世界観
本作『ニンジャスレイヤー殺』の舞台は、サイバネティック技術が普遍化した未来の世界で、政府よりも大企業であるメガコーポ群が力を持つ時代となっている。メガコーポによる経済競争は苛烈なもので、環境破壊や格差社会などさまざまな問題を引き起こしているが、世界は退廃に沈み、人々は力ある者に従い、唯々諾々と理不尽を受け入れている。本作は未来の日本が舞台となっているが、海外から見た日本のイメージで描かれており、スシが主食になっていたり、アイサツを交わしたら必ず返さなければならないなど、変わった設定が多い。また「メンポ(ニンジャが頭部につけるマスク。面頰)」や「暗黒メガコーポ(悪徳企業)」など本作独自の造語や用語も多く、独特の世界観を構築している。
作風
本作『ニンジャスレイヤー殺』では、「少年漫画性&サイバネ重点」をコンセプトに、誰にでもわかりやすいよう原作小説の『ニンジャスレイヤー』をアレンジしてコミカライズしている。そのため、執筆にあたって作者の関根光太郎は、原作の翻訳チームのもとで入念な研修を行い、キャラクターデザインのリファインや本作の構成を行った。漫画的にデザインをアレンジされたキャラクターたちによる派手なアクションは、特撮作品のようで、サイバーパンクニンジャアクションである原作の魅力を最大限に引き出している。コミックス各巻の巻末には、リファインされたキャラクターのデザイン画も収録されている。
あらすじ
第1巻
妻子を失い、ニンジャへの復讐を誓ったフジキド・ケンジは、ニンジャスレイヤーとなり、悪の組織、ソウカイヤのニンジャたちを次々と血祭りに上げていた。ソウカイヤからの報復が激しくなる中、ニンジャスレイヤーは師であるドラゴン・ゲンドーソーのもとを訪れる。毒に冒された師を救うため、ソウカイヤと戦いながらその解毒剤を探していたニンジャスレイヤーは、遂に解毒剤を手に入れる。しかし薬を届けた直後、ゲンドーソーとニンジャスレイヤーは、ソウカイヤきっての刺客、ダークニンジャの襲撃を受ける。圧倒的な力を持つダークニンジャにニンジャスレイヤーは苦戦を強いられるが、ゲンドーソーは残り少ない力を振り絞ってダークニンジャに特攻するのだった。ダークニンジャに師を殺され、さらにニンジャスレイヤーはダークニンジャこそが妻子を殺した張本人だと気づく。憎しみに支配され暴走しそうになるニンジャスレイヤーだったが、師の最後の教えを思い出し、その力でダークニンジャを倒すことに成功する。師の犠牲を乗り越えて戦うことを決意したニンジャスレイヤーは、これまでの軌跡を辿るのだった。
第2巻
ドラゴン・ゲンドーソーの死からさかのぼること1年前、フジキド・ケンジ(のちのニンジャスレイヤー)はマルノウチ抗争ですべてを失い、放浪していた。自分たちを襲ったのがニンジャだと知ったフジキドは、己の中に潜むニンジャソウルであるナラク・ニンジャの声に導かれるままニンジャを襲うが、アゴニィを殺し、モータル(常人)のギンイチまで手にかけようとしたところで意識を取り戻す。フジキドは仇であるニンジャと同じくモータルを殺すナラクの所業に罪悪感を抱くが、新たなニンジャとの戦いの中でナラクの影響は強くなっていき、遂にはフジキドの意識はナラクに取り込まれてしまう。衝動のまま暴れまわるナラクを危険視したリアルニンジャのゲンドーソーと孫娘のドラゴン・ユカノは、彼を止めるため戦う。戦いの中で正気を取り戻したフジキドの力もあり、ゲンドーソーはナラクを封印。こうして正気を取り戻したフジキドは、自分を救ってくれたゲンドーソーを師と仰ぎ、彼に教えを乞おうとする。しかしゲンドーソーはこれを断り、フジキドに戦いから離れるように忠告するのだった。
第3巻
