沢本 陽茉梨

ニートの女性で、年齢は23歳。物心ついた時から両親はいなく、祖父母と共に暮らしていた。祖父を一年前に、祖母を半年前に亡くしており、現在は15歳になる高齢猫の桃太郎だけが同居人。家事や介護など、すべてを一人で引き受けていたため、中学を卒業後は進学せずに、就職もアルバイトもしないまま家事手伝いを続けていた。しかし、祖父母が亡くなって一人ぼっちになってしまったことで生きる意欲を失い、桃太郎が生きているあいだだけ自分が生きられればいいと、家の中に引きこもり、生きることに対して投げやりになっていた。だが、祖母が自分の知らぬ間にニート保護法の試験実施に登録していたため、被験者第一号として秋保心と結婚することになってしまう。そんな中、桃太郎が体調を悪くした時に心に助けてもらい、ただ一人でいるよりは、桃太郎のためにも心といた方がいいのかもしれないというだけの理由で結婚を決意。結婚後は心の姓を名乗り、「秋保陽茉梨」となった。書類上夫婦となって心と同居をするうちに、暗くネガティブな性格が明るく前向きに変化していき、健全なふつうの生活を送れるようになる。引きこもっていたために電車に乗ったこともなく、他人との接し方もわからないという世間知らずなところがあったが、心のおかげできちんと服を着替えたり、欲しいものを買ったりといった、ごくふつうの幸せを感じるようになっていく。心との関係は、当初は恋愛感情もなくスタートしたが、警戒心はすぐになくなり、信頼関係を築くようになる。もともと祖父母以外は、向かいに住んでいた杉元しか接したことはなかったが、結婚してからは何かにつけて他人と接する機会が増え、梅村拓海との出会いをきっかけに、その保護者である梅村春子や梅村広樹を家に招くようになった。また、拓海の友達が沢本家に来るようになり、心の同僚の山田や心の元彼女の吉浦和歌とも親しくなり、交友関係をどんどん広げていく。料理は得意だが、主に和食が中心で、洋食はよく知らない。また、お菓子作りはあまり得意ではなかったが、心からハンドミキサーをもらったことがきっかけで、上手に作れるようになった。中学時代はかなり浮いた存在で、特に無視されたり、いじめを受けていたわけではなかったが、誰からも話し掛けられることなく、つねに孤立していた。そんな中、日直をいっしょにやったことがきっかけで、クラスメートの三ツ木誠と親しくなり、いっしょにお昼ご飯を食べたり、当時食べたことがなかったシュークリームを食べさせてもらったりなど、学校で多くの時間を共に過ごすようになる。誠とは中学卒業以来会っていなかったが、久しぶりにケーキ店「sucre」を訪れた際、偶然実家に戻っていた誠と再会し、再び交流を始める。のちに第一子となる娘の秋保花を出産し、さらに第二子にも恵まれることになる。