ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース

ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース

ブラッドレー・ボンドとフィリップ・N・モーゼズの共同名義の小説『ニンジャスレイヤー』の第二部「キョート殺伐都市」のコミカライズ作品。ネオサイタマで巨悪を打ち倒したニンジャスレイヤーが、新たな敵、ザイバツ・シャドーギルドとの戦いに身を投じる。コミックス版『ニンジャスレイヤー』の正統続編で、さらに血沸き肉躍るダイナミックな描写が特徴のニンジャアクション。「チャンピオンRED」2018年4月号に予告編となる「NINJA SLAYER ヴァーティゴ・アソシエーティド・ウィズ・トランスファー」が掲載されたのち、2018年6月号から本編が連載されることとなった。なお予告編は「ザ・ヴァーティゴ・アソシエーティド・ウィズ・トランスファー」と改題されて、コミックス第1巻に収録されている。

正式名称
ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース
ふりがな
にんじゃすれいやー きょーと へる おん あーす
原作者
フィリップ・N・モーゼズ
原作者
ブラッドレー・ボンド
漫画
ジャンル
アクション
 
サイバーパンク
レーベル
チャンピオンREDコミックス(秋田書店)
巻数
既刊15巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

ソウカイヤを打ち倒したニンジャスレイヤーだったが、息つく間もなく彼のもとにザイバツ・シャドーギルドという次なる敵の魔の手がせまる。ザイバツ・シャドーギルドから差し向けられた刺客のフォビアを倒したニンジャスレイヤーは、敵の全容をつかむため敵の本拠地があるとされるキョート共和国に潜り込むことを決意。そのための手引きが必要となり、ニンジャスレイヤーはナンシー・リーから紹介されたタカギ・ガンドーの事務所へと向かうのだった。一方、ガンドーはアナカ・マコトを助けたことをきっかけに、ザイバツ・シャドーギルドの陰謀の一端に触れていた。しかし即座に、その情報はザイバツ・シャドーギルドに筒抜けになり、ガンドーのもとにニンジャブラックドラゴンシャドウウィーヴが差し向けられる。強大な力を持つニンジャに殺されかかるガンドーだったが、そこにニンジャスレイヤーが現れ、ガンドーと共闘。混迷する事態の中、陰謀の証拠を持ったアナカが逃げ出してしまう。アナカを追ったニンジャスレイヤーとブラックドラゴンは、道中で一対一の激闘を繰り広げる。

第2巻

ネオサイタマの戦いでナラク・ニンジャが眠ったため、多くの力を失ったニンジャスレイヤーは、次第に劣勢となりブラックドラゴンの攻撃を受けて致命傷を負ってしまう。死に瀕したニンジャスレイヤーは、コトダマ空間で眠るナラク・ニンジャと邂逅。アナカ・マコトの魂の叫びと共鳴したニンジャスレイヤーは、ナラクに呼びかけることで、彼を呼び覚ますことに成功する。こうしてニンジャスレイヤーはナラクの力を手にし、その力でブラックドラゴンを打ち倒すのだった。その後、アナカと彼の妻を安全な場所に送り届けたニンジャスレイヤーは、タカギ・ガンドーと協力してキョート共和国の闇に踏み込んでいく。ニンジャスレイヤーとガンドーはキョート共和国の首都ガイオン、その地下に存在するアンダーガイオンの下層部で異変が起きていることを察知。各々の調査により、ザイバツ・シャドーギルドはアンダーガイオン第13層に超弩級ハンマーシリンダー「ベヒーモス」を建造し、第15層にあるなにかを発掘しようとしている事実を知る。ベヒーモスが稼動すれば第14層が破壊され尽くしてしまうと懸念したガンドーは、破壊工作を行う。しかし、現れたダークニンジャによってベヒーモスは自爆同然の稼動を行い、彼らの目的は達成されてしまう。

第3巻

ザイバツ・シャドーギルドの目的が、アンダーガイオンの最下層にあるなにかだと考えたニンジャスレイヤータカギ・ガンドーは、その手がかりを握る考古学者であるウミノ・スドの行方を追う。ガンドーは偶然、知り合いのカメラマンが取っていたスクープ写真にウミノが映っていることを発見。彼が刑務所のザシキ・ダンジョンに収監されている事実を知る。そのことを知ったニンジャスレイヤーは、「イチロー・モリタ」という仮の姿となり、囚人として刑務所に忍び込む。一方、ザイバツ・シャドーギルドのニンジャイグゾーションは、ダークニンジャの動向を怪しみ、独自に情報を収集。ウミノの身柄を確保すべく動き出す。そしてイグゾーションはウミノの身柄を抑えるが、そこでニンジャスレイヤーと遭遇、戦闘を繰り広げる。激闘の果て、ニンジャスレイヤーはイグゾーションのバリキ・ジツを打ち破るが、彼の奥の手であるセルフ・バリキ・ジツの前に敗北し、囚われの身となってしまう。