フジキド・ケンジはナラク・ニンジャの支配から解放されたことで、ニンジャの力の大半を失ってしまう。しかし、それでも妻子の無念を晴らすべく戦いを続けることを決意し、ニンジャを殺すニンジャスレイヤーとなる。ニンジャスレイヤーは今までの戦いの経験を反芻することで、戦う力を身につけたが、その直後、今までにない強敵のドミナントに遭遇する。ドミナントとの戦いで次第に追い詰められるニンジャスレイヤーは、内から響いてくるナラクの声を聞く。ニンジャスレイヤーはナラクのもたらす力への誘惑に抗いながら、その力を剝奪。ニンジャスレイヤーは、再びナラクの邪悪な意思に乗っ取られそうになるが、強靭な意思でナラクを御することに成功する。こうして新たな力を得たニンジャスレイヤーは、ドミナントとの戦いに勝利するのだった。そして、ソウカイヤのニンジャとの戦いを再開したニンジャスレイヤーは、戦いの中で得た情報で、恩人であるドラゴン・ゲンドーソーと孫娘のドラゴン・ユカノに危機がせまっていることを知る。
第4巻
ソウカイヤに目の敵にされていたドラゴン・ゲンドーソーは、ソウカイヤのニンジャの中でも精鋭と謳われるシックスゲイツのアースクエイクとヒュージシュリケンに襲撃される。孫娘のドラゴン・ユカノや弟子たちと共に二人を迎撃するゲンドーソーであったが、弟子は皆殺しにされ、ユカノは人質に取られてしまう。しかし、そこにニンジャスレイヤーが乱入。ニンジャスレイヤーとゲンドーソーは連携攻撃を行い、アースクエイクを撃退する。しかし勝利の余韻に浸る間もなく、ヒュージシュリケンが刺し違える覚悟で放った不意打ちで、ゲンドーソーは毒に冒されてしまう。さらにソウカイヤは戦術核で追撃を行い、すべてを葬り去ろうとする。ニンジャスレイヤーは、ゲンドーソーとユカノを連れて逃亡。ゲンドーソーの機転で辛うじて危機を脱することに成功する。難を逃れたニンジャスレイヤーたちは、毒に冒されたゲンドーソーを救うためドラゴン・フォレストへ向かう。
第5巻
ニンジャスレイヤーたちはソウカイヤのニンジャの執拗な追撃から逃げ切り、無事にドラゴン・フォレストにたどり着くも、ドラゴン・ゲンドーソーを蝕む毒は非常に強力なものだった。ニンジャスレイヤーは師を救う解毒剤を手に入れるため、単身、毒が造られたヨロシサン製薬に向かうことを決意する。一方、フリージャーナリストのナンシー・リーは相棒のホゼと共に、ヤンバナ・サシミ事件について調べていた。事件の重要な証人であるタラギに会いにいったナンシーは、そこでソウカイヤのニンジャに襲われる。ナンシーはニンジャに殺されかかるが間一髪、ニンジャスレイヤーに助けられるのだった。相棒のホゼが殺されたことで復讐に燃えるナンシーは、ニンジャスレイヤーに共闘を申し込む。そして毒の解毒剤を探すニンジャスレイヤーと真実を求めるナンシー、利害の一致した二人は協力してヨロシサン製薬のバイオプラントに忍び込む。
関連作品
小説
本作『ニンジャスレイヤー殺』は、ブラッドレー・ボンドとフィリップ・N・モーゼズの共同名義の小説『ニンジャスレイヤー』を原作としている。現在は本兌有、杉ライカを中心としたクリエイターユニット「ダイハードテイルズ」が原作者から正式に翻訳権を取得し、2010年7月14日からTwitter上で連載を開始した。2012年にはエンターブレインが日本での独占出版権を取得し、2012年9月29日から書籍として刊行している。
漫画
本作『ニンジャスレイヤー殺』は、原作『ニンジャスレイヤー』の第一部「ネオサイタマ炎上」の主人公となるニンジャスレイヤーの、誕生から1年間を描いた前日譚。原作第一部の物語は余湖裕輝の『ニンジャスレイヤー』で描かれ、原作第二部「キョート殺伐都市」の物語も、同じく余湖裕輝による『ニンジャスレイヤー・キョート・ヘル・オン・アース』で描かれている。ほかに、さおとめあげはによる、女性向けにアレンジされた『ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ』がある。
