった時にトイレを貸してしまう。その後、加藤の仕業によるものなのか、歩の入浴姿がネットでさらされる事となった。それを知った大西朋生は歩を心配し、いっしょにニューヨークに来るように誘う。

第12巻

渡辺歩は、ニューヨークで同棲しようという大西朋生の言葉に舞い上がっていた。そんな歩に大西は、次に仕事で日本を訪れた際、アユミ・アレックス・ワタナベを紹介する。そして大西は、今の会社を辞め、日本には戻らず、弁護士としてニューヨークで生きていく事を歩に告げる。だが、アユミとの出会いを通して、自分が初心を忘れている事に気づき、仕事に対しもっと真剣に向き合おうと考えた歩は、彼の申し出を拒絶するのだった。その頃、千葉一史は、自分が渡辺まみの人生の妨げになると考え、今度こそまみと離れる決意を固める。

第13巻

大西朋生の心には、銃で撃たれた時のトラウマが強く残っていた。ある日、撃たれた現場の近くでフラッシュバックを起こした大西は、すべての記憶を失くして5歳の精神状態に戻ってしまう。心のケアをするために日本に戻って来た大西だったが、大西に恨みを持つ大西直人が歩に襲い掛かる現場を見て、すべての記憶を思い出し、二人は愛を確かめる。その頃、千葉一史と別れた渡辺まみの前に、かつて付き合っていた野宮が現れる。淋しさを抱えたまみは、流されて野宮と肉体関係を結んでしまうが、それでも千葉を忘れる事ができずにいた。

第14巻

仕事上でトラブルに巻き込まれた渡辺歩は、仕事でも大西朋生の恋人としても、自信を失いかけていた。休暇をもらってニューヨークに渡った歩は、大西と濃密な時間を過ごし、このまま大西と共にニューヨークで暮らしたいと申し出るが、大西は歩の事を思い、彼女の希望を冷たく拒絶する。歩は東京へ戻り、再び仕事に燃え始める。一方の大西は、銃で撃たれた時のトラウマに苦んでいる事を歩に伝えず、一人で耐えていた。だがある日、大西はその苦しさから逃れるために、アユミ・アレックス・ワタナベと肉体関係を結んでしまう。そして自ら歩にその事を電話で告げるのだった。それを聞いた歩は、自分の理想の仕事を追求するために、ブライダル会社「リコレクションズ」を退職しようと決意する。

第15巻

周囲に認めてもらえる日を待つ事にした渡辺まみ千葉一史は、会いたい気持ちを我慢して、それぞれのやるべき事に従事していた。そんな中、千葉が病気にかかっている事が発覚。まみは長期療養が必要となった千葉と、再び離れ離れになる事を悲しみながらも受け入れる。一方、渡辺歩は、仕事上で知り合った吉岡章という男性と懇意になっていた。そして大西朋生は、不甲斐ない自分が歩の重荷になる事を避けるために、歩に対して別れを切り出す。

第16巻

大西朋生と別れてから淋しい思いを抱えている渡辺歩の心を、吉岡章は優しく癒す。仕事面でも助けられ、強がっている自分を支えてくれる吉岡の思いを受け入れ、歩は吉岡と肉体関係を結ぶのだった。一方、千葉一史は病気療養の末、長野の病院を退院。渡辺まみは千葉と久しぶりの再会を果たすが、その最中に、まみの写真を勝手に撮ろうとする一般人に、千葉が負傷させられてしまう。千葉に思いを寄せる相沢になじられ、責任を感じたまみは千葉のもとから去ろうとするが、自分の思いに噓はつけなかった。千葉はまみの父親に改めて挨拶をし、二人の交際を認めてもらう。

