P.As.

前作『P.A.』は、小学館「プチコミック」にて1991年4月号から1999年2月号にかけて連載された作品。依頼を受けて別人に成りすましたP.A.が活躍するストーリーで、ノベライズやテレビドラマなどメディアミックス化され、連載終了後も新エピソードが発表されるほどの人気作となった。本作は、前作の主人公、小早川志緒と、その夫の羽村知臣の息子である羽村雅臣が主役の一人として登場する。両親譲りの演技力と経営力を発揮し、P.As.の冬羽と毬谷ひづきをサポートする。

本作はタイトル通り、役を演じる羽村雅臣や冬羽、毬谷ひづきにそれぞれ活躍の場が用意されている。三人は優れた洞察力や情報収集能力、そして何よりP.A.として重要視される演技力が卓越しており、あざとさや正義感も兼ね備えている。また三人はそれぞれ強い個性を持っており、雅臣はある事情により俳優業を休業中で、冬羽は自分の国籍も過去も知らない。そして毬谷は肉体は男性ながら、内面が男性にも女性にもなる「不定性」というジェンダーに属する。これらのキャラクター付けは物語が進むにつれて重要な役割を果たしている。

冬羽、毬谷ひづきの任務は、別人に成りすますことからつねに危険が伴う。依頼はその大半が訳ありのもので、中には殺人事件に発展する物騒な依頼も少なくない。しかし、二人は持ち前の演技力や身体能力、推理力を駆使して、さまざまな難事件を解決していく。また、二人の上司でもある羽村雅臣は、国民的大女優の小早川志緒と、大手会社グループの会長を務める羽村知臣の息子であることから、政財界にも顔が利くため情報収集能力が高く、二人の大きな助けとなっている。