登場人物・キャラクター
ニンジャスレイヤー
ニンジャソウル「ナラク・ニンジャ」を宿したニンジャの青年。ニンジャになる前は「フジキド・ケンジ」という名のサラリーマンで、妻子と幸せに暮らしていた。しかし、マルノウチ抗争で妻子をニンジャに殺されたことがきっかけとなり、ナラクに憑依され、ニンジャとして覚醒する。ニンジャとしての姿は血のように赤黒いニンジャ装束を身にまとい、口元を「忍殺」と書かれたメンポで覆っている。家族を理不尽に奪われたフジキドの思いと、ナラクのニンジャへの敵意が混ざり合った結果、すべてのニンジャを殺すことに囚われた復讐鬼となっており、ネオサイタマを牛耳るソウカイヤのニンジャと戦う。憎悪に囚われ、ナラクに意識を半分乗っ取られているため、戦闘ではモータル(常人)への被害を省みない冷徹な戦いをするが、ふとした瞬間にフジキドの理性が蘇り、苦悩する。ニンジャ覚醒直後は戦闘のたびにナラクに乗っ取られていたが、ドラゴン・ゲンドーソーにナラクの魂を封じられたことで解放される。ゲンドーソーに戦いから離れるように忠告されたが、妻子の復讐のため戦うことを決意。ナラクの意思と向き合い、その力を御することに成功する。
ナラク・ニンジャ
ニンジャスレイヤーに宿るニンジャソウル。自我を持つ正体不明のニンジャソウルで、ニンジャを殺すことに囚われた残虐非道な性格をしている。妻子をニンジャの抗争で失ったフジキド・ケンジに取り憑き、彼をニンジャスレイヤーにした。その後はフジキドの復讐心を煽り、彼の体を乗っ取ってニンジャと戦う。ニンジャさえ殺せればモータル(常人)がいくら死のうと気にも留めず、ニンジャを殺す場合も敢えて苦しませて殺すなど、その性質は邪悪そのもの。またニンジャであれば善悪関係なく敵視するため、ドラゴン・ゲンドーソーにも襲い掛かった。妻子の復讐に囚われつつも、人間性を捨てきれずにいたフジキドに反抗され、体の主導権を奪取されてゲンドーソーに敗北、その魂を封じられる。その後、フジキドの危機に力を貸して再び体を乗っ取ろうとするが、ニンジャソウルに向き合うことを決めたフジキドに力の一部を奪われる。封印され力を奪われているが、いまだ健在で、フジキドが憎悪の感情に支配された時に現れ、彼を復讐の道へとそそのかす。
ドラゴン・ゲンドーソー
日本最後のリアルニンジャの老爺。ドラゴン・ニンジャクランのニンジャで、ニンジャとしては「ローシ・ニンジャ」と名乗っている。邪悪なニンジャソウルの気配を察知し、孫娘のドラゴン・ユカノと共にネオサイタマに赴き、ニンジャスレイヤーと出会う。小柄ながら鍛え上げた肉体を持ち、ナラク・ニンジャに乗っ取られたニンジャスレイヤーと互角に戦い、そのニンジャソウルを封印することに成功する。ニンジャスレイヤーに復讐の闇を感じるのと同時に、フジキド・ケンジの人間性に黄金の光を感じており、彼の存在を気にかけている。フジキドがナラクを御して再び戦いの場に舞い戻ることも予想しており、再会した時は彼に力の使い方を指導した。しかし、倒したと思っていたヒュージシュリケンの不意打ちを受け、アンタイ・ニンジャウイルス「タケウチ」に感染し、余命幾ばくもない状態となってしまう。ニンジャスレイヤーがヨロシサン製薬から解毒剤のアンプルを奪取して来たが、そこにソウカイヤの襲撃を受ける。最期は死を覚悟してダークニンジャと激闘を繰り広げ、ニンジャスレイヤーに最後の教えを伝えて死亡した。
ドラゴン・ユカノ
ドラゴン・ゲンドーソーの孫娘。黒く長い髪をポニーテールにし、豊満なバストを誇る。祖父から教えを受けているため、ニンジャには至っていないが、高いカラテの腕前を持つ。ゲンドーソーと共にニンジャスレイヤーと出会った。ゲンドーソーがナラク・ニンジャのニンジャソウルを封じたあと、凶悪なニンジャスレイヤーを放置したことに疑問を抱く。ゲンドーソーがニンジャスレイヤーを認め、指導し始めたことにも懐疑的に見ていたが、祖父の危機を前に共闘することでニンジャスレイヤーの葛藤と本質を知り、信頼していくようになる。ニンジャスレイヤーから本名を聞いており、彼を「フジキド」と呼ぶ数少ない人物。