関連作品

小説

本作『ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース』は、ブラッドレー・ボンドとフィリップ・N・モーゼズの共同名義の小説『ニンジャスレイヤー』が原作となっている。現在は本兌有、杉ライカを中心としたクリエイターユニット「ダイハードテイルズ」が原作者から正式に翻訳権を取得し、2010年7月14日からTwitter上で連載開始した。2012年にはエンターブレインが日本での独占出版権を取得し、2012年9月29日から書籍版を刊行している。

漫画

本作『ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース』は原作『ニンジャスレイヤー』の第二部「キョート殺伐都市」をコミカライズした作品で、KADOKAWAより全14巻が刊行されているコミックス版『ニンジャスレイヤー』の続編となっている。コミックス版『ニンジャスレイヤー』も本作と同じく余湖裕輝が執筆を担当。『ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース』開始にあたって出版社がKADOKAWAから講談社に、掲載雑誌が「コンプティーク」から「チャンピオンRED」に変更されており、本作の冒頭でもそのことをネタにしている。また、関根光太郎による『ニンジャスレイヤー殺』が講談社より全5巻刊行され、さおとめあげはによる『ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ』がKADOKAWAより全5巻刊行されている。

登場人物・キャラクター

ニンジャスレイヤー

ニンジャへの復讐に燃えるニンジャの青年。ネオサイタマでの戦いのあと、ザイバツ・シャドーギルドを倒すためキョート共和国へ潜り込む。ネオサイタマの戦いでナラク・ニンジャが眠りにつき、ナンシー・リーも急性ザゼン中毒で療養中なため、単身行動する。キョート共和国では仮の姿として、薄汚いトレンチコートにハンチング帽をかぶった密航旅行者のフリをし、「イチロー・モリタ」と仮の名前を名乗っている。ナンシーの紹介でタカギ・ガンドーと出会い、彼とキョート共和国の闇に近づいていく。ナラクの力を失っているため、ニンジャとしての力はかなり落ちている。休眠したナラクの姿を見て、ナラクたちニンジャソウルの存在に疑問を抱く。アナカ・マコトの境遇にはシンパシーを抱いており、ブラックドラゴンとの戦いのあと、打ちのめされた彼にギャングたちの金を渡し、アナカと彼の妻を安全な場所へと送り届けている。

タカギ・ガンドー

キョート共和国のアンダーガイオンで私立探偵を営む男性。色黒の肌に、190センチ近い身長のたくましい体つきをした偉丈夫で、白い髪を角刈りに整えている。紫煙の似合うハードボイルドな探偵であると同時に、理不尽な目に遭う弱者を助ける人情家じみた一面を持つ。アナカ・マコトを助けたこととナンシー・リーの紹介で現れたニンジャスレイヤーとの出会いをきっかけにして、ザイバツ・シャドーギルドの陰謀にかかわっていく。スゴイ級のハッカーで、肉体には生体LAN端子が埋め込まれている。また2挺の49マグナムを使って戦う暗黒武道ピストルカラテの使い手。その戦闘力はニンジャには及ばぬものの、強靭な精神力でニンジャを前にしてもNRSを起こさず、戦いに挑む強さを持つ。シャドウウィーヴとの戦いでは、一瞬の油断を突き、彼の右腕を奪う殊勲賞をあげた。アンダーガイオン下層の出身で、ザイバツ・シャドウギルドの存在を追ううちに、下層で彼らが何らかの陰謀を進めていることを知る。そして下層民すべてを犠牲にしてでも野望を果たそうとするザイバツ・シャドーギルドを倒すことを決意し、ニンジャスレイヤーと協力して調査を進める。