第17巻

吉岡章渡辺歩にプロポーズをする。歩が返事をする前に、吉岡は食中毒で倒れてしまったのだが、その際に歩は偶然日本に来ていた大西朋生と再会する。大西に自分と吉岡との現在の関係を伝え、大西への想いをふっきった歩は、吉岡のプロポーズを受けて結婚する事を決意する。婚約の話が進む中、歩は仕事の都合でニューヨークへ向かう。そこで歩は、結婚式のプロモーションビデオに新婦の役で出演する事になる。歩の前に現れた新郎役は大西で、二人は仕事と割り切って夫婦役を演じるが、二人がお似合いな事は誰の目から見ても明らかだった。しかも歩はそこで、大西が別れようとしたのは、歩を思っての事だったという事実を知ってしまう。

第18巻

千葉一史の前に、野村一希という20歳の青年が現れる。そしてほどなく、かつて一史の恋人であった野村聖子が21年ぶりに現れる。実は一希は、聖子が内緒で生んだ千葉の子供だという。その事実を知らされた渡辺まみは動揺し、関係ないと言い張る千葉に対して深く傷ついたまま、撮影の仕事でフランスへ行ってしまう。一方、渡辺歩のもとには、大西朋生との結婚式のプロモーションビデオのメイキングビデオが送られて来た。そこには大西に対する正直な歩自身の気持ちがあふれていた。吉岡章は激怒し、婚約破棄の慰謝料を歩に請求したあげく、歩の仕事まで邪魔をし始める。

第19巻

野村一希渡辺まみに対し、千葉一史との関係を周囲にばらされたくなかったら自分と付き合うよう脅迫する。一希の目的が自分ではなく千葉を傷つける事だと悟ったまみは、千葉を守ろうと考え、その脅迫に従う。一方、渡辺歩吉岡章の圧力によってサロン室を離れ、再び企画課へ戻される事となる。そして、現場を離れるつらさに加えて、婚約破棄の慰謝料として300万円を工面しなければならなくなってしまう。身体を売ってお金を作ろうとする歩の前に、幼少の頃に住んでいた家を売って金を作った大西朋生が現れる。

第20巻

人気急上昇中の渡辺まみには、グラビアだけでなくバラエティや女優としての仕事が舞い込んでいた。これまで以上に仕事と真剣に向き合うため、まみは千葉一史と離れる決意をする。その頃、渡辺歩は、大学時代の旧友から、緊急で結婚式を挙げたいという無茶な頼みを引き受けてしまう。奔走する一方で、大西朋生が手掛ける初めての裁判を見に行った歩は、大西ががんばる姿を見て、俄然やる気を出すのだった。

第21巻

本気で仕事に取り組むために、渡辺まみ千葉一史と離れて頑張っていた。そんな中、千葉は、自分を逆恨みしていた野村一希の窮地を助け、これをきっかけに彼と和解。これを機に覚悟を決めた千葉は、まみに正式にプロポーズをする。19歳の年の差に加えて、実は20歳になる子供がいたという事実を知った渡辺修一は当初は激怒していたが、これまで思いを貫いてきた二人の絆の強さを理解し、結婚を認める。結婚前に精密検査を受けた千葉は、子供を作るうえで心配が残ったが、それすらも笑顔で受け止めるまみに、一生の愛を誓う。

第22巻

渡辺まみ千葉一史との結婚式が行われ、親しい人達が集まった。渡辺歩は久しぶりに再会した大西朋生とよりを戻したいと伝えるが、拒絶されてしまう。実は大西は、今のこじれた関係を続けるのではなく、なにもかもリセットする気持ちで、もう一度最初からやり直したいと思っていたのだった。一方で歩は再び、旧友から頼まれて個人的に結婚式を挙げる事を計画するが、それが失敗したあげく、会社にその事がばれてしまう。これに伴い、歩は辞表を出してブライダル会社「リコレクションズ」を退社。まみと千葉の新婚旅行に同行して、フランスをぶらぶらしていた歩は、仕事でやって来ていた大西とばったり出会い、二人はそこからもう一度恋を始めるのだった。

登場人物・キャラクター

渡辺 歩 (わたなべ あゆみ)