ナンシー・リー
フリージャーナリストの金髪碧眼の美女。ハッカーのホゼと共にヤンバナ・サシミ事件を追っていたが、その最中にソウカイヤのニンジャに襲われ、ホゼを殺されてしまう。ナンシー・リー自身はニンジャスレイヤーに助けられたことで事なきを得るが、ホゼの仇を討つためニンジャスレイヤーと共闘することを決意。ニンジャスレイヤーと共にヨロシサン製薬のバイオプラントに忍び込む。身体能力はモータル(常人)だが、ハッカーとしての腕前はかなりのもので、ヤバイ級ハッカーと評されている。施設の設備を電子制御することでワナを張り、ニンジャを倒すなど、彼女なりの方法でニンジャに対抗する。電子ニンジャのダイダロスとの戦いでは、孤立無援のコトダマ空間でダイダロスに追い詰められるが不屈の意志で戦い続け、遂に逆襲。ハッキングで現実世界で危機に陥っていたニンジャスレイヤーを助け、彼がコトダマ空間に駆けつける時間を稼ぎ、ホゼの仇であるダイダロスに自らの手で引導を渡した。
ダークニンジャ
ソウカイヤのニンジャの青年。ソウカイヤの首魁、ラオモト・カンの懐刀ともいうべき存在で、シックスゲイツとも別格の扱いを受けている。妖刀「ベッピン」と暗黒カラテをあやつる恐るべき使い手。顔を兜で覆い隠し、全身に鎧で身にまとっている。マルノウチ抗争でニンジャスレイヤーの妻子の命を奪った張本人で、その事に気づかれて以降はニンジャスレイヤーから憎悪を向けられる。ソウカイヤの敵視するドラゴン・ゲンドーソーを襲撃し、激闘の果てにゲンドーソーを殺害する。しかし、ゲンドーソーの最後の遺志を受け継いだニンジャスレイヤーの攻撃を食らい、ベッピンを折られて敗北した。重症を負うものの辛うじて生き残っており、ベッピンと共に回収され治療を受けている。
ラオモト・カン
ソウカイヤの首魁。頭巾とメンポをした初老の男性だが、バイタリティにあふれており、老いを感じさせない。表向きの肩書きはネコソギ・ファンドCEOで、善良な富豪として慈善団体に寄付を行っている。しかしその実態は傲岸不遜、冷酷非道を地でいく邪悪な人物で、暴力と経済でネオサイタマを裏から支配している。ラオモト・カン自身にとって害となる者だけではなく、たとえ味方でも無能な者には容赦がなく、些細な失敗をしただけの部下も残酷な方法で処刑している。一方、優秀な部下には褒美を取らせて重用したり、適材適所に人材を配置したりと、人身掌握に長ける一面も持つ。ドラゴン・ゲンドーソーとニンジャスレイヤーをソウカイヤの邪魔者として認め、その抹殺を目論む。また、「ヨクバリ計画」という謎の計画を実行するため暗躍している。
ゲイトキーパー
ラオモト・カンの側近の男性。上品な黒スーツに身を包み、口元だけメンポで隠す老紳士。戦闘部門の名誉統括に就いており、ラオモトのビジネスを表に裏にサポートする。ドミナントに素質を感じ、彼を弟子にして目をかけていた。ニンジャスレイヤーを警戒し、ドミナントを彼の討伐に推薦し送り出す。ドミナントの敗北を聞いた際には残念がっていた。
スキャッター
ソウカイヤのニンジャ。頭部を索敵用の機械にサイバネ化しており、円柱状の奇妙な頭をしている。拷問映像を録るのが趣味で、戦いの際にはカメラを常備する。マルノウチ抗争でオフェンダーとコンビを組み、証拠隠滅のため生き残りを殺しまわっている中、妻子を失い茫然自失としたフジキド・ケンジを発見。オフェンダーと共に彼を拷問して殺そうとするが、ニンジャスレイヤーに覚醒した彼に殺された。
オフェンダー
