宇宙課々付エヴァ・レディ

宇宙課々付エヴァ・レディ

近未来の世界を舞台に、自身の夢を追いながらあらゆる困難を乗り越え、宇宙飛行士を目指す女性の姿を描くSF作品。御米椎のデビュー作にして代表作で、「コミックガンマ」にて連載された。

正式名称
宇宙課々付エヴァ・レディ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
バンブー・コミックス(竹書房)
巻数
全2巻
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

宇宙旅行が身近なものとなった近未来、宇宙開発事業の会社に勤める数明由雁は社内報で、NASAが火星有人飛行計画であるパージバルプロジェクトの宇宙船搭乗員を募集していることを知る。会社での評価員としての業務に、やりがいのなさを感じていた由雁はその募集に応募し、火星行きの搭乗員になることを志願する。火星行きにはいくつかの試練があり、由雁はそれに伴うさまざまな苦難を乗り越えて、火星行きの夢を叶えようと奮闘する。

登場人物・キャラクター

数明 由雁 (かずあき ゆかり)

逓淑総合特機株式会社の宇宙課に所属する女性。金髪で体が小さく、童顔。幼少の頃から、兄の数明宏との天体観測を通じて宇宙に興味を持つ。宇宙飛行士を目指し、宏がアメリカへ向かった後も、宇宙に対する情熱は冷めず、自身も宇宙開発に関わる会社に就職した。宇宙課では、製品のテストをしてリポートを作成する「評価員」の仕事をしている。 自分のやりたかった仕事ではないため不満を覚えていたが、技術系の資格を多数取得しているうえに評価も高く、辞職を考えても、上司から言いくるめられて辞められずにいた。そんななか、社内報でNASAのパージバルプロジェクトによる「火星有人飛行国際共同計画乗組員募集」を見て、応募を決意する。気が強く自信家のため、突飛な行動に出て周囲を驚かせることが多い。 経験したことのない問題にも果敢に立ち向かい、打開策を自ら実行して解決する能力を持つ。また、数々の資格試験に合格。乗り物の免許は一通り取得していたり、数か月で日常会話ができるレベルの英会話能力を身に付けたりと頭脳も明晰。彗星が地球に衝突するという危機の際には、計算を筆算で素早く行い、回避に成功した。 その後、戸沢への恋心に気づき、結ばれることとなる。

数明 宏 (かずあき ひろし)

数明由雁の実の兄。現在はアメリカの宇宙開発研究室に所属する青年。黒髪で長身、スマートな体型をしている。宇宙嫌いの父の反対を押し切り、家出同然でアメリカへと渡った。アメリカの大学では宇宙科学を専攻し、卒業後は研究室に入った。しかし、差別により雑用ばかりをさせられて不満を溜めていた。そのため、パージバルプロジェクトへの参加を希望。 火星での植物栽培研究を成功させ、自分を見下していた父親や、差別していたハフマンなどを見返すことを決意した。由雁の前ではいいところを見せようと、「大学を首席で合格した」などと見栄を張っているが、由雁にはすべて噓だとばれている。

(ちち)

数明由雁と数明宏の父親。国語の教師をしている。恰幅がよく、厳粛な面持ちをしている。宇宙嫌いで、宇宙に興味を持っている宏とは折り合いが悪い。厳格な性格で、自分の意見に反することには徹底して反論し、テレビや新聞に向かって文句を言っていることも多い。一方で冷静な面もあり、学校行事で宇宙旅行へ行った際、トラブル発生により船内がパニックになった時も、1人だけ落ち着きを保っていた。

(はは)

数明由雁と数明宏の母親。小柄で小太りな体型の専業主婦。時おり由雁に家事を手伝わせている。由雁との関係は良好であるが、由雁からは「父親の前では意見できない」と思われている。しかし、宏はそう考えておらず、父親と子供たちの関係を取り持つ存在として見ている。

真梨江 (まりえ)