ブライダル会社「リコレクションズ」の企画課に勤める23歳の女性。同期入社の大西朋生に片思いしている。幼稚園から大学まで、両親の母校である私立の学校をエスカレータ式で進学したお嬢さま育ちだが、性格は打たれ強くてたくましい。大学時代はチアリーダーをやっており、校内でも有名人だった。なにごとにも全力投球で、仕事に夢中になるとほかの事が見えなくなり、スタンドプレイに走ってしまう事がよくある。 そのせいで同僚達に迷惑をかけてしまう事もあるが、なによりもお客さま第一主義である事をモットーにしている。今までに一度も異性と付き合った事がなく、未だに処女であるという事にコンプレックスを抱いている。

大西 朋生 (おおにし ともき)

ブライダル会社「リコレクションズ」の企画課に務める24歳の男性。渡辺歩とは同期入社だが、年齢は上。6歳の時に両親を交通事故で亡くし、そのあと親戚のあいだをたらい回しにされるという、つらい過去を持つ。7歳の時、ダラスのアメリカ人夫婦のもとへ引き取られ、そこから大学卒業までダラスで過ごし、日本の大学院へ進み、歩と同じ会社に就職する。 英語、日本語以外にもスペイン語やフランス語をあやつり、大学院在学中に司法試験も合格している、という経歴の持ち主だが、漢字が苦手という意外な一面もある。人当たりはよく、女性に対しては親切なのだが、自分に厳しいため、パートナーに対しても厳しい考えを持っている。

内野 理英 (うちの りえ)

ブライダル会社「リコレクションズ」の企画課に勤めている女性。渡辺歩とは同期入社の23歳。大学時代にミスキャンパスに選ばれた事もある、折り紙付きの美人。自分が一般職である事のコンプレックスから総合職の歩と張り合っていたが、のちに親友になる。歩、大西朋生と三人で気の置けない親友同士になるが、大西の事が好きになってしまい、そのせいで一時的に歩と不仲になる。 高校生の時に万引きし、それを目撃した斉藤洋和から脅迫されてレイプされた過去を持つ。それが原因で、不感症になって苦しんでいる。見た目は気が強そうだが、実は内面は打たれ弱い一面がある。父親は代議士で、金持ちのお嬢さま。

渡辺 まみ (わたなべ まみ)

渡辺歩の妹で、女子高校生。愛称は「まみぞう」。同じ高校に通う男子、野宮と付き合っており、すでに肉体関係も持っている。姉である歩が処女とは知らず、よく恋愛相談をしている。大学進学後、スカウトされて、グラビアアイドルとして活動を開始し、そこで出会った千葉一史に惹かれていく。好奇心が旺盛で、性的にオープンな性格ながら、育ちのよさもあってか下品には見えない。 天真爛漫なように振る舞っているが、実はしっかり者。お嬢さま育ちのためか、ハングリー精神はない。

千葉 一史 (ちば かずし)

ブライダル会社「リコレクションズ」に勤務している男性。サロン室においては渡辺歩の上司にあたる。38歳の独身で、森村とは同期入社なので仲がいい。いつもむすっとした顔をしているが、それは地顔であり、怒っているわけではない。仕事に厳しく、責任感が強いまじめな性格。歩に惹かれ、大西朋生と付き合いながらも苦しんでいる彼女の力になりたいと思っており、歩の幸せのために大西との仲を後押しする。 のちに、渡辺まみと恋愛関係になる。

吉田 誠一郎 (よしだ せいいちろう)

ブライダル会社「リコレクションズ」に勤務している男性。渡辺歩がサロン室へ異動したあとに、福岡支社から企画課に異動して来た。福岡に妻と娘を残し、単身赴任している。内野理英にとってはあこがれの人物。読書が好きで物静かな印象だが、いざという時は体を張って女性を守る男気のある性格の持ち主。半年後に福岡に戻るが、その後再び東京へ異動になり、今度は家族を伴って上京した。

渡辺 修一 (わたなべ しゅういち)