ソウカイヤのニンジャ。皮をはいだ人間の顔のようなグロテスクなメンポをした男性で、対象を拷問して殺すことが趣味というサディスティックな性格をしている。マルノウチ抗争でスキャッターとコンビを組み、証拠隠滅のため生き残りを殺しまわっている中、妻子を失い茫然自失としたフジキド・ケンジを発見。スキャッターと共に彼を拷問して殺そうとするが、ニンジャスレイヤーに覚醒した彼に殺された。
コッカトリス
ソウカイヤのニンジャ。ターバンを身にまとった褐色の肌を持つ男性で、恰幅のいい体型をしている。ヘビをあやつる能力を持ち、また体型に似合わず身軽で機敏。肉体改造によって両手を大蛇と融合しており、ふだんは拘束具で封印しているが、本気を出すと両手の大蛇「ダイジャ・バイト」を使って戦う。ダイジャ・バイトは強力な威力を誇るが消耗が激しく、使い始めると一気に体内のエネルギーを消費して痩せる。もともと痩身な体型だったが、ダイジャ・バイトを移植以降、有事に備えてふだんから食い溜めするようになって現在の体型になったらしい。ヤンバナ・サシミ事件の隠蔽を目論むソウカイヤからナンシー・リーとタラギの抹殺の命令を受け、タラギを殺してナンシーを襲撃する。しかし、ニンジャスレイヤーの妨害を受けて殺された。
ドミナント
ソウカイヤのニンジャ。若手の青年で、甲冑のようなニンジャ装束に身を包んでいる。ソウカイヤの重鎮であるゲイトキーパーの弟子で、ソウカイヤに所属したばかりのニュービー。新米ながら高い実力と礼儀正しい立ち振る舞いを上司たちに買われており、ニンジャスレイヤーの抹殺を任される。ニンジャ装束には最新の試験型人工筋肉が使われており、ドミナントの固有ジツ「エンハンスメント・ジツ」に呼応させることで圧倒的な身体能力を引き出せる。カラテの腕前もダークニンジャに認められるほど高い。「エメイシ」という先端に螺旋型の刃物が付いた棒状の暗器を隠し持っており、エンハンスメント・ジツを使うことでエメイシを遠隔操作して攻撃することも可能。激闘の末、ニンジャスレイヤーを後一歩のところまで追い詰めたが、ナラク・ニンジャのソウルから力を引き出したニンジャスレイヤーに敗北、死亡した。
ガントレット
ソウカイヤのニンジャ。「ギリーニンジャ装束」と名付けた毛むくじゃらのミノムシのような装束をまとったニンジャで、この衣装を使った潜伏や隠密を得意とする。また狙撃銃の腕前も一流で、狙撃の際にはふだんは装束の中に隠している狙撃銃を展開、得意とする隠密能力と合わせることで非常に脅威的な戦闘能力を発揮する。近接戦闘を得意とするセンチピードと組んで、ニンジャスレイヤー、ドラゴン・ユカノを強襲。ユカノを殺さずいたぶることで、ニンジャスレイヤーの動きを牽制した。強力な狙撃術のほかに近接戦闘でも高い技能を発揮する。捨て身の特攻をして来たユカノに対して終始優位に戦ったが、ユカノに気を取られ過ぎてセンチピードへの援護が疎かになり、逆転を許してしまう。最期は致命傷を負ったセンチピード諸共、ニンジャスレイヤーとユカノの二人がかりの攻撃を食らって死亡した。とんとん拍子に出世するヘルカイトには嫉妬心を抱いていたが、その実力は認めていた。
ホロスコープ
ソウカイヤのニンジャ。白いスーツにマントを羽織り、目元から頭部分に水晶のようなヘルメットをかぶっている老紳士。十二星座に関連する生物を「ルーレットステッキ」を使って強化するジツを習得しており、その能力を使ってソウカイヤの要塞の防衛を担当していた。ジツで蟹を強化して、要塞に侵入したニンジャスレイヤーと戦うが、彼に一蹴されて殺された。
ヒュージシュリケン