アナカ・マコト

キョート共和国でリキシャードライバーとして働く男性。年齢は25歳。病気がちな妻のヨモコの治療費を稼ぐためまじめに働く好青年だが、付き合いが悪いためタジモトをはじめとした同僚からいじめに近い仕打ちを受けていた。ある日、ヨロシサン製薬の社員をリキシャーで送ったところ、社員の忘れ物としてフロッピーディスクを拾う。その後、タジモトたちに活力バリキドリンクを無理やり飲まされたうえに、風俗店の莫大な請求額を支払わされるという窮地に陥る。その窮地をタカギ・ガンドーに助けられ、彼からフロッピーディスクが巨大な陰謀の証拠と忠告されるが、活力バリキドリンクで思考が低迷していた事もあり、それを使って金をせしめようと考え、ザイバツ・シャドーギルドの陰謀に踏み込んでしまう。今まで何度も危ない橋を渡って金を稼いできたが、それらはすべて妻を救うためで、妻への愛は一途。理不尽に抗い、妻を守ろうとするその一念は、ニンジャスレイヤーにも共感するものがあるらしく、ブラックドラゴンとの戦いでは、彼の叫びが窮地に陥ったニンジャスレイヤーに届き、彼を立ち上がらさせるきっかけとなった。

ゼンダ・ナカト

ソバ屋でシェフを務める中年男性。ソバシェフ・ランペイジ事件を引き起こした犯人として、現在はザシキ・ダンジョンという刑務所に収監されている。無精ひげを生やした目つきの鋭い人物で、性格は物静かで寡黙。元は誠実で実直な性格をしていたが、ソバシェフ・ランペイジ事件ですべてを失ったことで強烈な復讐心に囚われており、物静かな顔の下には獰猛な破壊衝動を隠している。同室の囚人たちと脱獄計画を立てており、彼らの力を利用して脱獄する。看守たちが出口に先回りしていたため、仲間を殺されてしまうが、デスドレインに助けられ九死に一生を得る。その後、デスドレインにその破壊衝動を見込まれ、彼と行動を共にする。デスドレインによれば、何らかのニンジャソウルに憑依されつつあるという。

デスドレイン

刑務所のザシキ・ダンジョンに収監されている男性囚人。本名は「ゴトー・ボリス」で、あらゆる凶悪犯罪を引き起こした異常犯罪者。その凶悪性から独房に入れられ拷問を受けていたが、異常性は増すばかりだった。ニンジャを前にしてもNRSを引き起こさず、ニンジャスレイヤーとの出会いをきっかけにしてニンジャソウル「ダイコク・ニンジャ」が覚醒し、ニンジャとなる。ニンジャとして覚醒してからは「デスドレイン」と名乗っている。ニンジャ装束は拘束具が変化した物で、上半身はほとんど裸でズボンを履き、手にグローブを付けている。暗黒物質を生成しあやつる「アンコクトン・ジツ」を得意とし、このジツで作られた暗黒物質は攻撃、防御、移動とあらゆる用途に応用が利く。デスドレインはニンジャに成り立てにもかかわらず、このジツを利用してグランドマスター位階のイグゾーションから逃げおおせている。

ダークニンジャ

凄腕のニンジャの青年。かつてはソウカイヤに所属していたが、現在は謎の仮面ニンジャの声に導かれて、ザイバツ・シャドーギルドに身を寄せた。ソウカイヤ時代は鎧を着ていたが現在は脱ぎ捨て、灰色の髪をなびかせる素顔をあらわにし、口元を黒いメンポで覆っている。超弩級ハンマーシリンダー「ベヒーモス」で、宿敵のニンジャスレイヤーと再会。彼と激闘を繰り広げながら、ベヒーモスを自爆させることで目的を達成した。

ロード・オブ・ザイバツ

ザイバツ・シャドーギルドの首領。正体不明の存在で、人前に出るときはつねに顔の部分を白いノーレンで覆っているため素顔は不明。「格差社会」を組織の標榜として掲げ、キョート共和国の裏でさまざまな権謀術数を張り巡らす。ダークニンジャと共謀し、三種の神器を手に入れることを目論んでいる。

パラゴン

ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。位階はグランドマスターで、ロード・オブ・ザイバツの側近を務める。目元以外の全身を黒いニンジャ装束に身を包んだ男性で、ロードのそばに控え、彼の真意を汲み取り言葉を代弁する。ザイバツ・シャドーギルド随一の識者で、幅広い知識を持ち、ロードの迂遠な物言いからも即座にその意味を悟る頭の回転の速さを持つ。またふだんは丁寧な物言いだが、状況に応じてヤクザスラングを使ったり、その対応力は柔軟。