渡辺歩、渡辺まみの父親。大学教授を務めている。挨拶に来た大西朋生が、歩と結婚の意思がない事を聞いて激怒したり、まみと付き合っている千葉一史には歳の差を理由に身を引くよう忠告したりと、頭の固い考え方の持ち主。ただしこれらは、娘の幸せを一番に考えるがゆえのものである。

渡辺 真砂子 (わたなべ まさこ)

渡辺歩と渡辺まみの母親。自分の母校である私立のエスカレータ式の学校へ娘二人を入学させ、なに不自由なく育て上げたという自負を持っている。歩やまみの事に関してさほどうるさく干渉しない、理解のある女性。

アユミ・アレックス・ワタナベ (あゆみあれっくすわたなべ)

ブライダル会社「リコレクションズ」のニューヨーク支店に勤務している女性。大西朋生の同僚で、父親が日本人のハーフ。さっぱりした性格をしており、パワフルに仕事に取り組み、いつも情熱に燃えている。元カレからのストーカー行為に悩まされており、防犯の意味も含めて大西のアパートでシェア生活を送っている。大西に思いを寄せている。

吉岡 章 (よしおか あきら)

SEITAの経営するデザイン事務所で、チーフを務めている男性。いつか独立して自分の店を持ちたいと考えている。パワフルな渡辺歩に惹かれ、大西朋生との恋に破れて傷ついている歩の心を癒し、恋人同士になる。歩の中から大西の影を消そうと躍起になっていたが、それが不可能と知ると態度を豹変させる。歩に対して婚約破棄の慰謝料を請求し、なおかつそのお金を人を使って盗ませたり、歩の会社に圧力をかけて仕事まで妨害しようとするなど、執念深いところがある。

エディ・テイラー (えでぃていらー)

ブライダル会社「リコレクションズ」のニューヨーク支店に勤務している男性。内野理英に好意を抱いている。内野幸太ともすぐに打ち解ける気さくな性格で、理英に交際を断られたあとも、幸太も含めた三人の親しい友達としての付き合いを望んでいる。

SEITA (せいた)

ウェディングドレスのデザイナーをしている36歳の男性。自身でデザイン事務所を経営している。渡辺歩の勤務するブライダル会社「リコレクションズ」と契約しており、歩の仕事っぷりに敬意を表している。歩に好意を抱き、気持ちを伝えるが、歩が大西朋生に好意を抱いている事を知り、身を引いた。

野村 一希 (のむら かずき)

美術大学に通う2年生の男子。年齢は20歳。アルバイトで渡辺まみのグラビアを撮影するカメラマンのアシスタントをしている。実は千葉一史の息子だが、長年その存在すら知られておらず、当然認知もされていない。苦労して自分を育ててきた母親の野村聖子に対する思いから、千葉に対して恨みを感じている。千葉の大切な存在であるまみに、二人の秘密の関係を盾にして、自分と付き合うように強要する。

野村 聖子 (のむら せいこ)

印刷会社に勤務する女性。千葉一史とは高校3年生の時に真剣に付き合っていた。千葉が大学進学のために上京したあとに妊娠が発覚し、野村一希を出産した。千葉には内緒で産んで、一人で働きながら一希を育てた。サバサバした性格のしっかり者で、自分で苦労する道を選んだ事を後悔してはいない。

斉藤 洋和 (さいとう ひろかず)

ブライダル会社「リコレクションズ」に勤務している男性。渡辺歩や大西朋生の所属する企画課に、ほかの支店から出向して来た。歩や大西よりも3年先輩にあたる。大学時代に内野理英と同じアルバイト先で働いており、理英の万引きを目撃し、それをネタに脅迫してレイプしたという過去を持つ。人を陥れても何とも思わない卑怯な人物で、歩の考えた企画を盗んで自分のものとして発表した。 また、会社で再会した理英に対して関係を迫る。

大西 直人 (おおにち なおと)