ソウカイヤのシックスゲイツの一人。髪をモヒカンヘアにした男性で、着流しで巨大な手裏剣「ダイシュリケン」を持つニンジャ。ダイシュリケンを高速回転させて放つ技を得意とし、その威力はクローンヤクザの集団を一撃で壊滅させるほど。同僚のヘルカイトを、仲間よりも手柄に執着したコウモリと毛嫌いしており、彼への対抗心から独断専行をすることもしばしば。ソウカイヤからヘルカイト、アースクエイクと共にドラゴン・ゲンドーソーのドージョーを放火する命令を受けるが、ヘルカイトへの対抗心から独断で動き、ニンジャスレイヤーに遭遇。彼に利き目をつぶされる。利き目を失ったため手裏剣ジツの威力は大幅に落ち、ドージョーでの戦いではアースクエイクからも見捨てられ、ドラゴン・ユカノに致命傷を負わされる。致命傷は負ったものの、アースクエイクを倒して油断した一行に不意打ちをかけ、ゲンドーソーにアンタイ・ニンジャウイルス「タケウチ」を撃ち込む。その後、ゲンドーソーを道連れにしたことに満足し、ニンジャスレイヤーとユカノの攻撃を食らって死亡した。
アースクエイク
ソウカイヤのシックスゲイツの一人。身長2メートルを超える筋骨隆々とした巨漢で、専用のバイクをよく乗り回している。巨体に見合ったパワーとタフネスを持ち、カラテの技と合わせることで強烈無比な破壊力を発揮する。全身に身につけている排気口は、本気を出した際のカラテ発熱を排出するための物で、本気を出した際には蒸気を噴出させた異様な姿となる。ソウカイヤからヘルカイト、ヒュージシュリケンと共にドラゴン・ゲンドーソーのドージョーを放火する命令を受けるが、ヒュージシュリケンが独断専行したことに苛立つ。ヒュージシュリケンが利き目を失って現れたことで彼に見切りをつけ、表向きヒュージシュリケンの言葉に同意するように装いながら言葉巧みに彼を誘導し、ドージョーでの戦いではヒュージシュリケンを囮として使い捨てにした。ゲンドーソーの危機にかけつけたニンジャスレイヤーと戦闘。圧倒的なパワーでニンジャスレイヤーを苦しめたが、ゲンドーソーとニンジャスレイヤーの連携攻撃には手も足も出ず敗北し、死亡した。
ダイダロス
ソウカイヤのシックスゲイツの一人。体のほとんどを機械化した男性で、頭部は巨大なモノアイにコードを長髪のように生やしている。ハッキング能力に特化した電子ニンジャで、ソウカイヤのネットセキュリティを担当。ヤバイ級ハッカーのみが到達できる電脳領域、コトダマ空間では多重ログインでダイダロス自身を無数に分裂させ、無敵にも等しい力を持つ。ハッキングで機械をあやつることもできるため、最新鋭のロボニンジャ「モータードクロ」を使うことでニンジャスレイヤーとも互角に戦った。ヤンバナ・サシミ事件を追っていたホゼを殺した際に、ナンシー・リーのハッカーの腕前に惚れ込み、彼女を手に入れることを目論む。気づかれない形で少しずつ情報を流すことでナンシーの行動を誘導し、自らのコトダマ空間に彼女を誘き寄せる。ナンシーをいたぶることで精神的に屈服させようとするが、不屈の意志で戦う彼女に反撃を食らい、逆転される。最期はコトダマ空間に無理やり侵入して来たニンジャスレイヤーに分身体を倒され、本体もナンシーに破壊されて死亡した。
ヘルカイト
ソウカイヤのシックスゲイツの一人。ベレー帽に軍服のような装束を身にまとった男性で、一本歯の高下駄を履いている。大凧に乗って空を飛ぶニンジャで、偵察や索敵で大きな力を発揮する。戦闘では目立った活躍こそしないものの、忠誠心が高くソウカイヤの必要とする物を着実に回収し、任務を確実に遂行するため上司たちからの評価は高い。一方、ほかのシックスゲイツや同僚からは要領のよさを妬まれ、手柄ほしさに仲間を見捨てる「コウモリ」と嫌われている。シックスゲイツの中では新任で、前任のニンジャ、ガーゴイルが死んだあと入れ替わる形で就任した。
バンディット
ソウカイヤのシックスゲイツの一人。ざんばら髪に獰猛な顔つきをした中年男性で、名の通り山賊(バンディット)のような見た目をしている。ニンジャスレイヤーの抹殺命令を受け、彼と戦った初のシックスゲイツで、モータル(常人)の3倍を誇る高い脚力を持つ。脚部のフレーム部分には義足の技術を応用したギミックがあり、これを使うことで脚力をさらに強化することができるが、ニンジャスレイヤーには使うヒマなく敗北、死亡した。