イグゾーション

ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。白い髪を長く伸ばした中年の男性で、口元をメンポで覆い隠している。位階はグランドマスターで、ロード・オブ・ザイバツに忠誠を誓っているだけに、主を捨てたダークニンジャに不信感を抱く。ダークニンジャの動向を探るため、密かに情報収集しており、その情報を握る考古学者のウミノ・スドを確保するため刑務所のザシキ・ダンジョンに赴き、ニンジャスレイヤーと遭遇、戦闘する。その力は竜巻のような天災にたとえられるほど強大で、対象のエネルギーを異常な速度で引き出し爆発させる「バリキ・ジツ」という能力を得意とする。バリキ・ジツを食らうと、人間はバンザイのような形でダッシュし、対象に突っ込んで爆発する。食らえばニンジャでも無事ではいられず、また脳に作用する働きがあるため、威力を調整すれば尋問したり、対象の行動をあやつるという芸当も可能。カラテの腕前も高く、さらに自身に「セルフ・バリキ・ジツ」で自らにバリキ・ジツを掛けることでその戦闘能力を大幅に上げられる。ただしセルフ・バリキ・ジツは調整が難しく、自爆と紙一重のリスクが存在する。

スローハンド

ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。頭巾をかぶって目元以外の部分を隠した高齢の男性。穏やかな性格で、物腰も柔らかい。位階はグランドマスターで、最近、所属したダークニンジャを高く評価している。

ブラックドラゴン

ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。漆黒のニンジャ装束に身にまとい、黒のメンポで顔を隠した男性。マスター位階のニンジャで、シャドウウィーヴのインストラクションを担当している。実は違法バイオ手術によって肉体を改造されており、メンポの下には爬虫類のような巨大な口を隠している。異形の口から黒い毒霧を吐き出すことができ、モータル(常人)程度なら即座に死に至らしめられる。身体能力も高く、ニンジャスレイヤーとは激しいカラテの応酬を行った。ニンジャスレイヤーを後一歩のところまで追い詰めるが、目覚めたナラク・ニンジャの力に敗れ、死亡する。ブラックドラゴン自身のカラテのウデマエをバイオ手術による付け焼刃にしか過ぎないと悟っており、シャドウウィーヴのジツの有用性を理解し、彼に大きな期待をしていた。そのためニンジャ秩序による格差社会実現というブラックドラゴンの理想は、死後、シャドウウィーヴに受け継がれることとなる。

シャドウウィーヴ

ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。最近、ニンジャソウルに憑依された男子高校生で、ザイバツ・シャドーギルドにも所属したばかり。ボリュームのある髪を肩まで伸ばし、口元を隠すメンポをしている。アプレンティス位階のニュービー(新人)ニンジャとしてブラックドラゴンのもとで、インストラクション(指導)を受けていた。ニンジャのためモータル(常人)とは隔絶した身体能力を持つが、まだ未熟で、タカギ・ガンドーとの戦いでは一瞬の油断をつかれて右腕を失った。クナイ・ダートを相手の影に刺すことで、対象の動きを止めるジツを習得している。ジツの有用性はブラックドラゴンにも認められており、将来的にはザイバツ・シャドーギルドの大きな力になると期待されていた。このためブラックドラゴンを師として尊敬しており、彼が殺されたのを知ったあとは、彼の遺志を継ぐことを決意する。

トゥールビヨン

ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。口元をメンポで覆った若い男性で、ガイオンの富裕層出身。両親を下層出身者の運転手が起こした交通事故で失った過去を持つため、下層民を見下す傲慢な性格をしている。超弩級ハンマーシリンダー「ベヒーモス」の建造を担当。ザイバツ・シャドーギルドの命令でベヒーモスを使ってなにかを発掘するのと共に、下層民をすべて殺し尽くすつもりだった。敵のカラテ衝撃力を地面や壁に逃がす「エスケープメント・ジツ」を得意とする。さらにマスター位階のニンジャとしてカラテの鍛錬を充分に積んでいるため、非常に精強なニンジャとなっている。しかし、激昂しやすいことをニンジャスレイヤーに見抜かれており、ニンジャスレイヤーの挑発に乗ったため、その実力を発揮できず瞬殺された。

