吉浦 和歌

3年前まで秋保心と付き合っていた元彼女。その後、西尾隆則と結婚したが、2年で離婚した。会社では心や山田と同じ職場に同僚として勤務していたが、異動となって昇進する。係長となって再び元の職場に戻り、今度は心や山田の上司として共に働くことになった。心がニート保護法の被験者として結婚したことを知り、面白がっているように振る舞っているが、実際はかなり複雑な心境。特に妻の沢本陽茉梨には、以前付き合っていたことを伝えたうえで、離婚してほしいと訴えた。それは、制度による義務感だけの結婚に賛成できなかったためである。自分が心と付き合っていた頃、4年もいっしょにいたにもかかわらず、突然別れ話を切り出しても理由すら聞かれなかったことで、心は他人に執着しないという欠点があると感じ、彼のそんな性格を知っている者として、心が陽茉梨を幸せにすることはできないと考えていた。その後、心と陽茉梨と三人で行った話し合いで、心の陽茉梨との結婚に対する真剣な思いを知る。さらに家の中で二人の日常をかいま見たことで、陽茉梨と心の今後を応援する方向に切りかえ、結婚祝いにオーブンレンジを贈った。ニート保護法の制度自体に反対しており、施行の延期や適用者の抜本的な見直しが必要だと考えている。頭が非常にキレて気は強いものの、他人を思いやる優しさを持っている。料理は苦手だが、お菓子作りは得意としている。以前の隆則との結婚生活は、自分の仕事が忙しくなるほどにすれ違い、自分を思いやる優しい隆則の気持ちを真っすぐに受け止められなくなっていった。仕事を辞めて夫婦で向き合う時間をつくることも考えたが、自分が東京の大学に進学するために両親に負担を掛けたことや、今の仕事に就くための努力を考えると、なかなか実行に移すことはできず、結局結婚生活を捨てる決意をするに至った。離婚後も、定期的に連絡をくれる隆則に思いは残しているが、隆則の優しさを知っているからこそ、自分ではない人と幸せになってほしいと考えている。見た目はさばさばした性格ながら、意外に繊細で悪いことはすべて自分のせいだと思い込みがちなところがある。祖母のフミとは、小さい頃からいっしょに過ごして、かわいがってもらっていたが、突然東京に出てきたフミの自由奔放な振る舞いに振り回され、苛立ってしまう。しかし、フミのおかげで隆則と再会することができ、フミが今でも自分を心配していることを知り、おばあちゃんが大好きだった頃の自分を取り戻す。