カティ=アールト

キンバリー魔法学校に通う1年生の女子。連合(ユニオン)北方の湖水国(ファーンランド)からの留学生。両親は若い頃に「理想郷(ユートピア)主義」に傾倒していた魔法生物保護を支持する「人権派」の人間で、幼い頃から多数の魔法生物と守り役のトロールに囲まれて育ったカティ=アールトは、その影響を強く受けている。とりわけ亜人種の人権問題に関しては敏感で、トロールに幼い頃から接してきたカティは彼らが文字をはじめとした文化を持たなくとも、ぐずる子供をなだめるために子守歌を歌う知性を持ち合わせていると知悉（ちしつ）しており、彼らに対する不当な扱いに怒りを覚えることがしばしばある。新入生歓迎の魔法生物パレードの場で、その扱いに関して不満を口にしたことがきっかけで悪戯を仕掛けられ、パレードに突っ込まされた挙げ句、魔法生物に踏み潰されそうになるという事件を招くこととなった。その際、道すがら話し掛けていたオリバー=ホーンやガイ=グリーンウッドをはじめとする、それ以後、行動を共にすることになる友人たちの助けで辛くも難を逃れている。その後も処分されそうになったトロールを庇ったことで、一躍、「人権派」を代表する人物と見なされることとなってしまい、クラス内の「保守派」に属する生徒たちから、悪口雑言をはじめとするさまざまないじめを受けることとなる。当初は対立を煽ることとなるとしていたオリバーら友人たちだったが、実際に手を出される寸前までいったことでクラス内での喧嘩に発展し、対立は決定的なものとなる。のちに、自分に手を差し伸べてくれていた、「人権派」に属する4年生の先輩・ヴェラ=ミリガンが、亜人種に人体実験を施す、魔法使い然とした思考の持ち主であったり、自らもその対象にされそうになったりとショッキングな事件に巻き込まれる。しかし、それらの騒動を通してもカティの信念は折れることなく保たれており、その心の強さはキンバリー魔法学校に通う人間が純粋さを失っていくことを知るオリバーを、深く感動させるものだった。一方、友人関係においては、当初からなにくれとなく自分の考えや信念を認めてくれていたオリバーに対して淡い思いを抱く素振りを見せている。彼が従姉であるシャノン=シャーウッドといった、女性と仲よくしている姿を見ては、嫉妬心に駆られる様子がしばしば見受けられる。他方、誰に対しても遠慮なく接するガイとは憎まれ口や悪戯の応酬を繰り返す仲で、険悪にならない範囲で言い争いや喧嘩をよく繰り広げている。