フォビア

ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ。片目の部分が望遠鏡になっているヘルメット状のメンポを付けた男性で、「ストーキング・ジツ」という隠密行動に特化したジツを得意とする。ストーキング・ジツは、相手に気づかれずに近づき、つねに相手に見られているという実感のみを与える技。効果は地味に見えるが、四六時中、誰かに監視されているという事実は人間の精神を蝕み、最終的に対象を発狂させる恐ろしいジツとなっている。モータル(常人)であれば3日、ニンジャであっても2週間あれば、ストーキングジツによって精神を病む。またストーキングジツは持久力に優れたジツでもあり、不眠不休で使い続けることができる。ニンジャスレイヤーとの戦いでは、1か月間、ニンジャスレイヤーをストーキングし続けた。隠密行動に特化しているため、ニンジャスレイヤーの側からも発見が困難だったが、手柄を焦って行動したのが裏目となり、ニンジャスレイヤーに反撃され殺された。

タジモト

アナカ・マコトの先輩である男性。リキシャードライバーの同僚をまとめあげ、取り巻きとしているが、付き合いの悪さからマコトに対して辛らつに接していた。体の8割をサイバネ置換しており、目はバイザーで覆われて体中が機械化している。このため非常にパワフルで頑強な体を持ち、小銃程度なら撃たれても無傷。合法麻薬の活力バリキドリンクをマコトに無理やり飲ませ、彼から貯金のほとんどを奪い取る。その後は部下たちと豪遊していたところにマコトが乱入。彼が持っているフロッピーが金になりそうだ思って奪うが、その直後にフロッピーを追っていたブラックドラゴンに見つかり、部下諸共殺された。

ヨモコ

アナカ・マコトの妻。夫と共に第八階層タコ区画のアパートで暮らしているが、バイオショーユの製造による環境汚染で病を患っている。母親もショーユの製造現場で事故で死んでおり、ショーユに人生を翻弄された幸薄い人物。夫がザイバツ・シャドーギルドにかかわってしまったため、ザイバツ・シャドーギルドのクローンヤクザに拉致されそうになるが、すんでのところで、タカギ・ガンドーに助けられる。病弱ながら芯が強く、夫にこれから逃亡生活になると言われても、笑顔で彼を支えぬく覚悟を伝えた。

ザ・ヴァーティゴ

原作『ニンジャスレイヤー』のメタフィクションを象徴する存在。原作のQ&Aコーナーやお便り紹介を担当、さらに原作の本編にも登場していると自ら語り、「因果律無視のエターナル・ニンジャ・チャンピオン」を自認している。フランクで陽気な性格で、メタリックな体にピンクの装束を羽織っている。「カートゥーンでの活躍はそろそろですか?」というお便りをもらい、漫画版『ニンジャスレイヤー』が掲載されている「コンプティーク」に向かうことを決意。漫画に登場するのは初体験のため不安を感じていたが、掲載雑誌が変わっていることに気づかず本作『ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース』が掲載されている「チャンピオンRED」に到着してしまうなど、見事にその不安は的中。そこでニンジャスレイヤーに会うが、漫画内ではまだ出会っていないことを忘れていたため、迂闊に近づいて襲われることとなった。本作の雑誌掲載時は、冒頭に登場したのみで本編には登場しなかったが、コミックス刊行にあたり、巻末で次巻の予告を担当するようになった。予告では読者に愉快に語りかけるが、そのせいで邪竜ミーミーに気づかれたため、逃げ回るようになる。

集団・組織

ザイバツ・シャドーギルド

キョート共和国を裏から支配する秘密結社。ネオサイタマのソウカイヤに比肩する組織力を持つ悪の結社で、ロード・オブ・ザイバツを頂点とした厳しい階級制度を採用している。「格差社会」を標榜しており、モータル(常人)とニンジャのあいだには越えられない権力の壁が存在し、またニンジャの中にも功績やウデマエによって明確な上下関係が存在する。ニンジャの階級は最下級の「アプレンティス(徒弟)」、その上に位置する「アデプト(達人)」、アデプトの中でも特に優秀な者がなれる「マスター(大師)」、さらにマスターを束ねる地位である「グランドマスター(棟梁)」が存在する。グランドマスター位階のニンジャはロードに次ぐ権力が与えられ、キョート城の黄金茶室の黄金タタミに上がることを許される。

場所

キョート共和国 (きょーときょうわこく)

日本から独立した自主国家。首都はガイオンで、平安時代から計画して作られた整然とした町並みが特徴で、観光地として人気。しかし、観光地として人気の地表部分「アッパーガイオン」は表向きの姿で、その正体はザイバツ・シャドーギルドが支配する地下にいくつもの階層を持つ多層ディストピア。地下部分の「アンダーガイオン」では、環境汚染、重労働、合法麻薬で力ない労働者が支配され、酷使され続けている。