レストランでシェフを務める男性。渡辺歩の仕事の取引相手。大西朋生にとっていとこにあたる。大西のせいで家庭が崩壊したと逆恨みしており、歩を攻撃して大西に復讐しようとしている。加藤に命令して歩の入浴姿を盗撮したり、歩をレイプしようとした。

加藤 (かとう)

渡辺歩が合コンで知り合った男性。大西直人に命令され、歩の家にカメラを仕掛け、盗撮した入浴姿の動画をネットにアップした。その後、大西朋生の友人によってパソコンのデータを消される。

小野 二郎 (おの じろう)

週刊誌の記者をしている若い男性。野村一希の差し金で、千葉一史と渡辺まみの関係を調べ上げて、それをネタに千葉から現金500万円を要求する。その後、まみに無理やり乱暴しようとして、警察に現行犯で逮捕された。ほかにも芸能人を脅した余罪があり、のちに集団訴訟を受ける事となる。

内野 幸太 (うちの こうた)

内野理英が一人で生み、育てている男の子。父親は吉田誠一郎だが、吉田はその事をまったく知らない。理英の会社にもその存在を内緒にしているため、肉親以外ですべてを知っているのは渡辺歩と大西朋生のみ。眉毛が太く、りりしい顔をしている。人見知りなところがあるが、非常に賢い。

森村 (もりむら)

ブライダル会社「リコレクションズ」に勤務している男性。渡辺歩の直属の上司にあたる。話のわかる優しい人物で、時にスタンドプレイに走っては周囲から強い風当たりを受ける歩の事をかばっている。千葉一史とは同期の仲で、なにかと彼の事を心配している。

野宮 (のみや)

渡辺まみと付き合っている男子高校生。眼鏡をかけた頭脳明晰な人物で、なおかつしっかり者でもある。まみにとっては頼れる彼氏だったが、大学生になってアメリカに留学した事で、まみと疎遠になってしまい、そのまま自然消滅してしまう。

松田 りほ (まつだりほ)

ブライダル会社「リコレクションズ」に勤務している女性。大西朋生と一夜限りの関係を結んだ事がある。生い立ちが不幸という過去が大西との共通点となり、悩みを打ち明けているうちに男女の関係になってしまった。未だに大西に思いを寄せている。

吉田 あや (よしだ あや)

吉田誠一郎の娘。小学校1年生。礼儀正しく、かわいらしい顔立ちをしている。父親の転勤で、福岡から東京へ引っ越して来た。

相沢 (あいざわ)

ブライダル会社「リコレクションズ」に勤務する女性。千葉一史にとっては同期にあたる。結婚願望の強い36歳のバツイチで、千葉に狙いを定めていた。しかし千葉と渡辺まみの関係を知り、千葉がまみに贈ろうとした指輪を捨てたり、まみに対しては千葉の重荷になるから別れる事を強要したりと、二人の仲を引き裂こうとしている。

渡辺 洸一 (わたなべ こういち)

日本人の中学生の少年。大西朋生がニューヨークのツアーコンダクトのアルバイトで知り合った。両親の仕事の都合で近々ニューヨークに来る事になっているが、付き合っている彼女がいるため、日本を離れたくないと思っている。ニューヨークに移ってからも、大西を相談相手として頼ってくる。

渡辺 歩(大西の元恋人) (わたなべ あゆみ)

主人公の渡辺歩と同姓同名の女性。大西朋生が大学院時代に付き合っていた人物。甘えるのが上手で、相手に依存するタイプ。大西が就職してすれ違いが続くと、別れ話もそこそこに地元に戻り、別の男性とお見合いして結婚してしまう。

場所

リコレクションズ

渡辺歩、大西朋生、千葉一史達が勤務するブライダル会社。ニューヨークにも支店があり、そこではアユミ・アレックス・ワタナベが勤務している。歩が当初所属していた企画課では、新しいキャンペーンなどを生み出している。サロン室では客に直接かかわり、客の希望を一番に叶える事をモットーにしている。自社の宣伝のためのポスターやカタログなどに、ウェディングモデルとして渡辺まみを起用している。

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