概要・あらすじ
イギリスの階級社会においてメイドと当主の身分の差を軸に、それぞれの生活の中でそれぞれの恋心を育んでいく。メイドのエマと貿易商人の跡取り息子ウィリアム・ジョーンズが身分の差を乗り越えながら歩み寄っていくラブストーリー。
登場人物・キャラクター
エマ
ケリー・ストウナーの死後、ウィリアム・ジョーンズから身を引くためにロンドンを離れメルダース家のハウスメイドとなった。髪を束ねメイド服に身を包み控えめだがよく働くことに変わりはない。元当主のケリーの教育により語学や文学などの教養を身につけており、彼女を気に入ったドロテア・メルダース夫人の侍女に昇格。 夫人の友人ミセス・トロロープの付添いとしてパーティーへ出席し、そこでエレノア・キャンベルの婚約者としてのウィリアムと再会する。
エーリヒ・メルダース (えーりひめるだーす)
エマが仕えているメルダース家の長男。テオというリスを飼っている利発で活発な少年である。後に、ヴィヴィアン・ジョーンズから釣りを教えてもらう。
イルゼ・メルダース (いるぜめるだーす)
エマが仕えているメルダース家の長女だが、まだ年端もいかない少女である。はにかみ屋で、恥ずかしがり屋。兄のエーリヒ・メルダースとは仲良しである。後に、ジョーン家のコリン・ジョーンズとよい友達となる。
グレイス・ジョーンズ (ぐれいすじょーんず)
貿易商人ジョーンズ家の長女でウィリアム・ジョーンズの妹である。母親が家にいないせいか、いろいろと気が付き面倒見がよいため、彼女の周りには多くの崇拝者がいる。そんなしっかり者で美人の彼女には、父に内緒の恋人がいたが、彼とは、めでたく結婚する。 兄ウィリアムより先に幸せをつかんだ彼女だが、エレノア・キャンベルとは昔からの友人であるため、兄と友人の恋の行方を案じている。
ヴィヴィアン・ジョーンズ (ゔぃゔぃあんじょーんず)
貿易商人ジョーンズ家の次女でウィリアムの妹である。好奇心旺盛な明るさと、わがままな性格が混在する、典型的な「おじょうさま」。社交界への憧れが強く、兄とエレノア・キャンベルとの縁談を応援している。 ケリー・ストウナーが亡くなった後、ウィリアムに会うためジョーンズ家を訪ねたエマに「身分の違いをわきまえなさい」と苦言を呈した。
オーレリア・ジョーンズ (おーれりあじょーんず)
エマが仕えているメルダース家夫人の仲の良い友人で「人間嫌い」なことからミセス・トロロープと呼ばれる。実は、彼女はエマが心を寄せるウィリアム・ジョーンズの母親である。しかし「人間嫌い」の「社交界嫌い」であったため、社交界から距離を置くと同時に家族からも距離を置いてしまっていた。 エマとウィリアムの想いは応援している。
ハンス
エマが仕えているメルダース家のフットマン(家事使用人)。無愛想で口が悪いが基本的に真面目という典型的不器用な性格の男。出身はドイツで、フットマンとしては古株になり、自分より弱い者に思いやりがあるため、皆から頼りにされている。 そんな中、エマには不思議と突っかかってくるような態度をとる。時計の修理を得意とする。
リチャード・ジョーンズ (りちゃーどじょーんず)
貿易商人ジョーンズ家の3代目当主で、ウィリアムの父である。爵位は持たないが、30年以上かけて社交界でも名が知られるようになった苦労人。そのためか息子とエマの身分違いの想いには否定的で、子爵の称号を持つキャンベル家エレノア・キャンベルとの政略結婚を進めている。
アーサー・ジョーンズ (あーさーじょーんず)
貿易商人ジョーンズ家の次男でウィリアム・ジョーンズの弟である。真面目で無愛想だがカレッジではプリフェクト(監督生)となるほど優秀。しかし、自分が家督を継ぐことができないため「お坊ちゃま」性格の兄ウィリアムにはイラつくのか、攻撃的な発言と態度をとってしまうことが多い。 酒に弱く酔うと「おしゃべり」になる。
コリン・ジョーンズ (こりんじょーんず)
貿易商人ジョーンズ家の末っ子でウィリアム・ジョーンズの弟である。歳の近いヴィヴィアンとは喧嘩が多いが、兄ウィリアムのことは家の中で一番慕っている。寂しがり屋で泣き虫、口数が少ない引っ込み思案の甘えん坊である。 後に、メルダース家の長女イルゼ・メルダースと仲良くなる。
スティーブンス
貿易商人ジョーンズ家の有能な執事である。そつなく仕事をこなし、上流社会の情報を把握している。3代目当主リチャード・ジョーンズの代からこの家に仕えているため、リチャードとウィリアムのよき理解者でもある。
ヴィルヘルム・メルダース (ゔぃるへるむめるだーす)
エマが仕えているメルダース家の当主。ドイツの貿易商人だが、イギリス社交界でも有名なジェントルマン。落ち着いた物腰で一目置かれる存在である。イギリスの階級制度には内心快く思っておらず、エマとウィリアム・ジョーンズの身分違いの恋愛にも理解を示す。 静かな面持ちだが、愛妻家である。
ターシャ
エマが仕えているメルダース家のハウスメイドで、ロンドンを離れ故郷に帰ろうとしたエマをメルダース家のメイドに引っぱった張本人。メルダース家ではエマと同室で友人である。おっちょこちょいだが明るく活発な性格である。
アデーレ
エマが仕えているメルダース家のメイド長。ハウスメイドのまとめ役である。黒髪をきっちりとまとめ上げ、常に冷静沈着であり、細部まで気を回す、クールビューティなドイツ女性である。エマのメイドとしての能力を高く評価し認めている。
エレノア・キャンベル (えれのあきゃんべる)
キャンベル子爵家の三女であり、初めての社交界で出会ったウィリアム・ジョーンズに恋心を抱いている。ウィリアムの妹グレイス・ジョーンズとは友達。子爵家として淑女の教育を受けており、両親の意見を素直に聞き入れる反面、恋愛に憧れる幼さもある。 ヤケになったウィリアムからプロポーズされ婚約者となるが、エマと再会したウィリアムに婚約を破棄され結局フラれてしまうことに。
ウィリアム・ジョーンズ (うぃりあむじょーんず)
貿易商人ジョーン家の長男で跡取り息子である。ケリー・ストウナーは彼の恩師であり、彼女の家を訪ねた時にエマを見初める。「優柔不断でボンヤリているが能天気」というような評価を妹から受けてしまうほど、彼の性格は「いいところのお坊ちゃん」である。 エマが姿を消してからヤケになり、エレノア・キャンベルと婚約してしまう。そして、この婚約パーティで図らずもエマと再会してしまうのだった。
ドロテア・メルダース (どろてあめるだーす)
エマが仕えているメルダース家の奥様で、ヴィルヘルム・メルダースの妻である。黒髪の美人で派手な性格。そのため、何もない田舎暮らしに少し飽きている。おおらかで物事を柔軟にとらえることができ、エマとウィリアム・ジョーンズの恋心を知ってからは積極的に応援している。 ミセス・トロロープとは良い友人であり、交流がある。