その他キーワード

ソバシェフ・ランペイジ事件 (そばしぇふらんぺいじじけん)

キョート共和国のアッパーガイオンで起きた事件。事件の経緯は老舗のソバ屋のシェフを務めるゼンダ・ナカトが向かいの工事建設に反対、訴えが聞き入られないとなると工事建屋を重機で破壊したというもの。犯行に使われた重機はゼンダが自らの手で違法改造したもので、配達トラックとショベルカーと複数のロードローラーを溶接合体させた悪魔的な無限軌道ビークルだった。最終的に戦車が出動する大騒動となり、戦車によってビークルを破壊されて鎮圧された。世間ではソバ屋シェフの突然の乱心と思われているが、実は工場現場で建てられていたのは、周囲に深刻な環境汚染をもたらすスシ用の人工プロテイン粉末加工工場だった。当初は周辺住人をあげて反対運動が行われていたが、工場を建てようとしているメガコーポ「マグロアンドドラゴン・エンタープライズ」の分断工作によって反対運動は妨害される。ゼンダは最後の最後まで反対運動をしていたが、妻が心労で倒れ、帰らぬ人となり、さらに冤罪を着せられたうえに店まで廃業に追い込まれる。すべてを失った男による復讐というのが事件の真相だった。

活力バリキドリンク (かつりきばりきどりんく)

キョート共和国のアンダーガイオンで流通している合法薬物。販売元はヨロシサン製薬で、街中の自動販売機でも売っている。表向きは健康ドリンクで、ふつうのジュースのような見た目をしているが、異常覚醒・興奮をもたらす効能がある。飲むと感情が制御できなくなり、判断能力が低迷する。またオーバードーズ状態となると幻覚が見えるようになったり、一度飲むと無意識のうちに再び飲もうとする依存性があったり、安全性に疑問のある薬物となっている。

コーベイン

黄金のインゴットを加工したもの。非常に価値のあるものであるため、有力者への貢物に喜ばれる。コーベインを使ったコトワザとして「ネコにコーベイン」があり、コーベインを進物する場でこのコトワザを使うことは、相手に対する最上級の嘲笑となる。

生体LAN (せいたいらん)

サイバネティック技術で肉体に埋め込まれたLAN端子。端子を埋め込む場所は人によって違うが、だいたい首元に埋め込まれることが多い。端子にデータ端末を差し込むことで直接確認することができるほか、ネットでの情報を電気信号として直接脳で受け取れるため、ハッカーには必須のアイテムとなっている。また、生体LAN端子を埋め込まれたハッカーの中で最も優秀とされるヤバイ級ハッカーは、ザゼンドリンクで精神を研ぎ澄まし、瞑想とタイピングの果てに「コトダマ空間」と呼ばれる場所にたどり着く。コトダマ空間は誰かがプログラムしたわけでもなく、原初から存在する謎の空間で、この場所では電子的イメージを可視化したイメージとして認識することができる。

クレジット

原作

フィリップ・N・モーゼズ , ブラッドレー・ボンド

翻訳

本兌 有 , 杉 ライカ

キャラクターデザイン

,

脚本

前作

ニンジャスレイヤー

ブラッドレー・ボンドとフィリップ・N・モーゼズによる同名小説の第一部「ネオサイタマ炎上」のコミカライズ作品。時は、電子ネットワークが世界を覆い尽くし、サイバネティックス技術が普遍化した未来。鎖国体制を... 関連ページ:ニンジャスレイヤー

関連

ニンジャスレイヤー殺 (にんじゃすれいやーきるず)

ブラッドレー・ボンドとフィリップ・N・モーゼズの共同名義の小説『ニンジャスレイヤー』のコミカライズ作品。フジキド・ケンジがなぜニンジャスレイヤーとなり、ソウカイヤとの戦いを始めたのか、『ニンジャスレイ... 関連ページ:ニンジャスレイヤー殺

書誌情報

ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース 15巻 秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉

第7巻

(2021-03-18発行、 978-4253239226)

第8巻

(2021-08-19発行、 978-4253239233)

第9巻

(2022-01-20発行、 978-4253239240)

第10巻

(2022-06-20発行、 978-4253239257)

第11巻

(2022-11-18発行、 978-4253239264)

第12巻

(2023-04-20発行、 978-4253239271)

第13巻

(2023-09-20発行、 978-4253239288)

第14巻

(2024-03-18発行、 978-4253239295)

第15巻

(2024-07-19発行、 978-4253239301)

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