逓淑総合特機株式会社に勤務する女性。長い黒髪をして、高身長。事務職だが、どの課に所属しているかは不明。数明由雁とは昔からの親友であり、ともに出退勤することが多い。両親はおらず、妹の真梨藻と二人暮らしをしている。真梨藻に対してはドライな意見を述べるが、母親代わりでもあるため、真梨藻が熱を出した時には、会社を遅刻して看病をしている。 格闘技の経験があり、体格の違う外国人男性を投げ飛ばすことができる。

戸沢 (とざわ)

逓淑総合特機株式会社の宇宙課に所属する男性。宇宙課課長補佐の立場にある。中年の大柄な体で、鼻が描かれていない。宇宙関連機器の開発に携わっており、数明由雁をはじめとする部下からの信頼は厚い。決断力はあるものの、どこかうっかりしており、道に迷ったりミスをしてしまうこともある。見た目が絵本『ムーミン』の主人公に似ているため、他の職員からは陰で「ムーミン」と呼ばれている。 由雁がパージバルプロジェクトの最終試験を受けている最中に、これまで由雁が起こした問題の責任を取って辞職した。これは、由雁に処分が通達されると、火星に行けなくなることを危惧したためである。会社を辞めた後は、パージバルプロジェクトの監督補佐に就任した。

須賀 (すが)

逓淑総合特機株式会社の宇宙課に所属する開発員。細身の青年。数明由雁が製品テストをする際に、操作や指示を担当することが多い。由雁に間違いを指摘されたり、トラブルが発生した時は、由雁から教えられることもある。上司である戸沢などにも、突っ込む時は敬語を使わなかったり、由雁に危険が迫っている時に、予算の話を持ち出した防衛課の人間を殴ったりなど、感情的な性格。

課長 (かちょう)

逓淑総合特機株式会社の宇宙課に所属する男性。骨ばった顔をした初老の人物で、課長を務めている。ちょっとしたことでそわそわしてしまう神経質な性格。事なかれ主義で、不測の事態を極力避けようとする。また常に体裁を気にしており、それは宇宙課だけでなく、会社全体に対しても同様。口達者で、評価員を辞めようとする数明由雁を言いくるめ、引き止め続けてきた。

ジョン=バークグリーン

航空宇宙最大手会社「ノースロッキード社」の主任システム設計技師の若い女性。ブロンドの短髪で、細身の体型。数明宏とは同じ大学出身で、現在も交流があるが、恋仲というわけではない。自身も数明由雁とともにパージバルプロジェクトに応募した。二次試験の後、由雁の下へ試験官を騙って姿を現し、「二次試験には落ちたが、技能テストに合格したら三次試験の受験枠に推薦する」と申し出る。 由雁はこれを了承してテストを受けたが、実はこれは宏の妹の技量を確かめたかったジョンの戯れであり、由雁の二次試験合格は最初から決まっていた。最終試験である三次試験の面接では、由雁とともに面接を受け、その時には知識と経験の差を見せつけた。しかし、由雁の宇宙に対する情熱や判断力の方が高く評価されたため、ジョンは補欠合格として、火星行きに同行することとなる。

トビアス・オーベルトソン (とびあすおーべるとそん)

パージバルプロジェクトの少年搭乗員。「カナダ・ロボティクス社」から派遣され、搭乗員の中では最年少。小さい身体ではあるが、力仕事などもこなしている。自律ロボットのプログラミングに優れ、その能力を買われてパージバルプロジェクトに抜擢された。普段は探査機用知能のプログラムを組む仕事をしているが、年齢のせいで、周りから軽視されている。 そのため、不貞腐れた態度を取ることが多く、仕事中にも不正回線のハッキングを行って、他の回線を盗聴するなど、仕事に真面目に取り組もうとしていない。数明由雁が配属されてからは、彼女に淡い恋心を抱き、以前よりも協調性をもって、真面目に仕事に臨むようになった。