アゴニィ
ソウカイヤのニンジャ。長身痩軀の男性だが、化粧をして全身から針を生やし、露出の多いボンデージのような装束に身にまとうという異様な風体をしている。地元の地上げ屋、タメジマのもとにソウカイヤより派遣され、タメジマに代わりバー「ヨタモノ」の地上げを行う。マゾフィストでサディストという倒錯的な美的感覚を持ち、針で人を生きたまま串刺しにし、オブジェにすることをなにより好む。ヨタモノを運営していたヤクザを拷問して殺し、その後はヨタモノの客を一人ひとりゆっくりオブジェにしていった。その後、ニンジャスレイヤーに遭遇、全身の針を使った攻撃で彼と戦う。苦痛を受ければ受けるほど強くなるという特性を持ち、ニンジャスレイヤーを苦しめたが、ナラク・ニンジャに乗っ取られたニンジャスレイヤーには手も足も出ず敗北。最期はナラクに生きたまま燃やされ、恐怖の中で死亡した。
ギンイチ
ネオサイタマに暮らす男子高校生。眼鏡をかけた黒髪の少年で、得意のゲームでハイスコアを出すのが唯一の楽しみ。両親はカチグミで、母親からもカチグミになるように、口うるさく言われている。仕事のストレスを無理やり誤魔化している父親の姿を見て、カチグミの実態に疑問を抱く。しかしそれを表に出すこともなく、ふだんは母親の言うことに唯々諾々と従っている。そんな中、イチジクと出会い、彼女に連れられてバー「ヨタモノ」でライブを見て一体感に包まれるが、イチジクがほかの男子となかよくしているのを見て嫉妬心を抱く。自分の気持ちを整理できないままヨタモノをあとにする中、ヨタモノにニンジャのアゴニィが入っていくのを目撃する。イチジクたちを助けるため、警察を呼びにいくが拒否される。そして街中で呆然としているところを偶然、ニンジャスレイヤーが通りかかり、彼に助けを依頼した。しかしイチジクを助けに戻ったところ、彼が目にしたのはナラク・ニンジャに乗っ取られ、イチジクを襲おうとしているニンジャスレイヤーの姿だった。イチジクを助けるため、凶悪なニンジャに立ち向かう勇気を見せつけ、これが結果的にニンジャスレイヤーを正気に戻し、イチジクを助けるきっかけとなる。
イチジク
ネオサイタマに暮らす少女。ゲイシャのように髪の毛を結ってまとめ、服装をカジュアル系のファッションで統一している。パンクやロックが大好きで、バー「ヨタモノ」で仲間たちとライブを楽しんでいる。「アベ一休」という名のアーティストのファンで、偶然、ギンイチがアベ一休のTシャツを着ていたことを知り、なかよくなる。ギンイチをヨタモノで行われたアベ一休のゲリラライブに誘うが、ライブが終了後、アゴニィに襲われて仲間たちを惨殺される。アゴニィが死んだあとは、暴走したニンジャスレイヤーにも襲われ危機に陥るが、ギンイチに助けられて九死に一生を得る。
集団・組織
ソウカイヤ
ネオサイタマを牛耳る犯罪組織。クロスカタナのエンブレムをシンボルとする。首魁はラオモト・カンで、多数のニンジャを配下に置き、多くの企業を傘下に収めることで経済と暴力で人々を支配している。ラオモトはネオサイタマでもっとも高い摩天楼「トコロザワ・ピラー」に座し、組織は彼によるワンマン経営で運営される。所属しているニンジャの中でも、ラオモトに精鋭と認められたニンジャは「シックスゲイツ」と呼ばれる幹部に取り立てられ、重用される。シックスゲイツの定員は基本的に六人で、シックスゲイツに欠員が出た場合、ライカンによって見定められたニンジャが補充され、新たなシックスゲイツとなる。
その他キーワード
ヤンバナ・サシミ事件 (やんばなさしみじけん)