ボブ

パージバルプロジェクトの搭乗員である壮年男性。大柄な肉体で、感情的になりやすく、カッとすると、すぐに暴力に訴える癖がある。和を乱されるのが嫌いで、数明宏やトビアス・オーベルトソンともよく喧嘩をしていたが、理解が深まるにつれて信頼関係を築いていく。仲間意識が強く、仲間のピンチには、自分を顧みず必死で助けようとする。

カスパー・ワイズマン (かすぱーわいずまん)

パージバルプロジェクトの機関士を務める壮年男性。長身でつり目、鼻が高いのが特徴。数明由雁をスポンサー枠の見世物クルーだと思って、冷たく当たっていた。訓練中に由雁とともに死の危険に瀕した際、必死に2人で助かろうとする由雁の姿を見て考え方を改め、以降は対応が柔らかくなる。

ジュリア

パージバルプロジェクトの搭乗員である女性船医。黒髪で、褐色の肌の持ち主。現在はプレトリアに住む夫と子供がいる。大人の女性らしく落ち着いた性格で、数明由雁たちの良き相談役となっている。

ハフマン

数明宏が大学卒業後に入った研究室の室長教授。宏よりは身長が低いが、恰幅が良い中年の男性。宏がパージバルプロジェクトに参加できるように、委員会に圧力をかけた人物。ただしそれは宏への好意からではなく、厄介者を排除するためであり、また恩を売るという目的によるもの。他人の発見や功績を横取りして、自分の手柄にしているため、宏からは嫌われている。

真梨藻 (まりも)

真梨江の中学生の妹。学校では空手部に所属している。黒い髪を短髪にしている少女。些細なことですぐ真梨江と喧嘩になるが、それは母親代わりである真梨江への甘えもあってのことで、嫌っているわけではない。数明由雁と面識があり、真梨江とともに仲良くしている。

集団・組織

宇宙課 (うちゅうか)

逓淑総合特機株式会社で、数明由雁が所属している部署。宇宙事業で使用する製品の開発・試験・受注を手掛けている。大規模な引き抜きにより人員が不足しており、開発が間に合わずに、他の部署よりも成績が下がっている。そのため、宇宙課の社員はボーナス査定に恐々としている。

場所

逓淑総合特機株式会社 (ていしゅくそうごうとっきかぶしきがいしゃ)

数明由雁が勤務している会社。宇宙事業用の製品を開発しており、従業員は1470名。本社は東京都摩王市に位置しており、ロサンゼルス、ヒューストン、ギアナに関連会社がある。宇宙課が看板部署となっており、成績の良い社員は宇宙課に引き抜かれることもある。由雁のような評価員の仕事も、技術者実務として扱われ、他の資格取得に有利になる。

NASA (なさ)

ヒューストンにある宇宙開発センター。火星飛行計画の飛行士訓練所を持つ。無人探索車を火星に送り、調査することに成功している。有人探索車の運行を目的としたパージバルプロジェクトを推進しており、逓淑総合特機株式会社に、このプロジェクトの開発・評価を依頼している。実在の同名組織、NASA(アメリカ航空宇宙局)がモデルとなっている。

地上訓練施設 (ちじょうくんれんしせつ)

実物大の火星船模型。訓練用の船体で、操縦区画・居住区画などが、本物と同じように作られている。エンジン以外は宇宙空間と同じように作動しており、訓練を通して宇宙空間での動作に慣れることを目的としている。

その他キーワード

パージバルプロジェクト

火星に人間を送り、調査を行う国際的共同計画。メンバーは基本的に宇宙飛行士の訓練を受けた者から選出される。スポンサーによるメディア向けパフォーマンスとして、一般人からも公募したり、スポンサー会社から派遣したりといった例外もある。打ち上げは2014年1月、地球帰還は2015年7月と予定されている。

書誌情報

宇宙課々付エヴァ・レディ 全2巻 〈バンブー・コミックス〉 完結

第1巻

(1994年3月発行、 978-4884757038)

第2巻

(1995年7月発行、 978-4884758240)

SHARE
EC
Amazon
logo