ヤンバナ・サシミP&D社が行った食品偽装事件。スシに使うハマチ粉末に違法なブリ粉末とコク強化プロテインを混入し、その隠蔽を多数の政府関係者ぐるみで行っていた。このスキャンダルが発覚してヤンバナ・サシミP&D社は倒産した。不可解な点が多い事件で、ヤンバナ・サシミP&D社の倒産でハマチ粉末の供給体制が崩れ、大規模なスシ飢饉が発生したにもかかわらず、疑惑の政治家はわずか4日で最高裁から無罪の判決が出ている。また事件から2か月で業界22位だった中堅チェーン店「ドンプリ・ポン」が業界トップにまで上り詰めており、一見無関係なこれらの出来事には何らかのつながりがあると目されている。
ニンジャ
平安時代、日本をカラテによって支配した半神的存在。ニンジャはキンカク・テンプルで謎のハラキリ儀式をして歴史から姿を消したとされ、今日では伝承にその姿を残すのみ。現在のモータル(常人)のあいだでは、「ニンジャ」の実在は「金星人」と同等レベルの信憑性で、その存在は架空の存在として扱われ、実在することは一般には知られていない。現在では素質のある人間に「ニンジャソウル」が憑依することで「ニンジャ」として覚醒する。ニンジャソウルは死した過去のニンジャの魂で、ニンジャソウルを宿した者はカラテによる高い戦闘能力と超常的な能力「ジツ」を使うことができるようになる。ただし、ニンジャソウルが宿ってもすぐに十全にその能力を活かすことはできないため、相応の訓練が必要。ニンジャはモータルを圧倒する戦闘能力を持ち、ニンジャの漂わせる雰囲気はモータルにNRSを引き起こす。現在は裏世界でその力を利用され、血で血を洗う抗争を巻き起こしている。また過去のニンジャのニンジャソウルに頼らず、鍛錬の果てに自力でニンジャソウルを発現させニンジャに至った者は「リアルニンジャ」と呼ばれる。
NRS (にんじゃりありてぃーしょっく)
モータル(常人)がニンジャを目のあたりにすると、引き起こす精神錯乱の症状。モータルにとってニンジャとは実在しない架空の存在なため、ニンジャを目のあたりにするとアイデンティティを崩すほどのショックを受ける。「金星人」と遭遇するのと同等レベルのショックと例えられるほどで、ほとんどのモータルはニンジャと遭遇するとショックを受け、失禁して失神、重症の場合はそのままショック死する。モータルでも、過去にニンジャに遭遇したことがある者や強靭な意志を持つ者であればある程度耐えられるが、それでもその威圧感を完全に無視することはできず、多大なプレッシャーに心身を磨耗させることとなる。
クローンヤクザ
ヨロシサン製薬の開発した生物兵器。黒スーツにサングラスをかけた筋骨隆々とした大男の姿をしている。クローン人間であるため、すべてが寸分違わぬ見た目をしている。洗脳教育によって上位者には絶対服従で、一糸乱れぬ集団行動が可能。一体一体はそこまで高い戦闘能力はないが、集団戦では見事な連携を見せる。ただし、一騎当千のニンジャには何人集まっても敵うことはない。「ザッケンナコラー!」などヤクザスラングを鳴き声のように叫ぶ。
クレジット
関連
ニンジャスレイヤー
ブラッドレー・ボンドとフィリップ・N・モーゼズによる同名小説の第一部「ネオサイタマ炎上」のコミカライズ作品。時は、電子ネットワークが世界を覆い尽くし、サイバネティックス技術が普遍化した未来。鎖国体制を... 関連ページ:ニンジャスレイヤー
ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース (にんじゃすれいやー きょーと へる おん あーす)
ブラッドレー・ボンドとフィリップ・N・モーゼズの共同名義の小説『ニンジャスレイヤー』の第二部「キョート殺伐都市」のコミカライズ作品。ネオサイタマで巨悪を打ち倒したニンジャスレイヤーが、新たな敵、ザイバ... 関連ページ:ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース